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黒沢清、森崎ウィンらが中川奈月の「彼女はひとり」へ賛辞、諏訪敦彦は「驚嘆した」

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「彼女はひとり」ポスタービジュアル

中川奈月監督作「彼女はひとり」が「田辺・弁慶映画祭セレクション2020」内の「中川奈月監督作品特集上映4DAYS」の1本として東京・テアトル新宿で11月29日から4日間レイトショー上映。本作を鑑賞した著名人のコメントも到着した。

「彼女はひとり」の主人公は、ある日橋から身を投げた高校生の澄子。生還した彼女は、幼なじみの秀明が教師の波多野と密かに交際していることを知り、秀明を執拗に脅迫し始める。澄子役で「本気のしるし」の福永朱梨が出演。秀明を金井浩人、波多野を美知枝が演じた。

「スパイの妻」の監督・黒沢清は「恋に悩む高校生たちの物語だと思って見ていたら、青春という言葉からはるか隔たった、あまりにもダークで狂気的な世界観に震撼していた。これは凄い。少なくとも日本映画で、このレベルに達した学園ドラマを私は他に知らない」とコメント。「風の電話」の監督・諏訪敦彦は「破壊することでしか触れることができない世界を生きる、その絶対的な孤独こそが世界=映画を再生させるはずだという覚悟が全編に漲っている。そして『彼女はひとり』ですべてを敵に回し、否定することで世界を抱きしめるという離れ業を堂々とやってのけるのだ。驚嘆した」と語った。

また「本気のしるし」で福永と共演した森崎ウィンは「女優、福永朱梨さん、素敵過ぎました。本人には恥ずかしくて直接言えないのですが、そう強く思えた作品に出会えました」とつづり、「シュシュシュの娘」の公開を控える根矢涼香は「福永朱梨さん演じる澄子の、時折訴えかける眼の奥の寂しさに心が消え入りそうになる」と感想を述べている。現在YouTubeでは本作の予告編が公開中だ。

なお「中川奈月監督作品特集上映4DAYS」では「彼女はひとり」のほかに、青木柚主演の短編「昼の迷子」、田中佐季主演の「夜のそと」も上映される。

黒沢清 コメント

恋に悩む高校生たちの物語だと思って見ていたら、青春という言葉からはるか隔たった、あまりにもダークで狂気的な世界観に震撼していた。これは凄い。少なくとも日本映画で、このレベルに達した学園ドラマを私は他に知らない。

諏訪敦彦 コメント

破壊することでしか触れることができない世界を生きる、その絶対的な孤独こそが世界=映画を再生させるはずだという覚悟が全編に漲っている。そして「彼女はひとり」ですべてを敵に回し、否定することで世界を抱きしめるという離れ業を堂々とやってのけるのだ。驚嘆した。

森崎ウィン コメント

こんなにドキドキした1時間、味わった事がない。ストーリー運び、俳優が吐く言葉、凄く好きです。脚本が欲しい。女優、福永朱梨さん、素敵過ぎました。本人には恥ずかしくて直接言えないのですが、そう強く思えた作品に出会えました。

根矢涼香 コメント

福永朱梨さん演じる澄子の、時折訴えかける眼の奥の寂しさに心が消え入りそうになる。
皆が皆、好き勝手に吐き出して、散らかして、
残されたものは顧みずに踏みつけて歩いていく。

誰もこの声など聞こえていない、見ていない。
どこにもいない。幽霊はどちらかわからない。

引っ掻き回された世界で目を回さずに歩くために、
世界をかき回し直す彼女の視界は、明るくなるどころか依然混沌として、
周囲を巻き込みながら淀んだ川の底へと、ゆっくり沈んでゆく。

鶴田法男 コメント

死の淵から帰還した少女が、ある町のおぞましい人間関係を暴いて崩壊させていく。イーストウッドの「ペイルライダー」と横溝正史の世界が出会ったようなおぞましい物語なのに、若い女性監督が作った爽快なまでのギャップに度肝を抜かれる必見作!

まつむらしんご コメント

ひとりの少女の復讐劇にみえる。
彼女の動機が徐々に明かされる綿密な脚本。
行き場のない孤独と苛立ちを一瞬で伝える俳優の眼差し。
ヘビーな世界観に一筋の光を差し込む繊細な演出。
あえて一言でまとめるなら…傑作。

安川有果 コメント

「彼女はひとり」、冷たくて突き放した響きのするタイトルだと思ったけど、そうではなかった。
彼女が周囲の偽善を暴き、拒絶し、破壊すればする程、カメラがその孤独に寄り添って、変化の兆しが訪れるのをじっと見守っているようだったのが心に残った。
このとんでもない映画を初めての長編で撮ってしまった中川監督は、一体今後どうなってゆくのだろうかとちょっと心配になる。