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英国王室500年の物語を名画で読み解く 『KING&QUEEN展』が上野の森美術館で開催中

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「テューダー朝」の展示風景。展覧会は章ごとに壁紙の色を変え、時代の変遷をわかりやすく演出する

2020年10月10日(土)、上野の森美術館で 『ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展―名画で読み解く 英国王室物語―』が開幕した。2021年1月11日(月・祝)まで開催されている。

この展覧会は、世界屈指の肖像画専門美術館であるロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリーが所蔵する王室の肖像画や肖像写真、約90点を展示するもの。テューダ―朝から現在のウインザー朝までの肖像を通して、世界中を虜にした王室の物語だけでなく、王室の権力の誇示の仕方なども読み解いていく。

展覧会冒頭に登場するのは、現在の女王、エリザベス2世。歴史上最も多く肖像画に描かれた人物の一人だ。

ピエトロ・アンニゴーニ《エリザベス2世》1969年

会場は時系列順に5章構成。「テューダー朝」、「ステュアート朝」、「ハノーヴァー朝」、「ヴィクトリア女王の時代」、そして現在の王室「ウィンザー朝」まで、それぞれの王や女王、時代のトピックを解説したパネルとともに肖像画が展示される。

「テューダー朝」展示風景。左は「九日間の女王」の異名を持つ《レディ・ジェーン・グレイ》(1590-1600頃)。右は《エリザベス1世(アルマダの肖像画)》(1588)。スペイン無敵艦隊撃破を記念して制作されたとされる。
「スチュアート朝」展示風景よりゴドフリー・ネラー《アン女王》(1690頃)。イングランドとスコットランドを統合したことで知られる。

時代が移り変わり、現代に近づいてくると肖像画にも変化が現れる。写真の登場だ。また、彼らの肖像画や肖像写真からは威厳が少しずつ薄れ、親しみをもたせる構図やムードが構築されていく。

ドロシー・ウィルディング撮影、ベアトリスジョンソン彩色《エリザベス2世》(1952年)。エリザベス2世の即位直後に制作された。
ダイアナ妃の肖像も多く展示されている
ブライアン・オーガン《ダイアナ妃》 チャールズ皇太子との婚約を記念して制作された肖像画。現代的な服装の肖像画であることは当時話題となった
展覧会ナビゲーターは『怖い絵』シリーズで知られる中野京子さん

本展の展覧会ナビゲーターを務める作家・ドイツ文学者の中野京子さんは、開会式において、「肖像画はただ見ているだけではよくわからないことが多いです。けれども、描かれた方がどのような人生を送ったか、どのような人となりだったのかを知ると、突然生き生きと見えてくる。知識をもって観覧することで、より深い鑑賞体験ができるよう、会場内には多くの解説パネルを設置しています」と語った。

約500年の英国王室の歩みを肖像画でたどる展覧会。多くの歴史と物語を知ることで、よりいっそう展覧会が楽しめることだろう。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】
『ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展―名画で読み解く 英国王室物語―』
https://www.kingandqueen.jp/
10月10日(土)~2021年1月11日(月・祝)、上野の森美術館にて開催

【チケットぴあ】
https://w.pia.jp/t/kingandqueen/


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