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丸山隆平、初主演映画『泥棒役者』で見せた“3つの魅力” 笑いと温かさが詰まった作風を読む

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リアルサウンド

 本日より、関ジャニ∞・丸山隆平主演の映画『泥棒役者』が公開されている。丸山にとって、初の単独主演映画だ。一足先に試写会で鑑賞したのだが、『泥棒役者』はとにかく笑えて鑑賞後に温かい気持ちになる映画であった。

参考:丸山隆平主演『泥棒役者』舞台挨拶レポ 西田征史監督「丸ちゃんとはプライベートで旅行にも行く」

 丸山演じる大貫はじめは元・泥棒。今は足を洗って小さな町工場で真面目に働き、料理上手で優しい恋人・藤岡美沙(高畑充希)と幸せな毎日を送っている。しかし、美沙の誕生日当日に泥棒仲間で先輩の畠山則夫(宮川大輔)が現れ、盗みの手伝いをしなければ美沙に過去のことをバラすと脅されてしまう。仕方なく豪邸に盗みに入ると、油絵教材のセールスマン・轟良介(ユースケ・サンタマリア)、家主で絵本作家の前園俊太郎(市川正親)、前園の新しい編集者・奥江里子(石橋杏奈)が次々と現れ、はじめのことを家主、編集者、絵本作家とそれぞれに勘違い。はじめは屋敷から逃げ出すために勘違いされている人物を演じきろうとするが、徐々にごまかすのが苦しくなり、カオスな状況に。

 ストーリーの中には様々な伏線が張られており、次々と回収されていくのだが、「こういうことだったのか!」と膝を打ってしまうシーンが多々ある。気持ちの良いストーリーだ。その華麗なストーリー展開につい目が行ってしまいがちだが、『泥棒役者』は主演・丸山だからこその「笑い」と「温かさ」が詰まっている。

 その理由は3つ。1つめは、丸山演じる大貫はじめという人物が、丸山自身のキャラクターと近いこと。これは、丸山と監督・脚本の西田征史氏との関係性に理由がある。丸山と西田監督はプライベートでも交流があり、2人で旅行に行くほどの仲。ホームページのインタビューの中で、「ストーリーを肉づけしていくうちに、丸ちゃんで撮りたいなと考えるようになって」(引用:公式サイト)と語っている。プライベートでも仲が良いからこそ丸山の良さを理解しており、脚本自体を丸山のキャラクターに寄せて書くことができたのではないだろうか。

 2つめは、丸山の演技のやり方。関ジャニ∞の中でもお笑い担当のイメージが強い丸山だが、これまでドラマや映画で様々な役をこなしてきている。たとえば『ストロベリーナイト』(フジテレビ系)の湯田康平役。後輩力が高く可愛がられるムードメーカーという役どころで、比較的いつもの丸山に近い。そして『泣くな、はらちゃん』(日本テレビ系)の田中君役では、主体性があまりない真面目な役を演じた。湯田康平とは一味違う役だが、ラジオなどでふと見せる丸山の“陰”の部分が根底にある役のように思う。

 元々丸山は、多様な面を持った人物である。幅広い役をこなせるのは、自分の持つ多様な面を出しながら演じているからではないだろうか。『泥棒役者』のはじめ役も例外ではない。はじめがどこか丸山と被って見え、愛を持って鑑賞することができるのだ。

 そして3つめは、丸山が作る撮影現場の雰囲気。『泥棒役者』の撮影にあたり、西田監督も共演者も撮影現場での丸山の気遣いに言及している。

「気づかいの人にしてムードメーカーなので、常に明るくキャストやスタッフと言葉を交わして、周りに気を配っていましたね。(西田征史)」(引用:公式サイト)

「実際にお会いしたらめちゃくちゃ紳士的で気をつかってくださった。アウェイ感があった私に『大丈夫ですよ、いらっしゃい!』と手を広げて迎え入れてくれたので、なんの違和感もなく目と目でコミュニケーションがとれた。(高畑充希)」(引用:モデルプレス/高畑充希、関ジャニ∞丸山隆平のファンに謝罪<泥棒役者>)

「丸山さんもいちいち余計なことを言ってきたり、皆さんと良い距離感を保ちつつ楽しんでいました。(宮川大輔)」(引用:公式サイト)

 この丸山の気遣いや愛情深さが撮影現場に伝染し、結果映画の中にも伝わってきているのではないだろうか。

 作品全体から滲む「笑い」と「温かさ」はもちろんだが、舞台原作ならではのテンポの良さ、個性派俳優陣たちの観客を唸らせる演技力にもぜひ注目だ。魅力がたっぷり詰まった『泥棒役者』は、今年一番のオススメ作品として周りに啓蒙したいほど。2017年の最後、ジャニーズの名作映画がまたひとつ誕生した。(文=高橋梓)