国宝・重文がズラリ! 華麗なる桃山文化の全貌に迫る 『桃山―天下人の100年』が東博にて開幕
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『桃山―天下人の100年』展示風景。手前は《紺糸威五枚道具足》。奥は《関ヶ原合戦図屏風(右隻)》(前記のみ展示)
東京国立博物館 平成館において10月6日(火)より特別展『桃山―天下人の100年』が開幕した。途中の1回の展示替えをはさみ、11月29日(日)まで開催されている。
室町時代の末から江戸時代初期かけての100年間は、日本全国が激動に揺れていた時期。そのため、人々の価値観や美意識が大きく変革し、その結果、さまざまな美術や様式が生まれていった。
この展覧会は、この時代に生まれた美術を概観し、美術史上ではいわゆる「桃山時代」と呼ばれる美術の本質や後世への影響などを、絢爛豪華な作品とともに検証していくというもの。教科書や大河ドラマに登場する戦国武将や茶人、文化人ゆかりの作品も多数出品、国宝17件、重要文化財94件を含む約230件の名品が展示される。
展覧会は全7章で構成される。室町時代に描かれた作品から桃山美術の基礎を見出す第1章「桃山の精髄ー天下人の造形」から、戦乱の世が終わり、天下泰平となった江戸時代初期の美術にも、桃山美術の表現が受け継がれていることを見て取る、第7章「「泰平の世へ―再編される権力の美」まで、障壁画や屏風、茶道具に武具などあらゆるジャンルの銘品が揃う。
また、当時は戦乱の世であったと同時に、種子島から鉄砲が伝来するなど、西洋文化に人々が触れ始めた時期でもある。大名は日本の外に未知の知識や文化、そして表現手法があることを知り、貪欲に取り込み、新しい美を作り出していく。
そして、第6章「武将の装い―刀剣と甲冑」は、ダークトーンで統一された、他の展示空間とは趣を変えた特別な設え。常に戦闘のあった安土桃山時代は、刀剣や甲冑が進化し、同時に、武将が用いる用具には様々な装飾が施された時期でもある。刀剣や甲冑の凛々しさが引き立つ空間だ。
フィナーレは第7章の「泰平の世へ―再編される権力の美」へ。混沌とした世に終わりを告げ、新しく生まれた江戸時代の武家の美術が、それまでの桃山美術の表現を母体としたものであることを見て取ることができる。
濃密な文化の変遷を、大量な作品とともに辿っていく展覧会。感染症対策のため、美術館の推奨する鑑賞時間は90分が目安となっている。展示数が膨大なので、ペース配分に気をつけて鑑賞していこう。
取材・文:浦島茂世
【開催情報】
特別展『桃山―天下人の100年』
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/momoyama2020/
10月6日(火)~11月29日(日)東京国立博物館平成館にて開催
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