妻夫木聡×吉高由里子、初共演で意気投合!? お互いにプレッシャーを感じた『危険なビーナス』
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ベストセラー作家・東野圭吾の同名小説を原作にラブサスペンスを描くTBS日曜劇場『危険なビーナス』。主人公・手島伯朗役に妻夫木聡、ヒロイン・矢神楓役に吉高由里子と初共演コンビを迎え、伯朗と楓が、名家・矢神一族の財産争いを軸に発生した様々な謎を解明しようと奔走する。
今回、リアルサウンド映画部では、妻夫木聡と吉高由里子にインタビュー。初共演とは思えない距離感で、各々のイメージを語った。
妻夫木聡「プレイボーイで叩かれたい」
ーー今後の2人の関係性や、タッグがどう強まっていくのかを教えてください。
吉高由里子(以下、吉高):2話以降はコミュニケーションがもっとラフになって、クスッとなるような掛け合いも増えてくると思います。「楓は何の仕事をしてるの?」っていうくらい、常にお義兄様のところに来て、一緒に行動することが多いので、私と妻夫木さんの仲もそうやってコミュニケーションをとっていく時間が増えています。
ーー撮影の合間はどんな会話を?
吉高:今はあまり会話をしちゃいけないような空気なので、今までみたいに前室でお話をするという感じはないですね。次のカットの間とかだと、他愛もない話だったり、一緒に台本を読んでいただいたりしてます。
ーー妻夫木さんはどうですか?
妻夫木聡(以下、妻夫木):ごめんなさい、このままどこまで喋らないでいられるかなって(笑)。
吉高:ダメでしょ! すごいだんまりしてるなと思ってた。
妻夫木:吉高さんが本当にムードメーカーになって現場を盛り上げてくれているんです。最近、吉高さんの中で、助監督をいじるのがブームみたいで、助監督さんをいじり倒しているのを見るのが結構面白いですね(笑)。
ーー第1話では、伯朗が楓にビンタされていましたね。
妻夫木:痛かったです(笑)。でも冗談抜きで、ちゃんとやってくれる人ってなかなかいなくて。気を遣ったりする方が多いんですけど、それは人間だからだし、皆さん優しいからなんだけど。やっぱり役をやってるときは、役の感情でやってほしいから、気にせずやってくれるのはすごく嬉しいですね。痛い芝居するのって嫌じゃないですか。「いっ」って言うくらいがよかったので、僕は嬉しかったです。
吉高:撮影に入って3日目とかでしたっけ? まだコミュニケーション取り始めみたいな感じだったので、うーんとか思いながらも、なぜかカバンを左手で持ってしまっていて。左利きなのに右手が空いてしまったので、ここで持ち替えても変だよなと思って。何回もやるのも嫌なので、一発で思い切りいかせていただきました。そしたら思ってる以上に力が入っちゃったみたいで。妻夫木さんが「いっ」って言った瞬間、私「いやー」と思いましたね。「やべー」と思ったけど。
妻夫木:すぐ、「ごめんなさい」って言ってくれましたね。
吉高:ごめんなさい。
妻夫木:やっぱり思いっきりやってもらいたいです。
吉高:またあるんですよ……。
妻夫木:僕、よく役で女性に叩かれるんです。そういうキャラなのかな? 男の人ってそんな女性に叩かれるかな? プレイボーイだったらわかるんですけど、プレイボーイの役なんて1回もやったことないんです。プレイボーイじゃなくて叩かれるのって何なんだろうな(笑)。
吉高:プレイボーイ1回もない(笑)。
妻夫木:どちらかというと、プレイボーイで叩かれたいよね。「最低!」みたいな感じで。
妻夫木聡は“明るいモンチッチ”?
ーー撮影を経てお互いの印象が変化したところはありましたか?
吉高:失礼ですけど、はじめは「イェーイ」みたいな、モンチッチなイメージがあって。けど、すごく考える人なんだなって。考えて考えて、考えすぎちゃう人っていうくらい、常に頭が動いていて。あとはすぐ引きずって、反省をする、すごくナイーブな方なんだと思いました。
妻夫木:か細いんです、僕は(笑)。普段は基本的にモンチッチみたいなタイプだとは思うんですけどね。
吉高:もう、明るいモンチッチで、図太い人だと思ってたんですけど、全然違って。繊細なんです。
妻夫木:吉高さんは本当に勘が鋭い人だと思うんです。感性で動いていると思っていたところもあったんですけど、そもそも本当に頭がいいんです。感覚だけじゃない部分を自分で意識させないようにいるのはすごいと思います。周りにあまり気を遣わせない人で、意外と自分が犠牲になって、いろんなことをやろうとしている。会う前はあまり汲み取れなかった部分だったので、それは発見でした。
ーーお互いの演技を受けて感じた刺激はありますか?
吉高:妻夫木さんは、私がどんなに転がり落ちていこうとしていても拾い上げてくれる、頼もしくて安心感がある方。丸投げしちゃうところもありますし、初共演って思えないぐらい気持ちいい感覚でいてくれて。もちろん尊敬もしてますし、信頼もしていて、会って間もないけど絶対大丈夫だって思うのは、楓と伯朗の関係性に似てるかもしれません。
妻夫木:楓は得体の知れない人で、僕も魅力的に演じてほしいと思っているので、本当に自由にやってほしいなと最初からずっと思っていて。だから、現場ではいつも、どんなことでも受け止められるようにいるつもりです。吉高さんは変幻自在なところがあるので、ずっと見ていて楽しいです。
「原作がある物語は、毎回怖い」 東野圭吾原作への挑戦
ーー今回、東野圭吾さんの原作を映像化する上で、1番意識していることはなんでしょう?
吉高:やっぱり原作がある物語は、毎回怖いなって思うんですよね……原作ファンの方もいるし、もうその方の中で人物像というかイメージができているだろうし、その出来上がったイメージの中に自分が馴染めるか、許されるのかなっていう不安はいっぱいありますね。楓は得体の知れない人物で、何をやっているのかも分からないし、どこから来たのかも分からない、本当に弟の嫁なのかどうかもわからない。すごく明るくて、人懐っこい性格ではあるんですけど、“なんなんだろうこの人?”という空気も持ってなきゃいけないなというのは意識してますね。私自身も、原作の楓とドラマの楓は全然違うなとやりながら思っていて、人間味というか柔らかさを出せたらと思っています。
妻夫木:原作があるミステリーなので、どういう展開になるかは皆さんも想像してくると思います。その中で答え合わせにならないように、僕自身も“本当にこういうことなのかな?”って疑ってしまうぐらい、お客さんにいい意味でミスリードさせることも必要だなと思っていて。原作とは違う、ドラマならではのミステリーを見せられるように頑張っていきたいです。
ーー会話劇のシーンも多く、台詞がたくさんあると聞きました。2人のシーンでもすごい喋りますよね。
妻夫木:僕、本当にドラマが久しぶりで。しかも、こんなにテンポが早くて、ト書きがなくて、セリフばかりの台本が初めてなんです。だから、台詞が入らなくなってきて、最近ちょっと本当に歳を感じます(笑)。テンポよく会話劇でやりあったりするのは楽しいし、お互いどっちが先に間違えるか勝負みたいになってくるところもあって、そこに小日向(文世)さんとかが入ってくると難航してくるので、面白いですね。
吉高:台詞量も多いんですけど、出ているキャストの方の人数も多いので、その会話を追うのもすごく楽しいです。伯朗のひとり演説が毎話あるのも刺激的ですし、私はすごく噛みやすいので、そういう会話の中でひと言を挟むときに絶対に間違えないようにしなきゃっていう謎のプレッシャーに襲われたりもして。伯朗の長台詞が終わって私が喋るときにつまづかないようにしなきゃとか、もう怯えながらやってます。
妻夫木:吉高さんは自分が間違えても、監督とかの指示を待たずに勝手に仕切り直しますからね(笑)。
吉高:なかったことにしてくれっていう感じでやってます。
ーー原作者の東野さんが「役者さんたちに思いっきり好きなように遊んでもらいたい」とコメントしていましたが、それを受けてどうでしょう?
吉高:楽しめたらもう、それは遊び心なのかと思うので、現場で1番に楽しむくらいの気持ちで、思いっきり挑めたらなと思います。
妻夫木:そうおっしゃっていたことをさっき思い出して。もうだいぶ撮っちゃったんだけど、ちょっと今からプレッシャーを感じてきました。思い出さなきゃよかったな(笑)。
ーーすみません、忘れてください(笑)。
吉高:また引きずっちゃうから、すぐ。
妻夫木:「これで東野さん大丈夫かな?」ってすぐ考えちゃうタイプなので(笑)。あまり気にせずやれたらいいかな。でも原作者の方がそうおっしゃってくれるのはすごくありがたいです。僕らは僕らの中でドラマを作り上げていくっていう思いがあるので、変に東野さんの顔色を伺いながらやるのは違うと思うし。面白くて次が観たくなるドラマを視聴者の方に届けるのが僕たちの使命なので、今まで通り、目の前にあるものに真摯に取り組むだけですね。
ーー登場人物が多いなかで、2人が特に注目してほしい人物は?
吉高:女性陣みんなですね。波恵叔母様(戸田恵子)は迫力があるし、祥子叔母様(安蘭けい)の威圧感も怖い。佐代さん(麻生祐未)があの笑顔でたったひと言セリフを言うだけで、凍らせるような空気感を作るのもすごいなと思います。男の人の方が弱いんじゃないのかなっていうくらい。
妻夫木:確かに出てくる男全員弱いな(笑)。
吉高:矢神家は女の方がたくましく生き延びそうな家系だなって。女性の迫力が見どころですかね。憲三さん(小日向文世)のところも結局、順子さん(坂井真紀)が引っ張っていっているような夫婦ですし。
ーーその怖い女性陣と対峙するお芝居はどうですか?
吉高:私、1話のときは恐怖でした。なんでセット初日でこんなのさせられるのと思って。じっとり見られるし、長いし。
妻夫木:それは、そういう役なんだからしょうがないじゃん(笑)。
吉高:本当に怖いなって。滝汗かいてました。
ーー妻夫木さんの注目人物は?
妻夫木:登場人物も誰一人として普通の人がいないんです。みんなちょっとおかしい。この人はさすがに普通でしょって皆さん思う人がいると思うんですけど、全く普通じゃないので、どう普通じゃないのかをそれぞれで考えてみてもらいたいです。その油断してるところにジャブをかましたいなと思います。
ーー伯朗は普通じゃない?
妻夫木:伯朗は妄想してるので、全く普通じゃないですね。
吉高:妻夫木聡も普通じゃないですからね。
妻夫木:ちょっと待ってよ、そういう話(笑)?
吉高:そうでしょ。キャラクターも人柄もっていうことじゃなくて?
妻夫木:俺の話になってるの?(笑)
吉高:あはは。
妻夫木:(笑)。そうやって毎回、普通じゃなさが解き明かされていくので、こいつこんなにおかしなやつだったんだって、そういう違った見方でも楽しめると思います。綿密にできた脚本なので、実は伏線をいろんなところで張っていて、その伏線を回を増すごとにどんどん回収していくので、なんとなく出てる人もちゃんと見ていてほしいですね。
■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
製作:共同テレビ、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikenna_venus/
(c)TBS