EXIT×スカイピース、ある“バイブス”によって誕生したコラボ 『CDTVライブ!ライブ!』出演を機に考える共通点
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毎週月曜22時からオンエア中の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)が、9月21日19時より『CDTVライブ!ライブ!秋のリクエストフェス・ラブソング4時間SP』と題した特番を放映。人気アーティストが、話題の最新曲をはじめ、視聴者から募集したこの秋に聴きたいラブソングを歌唱するなど、盛りだくさんの内容でお届けする。
名だたるアーティストが集結する中、お笑い芸人のEXITもYouTuberのスカイピースとコラボしたスペシャルユニット、EXIT×スカイピースとして出演。今年3月にリリースした初のCDシングルから「ぴえんは似合わないぜ」を披露する。すでにSNSでは「久々のイグピース!」「また学ラン姿が見られるの!?」などのコメントが相次いでおり、ファンの期待値も高まっているようだ。
EXITとスカイピース。両者とも若い世代からの支持が厚い二人組で、かつ「ぴえんは似合わないぜ」でも息のあった掛け合いを見せているが、意外にも初顔合わせはコラボが決まってから。しかし、以前からテオくんがEXITのネタを気に入っていたり、またEXIT側もYouTubeで活動する中でスカイピースの人気を目の当たりにしていたりと互いの存在を意識する関係だったようだ。その後互いのYouTubeチャンネルにゲスト出演した模様を同日に公開。まだ知り合って間もないとは思えないほどの意気投合ぶりを披露し、それぞれのファンを歓喜させたが、思えばすでにこの時からコラボの成功は約束されたものだったのかもしれない。
そして発表された「ぴえんは似合わないぜ」は作詞、作曲ともスカイピースによるもの(一部松田貴志との共作)。王道の青春ロックと言っていい疾走感のあるサウンドにのせて、学校生活や友人への思いを綴った卒業ソングだ。歌詞には〈あざまる水産(よいちょまる)〉〈バイブスあがりけり〉〈お後がhere we go〉とEXITのネタや若者の間で流行したワードが盛り込まれ、彼らのファンはもちろんのことターゲットである10代にも耳馴染みの良いものになっている。MVでは全員学ラン姿の仲良し4人組に扮し、歌詞に合わせたさまざまなシチュエーションで演技も披露。まるで本物のクラスメイトのような空気感さえ漂っている。
なぜこれほどまで相性の良いコラボが生まれたのか。そこには両者が持ついくつかの共通点にあるように思う。まずは発信するメッセージのポジティブさ。スカイピースの動画もEXITのネタも観客を笑わせ楽しませることに徹しているが、決して誰かを貶めたり傷つけたりするものではない。自分たちが底抜けに明るく振舞うことで、観客側の気持ちを向上させるようなエンターテインメントを提供している。ある部分では “チャラさ”と評されるような観客との距離の取り方も絶妙で、何よりサービス精神にあふれている。またそれぞれがYouTuberやお笑い芸人という垣根を越えて、歌手活動など新たな可能性にチャレンジする姿も同様だ。並々ならぬプレッシャーや苦労は間違いなくあるだろう。でもそれを感じさせないのは、何事にも真摯に向き合い全うしているから。「ぴえんは似合わないぜ」発売時のコメントではりんたろー。が「ザイマンはあくまでアーティスト活動の片手間でやってきたまで!」と意気込みを語る一方、兼近は「誰かを楽しませる、喜ばせる、という意味ではマジでぶつかっていかないと絡むーちょしてくれたすべてのパリピ共に失礼。ガチガチのガチでチャラついてます」と宣言。彼ららしい言葉の中にもアーティスト活動への決意がにじむ。そんな見た目の派手さと根っこの真面目も、スカイピースと通じるところだ。出自も活躍するフィールドも違うが、共通する“バイブス”で結ばれた2組であるがゆえの、親和性の高さがあったのは間違いない。
「ぴえんは似合わないぜ」の後には、スカイピースが6月にリリースしたアルバム『青青ソラシドリーム』収録の「オタパリパーティー」のMVで再び共演。楽曲リリース後も良い関係が続いていることを見せつけた。今回の『CDTVライブ!ライブ!』特番出演は、実に半年ぶりに4人が揃ってのパフォーマンスとなる模様。果たしてどんなステージを見せてくれるのか。オンエアを楽しみに待ちたい。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。