永瀬廉、『おかえりモネ』出演発表の衝撃! 正門良規、風間俊介らジャニーズ×朝ドラの関係を振り返る
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その日、“界隈”が揺れた。
とまで言ったら大袈裟だろうか。いや、今回のアレはかなり衝撃的だ。2021年前期のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』新キャスト発表の件である。
『おかえりモネ』は気象予報士の仕事を通し、ヒロインが“希望ある未来をひらいてゆく”物語。舞台は現代で2019年前期のNHK連続テレビ小説『なつぞら』にも出演した清原果耶が主人公の永浦百音を演じる。
新たに発表されたのは百音(モネ)の同級生を演じる俳優たち。その中に名を連ねていたのがKing & Princeの永瀬廉だ。キンプリといえば言わずと知れたスーパーアイドル。まさに今、飛ぶ鳥落とす勢いで活躍するジャニーズグループの中から“朝ドラ俳優”が誕生するのは異例と言っていいかもしれない。なぜなら、朝ドラの撮影スケジュールは非常にタイトだから。さらに永瀬が演じる及川亮(おいかわりょう)は才能あふれる若き漁師という設定。物語の舞台となる東北の地でのロケも増えそうである。
ということで今回は、近年の朝ドラで鮮烈な印象を残したジャニーズのメンバーたちを振り返ってみたい。
朝ドラファンが驚いた正門良規のポテンシャル
まずは2019年後期の『スカーレット』に鮫島正幸役で出演した正門良規。鮫島はヒロイン・喜美子(戸田恵梨香)の妹・直子(桜庭ななみ)の恋人として信楽に現れ、さまざまな風を起こす役どころ。
正門は関西ジャニーズJr.内のAぇ! groupに所属。本人曰く、基本的には内気で場の空気を読んでしまう自分とは真逆で、周囲を気にせずガンガン進む鮫島を愛すべきキャラクターになるよう演じたそう。そういえば、金を無心するため直子が妊娠したと偽って、2人が川原家に現れる場面では、鮫島のトボけた言動に喜美子がつい噴き出す一幕もあった。
全体的に落ち着いたトーンで進む『スカーレット』だが、劇中に鮫島が現れると世界がパっと原色で彩られる。直子との夫婦漫才のような掛け合いもテンポ良く、朝ドラファンの中には彼がジャニーズのメンバーと気づかない人もいたそう。確かに正門の演技はハネており、いい意味で小劇場で揉まれた個性派俳優の趣すらあった。
同作に先輩と後輩が! 桐山照史×西畑大吾
続いては2015年後期の『あさが来た』。幕末から大正にかけて、さまざまな道を拓いた女性実業家・白岡あさ(波瑠)とその夫・新次郎(玉木宏)の生涯が描かれる。なんと本作には2人のジャニーズメンバーが出演。
1人はあさの義弟で兄に代わって家を継ぐ白岡榮三郎を演じた桐山照史。そしてもう1人はあさの姉・はつ(宮崎あおい)の次男・眉山養之助役の西畑大吾。遠い親戚にあたる榮三郎と養之助だが、大阪の商家を守る榮三郎と和歌山のみかん農家を継ぐ養之介の間に劇中での交流はなかった。2人の共通項と言えば「半分以上、親が決めた人生を受け容れ前向きに歩む」人物であったこと。桐山は偉大な父と猪突猛進モードで事業を進める義姉に挟まれながら、自らの立場を受け止め真っすぐ生きる榮三郎を、西畑は和歌山の地に根を下ろし、家族とみかんを愛する養之介をそれぞれ魅力的に演じていた。
『あさが来た』撮影時に、桐山はすでにジャニーズWESTとしてCDデビューを果たしており、関西ジャニーズJr.内ユニット、なにわ男子に所属する西畑は2014年後期の『ごちそうさん』に続いてこれが2作目の朝ドラ出演。現在もジャニーズに所属するメンバーで朝ドラに2回出演しているのは西畑1人である。
いろいろ“異例”? 風間俊介
この朝ドラについて書くのは難しい。そう、一部で“伝説”として語り継がれる2012年後期の『純と愛』だ。
ヒロイン・純(夏菜)が祖父の遺志を継ぎ「まほうのくに」のようなホテルを作ろうと奮闘する物語……だったはずだが“不幸のてんこ盛り”ともいえる展開に驚いた視聴者は多かった。そんな中、ヒロインの相手役として登場したのが風間俊介演じる待田愛(まちだいとし)だ。
二卵性双生児である弟の死後、他者の本心が分かる能力を身に着け人を信じられなくなっていた愛。だが、裏表のない純と出会ったことで次第に彼女に心を開き、2人は結婚。紆余曲折の末、理想のホテルを作ろうと移り住んだ宮古島で愛が脳腫瘍に冒され、昏睡状態のまま最終回を迎えるというラストが非常に衝撃的だった。
『3年B組金八先生』(TBS系)では心に闇を抱えた兼末健次郎役を演じ高い評価を受けた風間も『純と愛』での役作りはかなり厳しかったと推察する。2000年代には生田斗真、山下智久、長谷川純とユニット、Four Topsを結成していた風間。が、CDデビューには至らず、以降は俳優、さらに最近では司会者としての活動がメインとなっている。
ジャニーズのメンバーが朝ドラに出演する場合、これまでその多くがNHK大阪放送局制作の作品だった。これは先に挙げた正門、桐山、西畑のように関西の言葉を自然に喋れる個性が重用されたこと、そして半年にわたり、視聴者が登場人物たちの成長を見守るという朝ドラの性質に彼らがフィットしたからだろう。
今回発表された『おかえりモネ』の永瀬廉。CDデビュー後の若手メンバーが東京のNHKで制作される朝ドラに登場するのは『私の青空』のスピンオフ(2002年)に出演したV6の三宅健以来だ。
バラエティ番組の地方ロケでは土地の人に「はじめまして、僕、永瀬廉っていいます」と名を名乗ってから話を聞く真っすぐさと人懐っこさを併せ持った永瀬。そんな彼が漁師というニュータイプの役柄をどう演じるのか春を楽しみに待ちたい。
■上村由紀子
ドラマコラムニスト×演劇ライター。芸術系の大学を卒業後、FMラジオDJ、リポーター、TVナレーター等を経てライターに。TBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界案内人)、『アカデミーナイトG』、テレビ東京『よじごじDays』、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』(舞台コメンテーター)等、メディア出演も多数。雑誌、Web媒体で俳優、クリエイターへのインタビュー取材を担当しながら、文春オンライン、産経デジタル等でエンタメ考察のコラムを連載中。ハワイ、沖縄、博多大吉が好き。Twitter:@makigami_p
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
NHK総合にて、2021年春放送
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか