ガールズグループEXID、日本初単独公演で「夢を越える挑戦を」 休止中メンバーとの生電話に涙
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8月に日本デビューする韓国のガールズグループ・EXID(イーエックスアイディー)が、6月27日に東京・Zepp Tokyoにて日本初単独公演『EXID PREMIUM DEBUT SHOWCASE ”Exceed In Dreaming” in JAPAN』および日本デビュー会見を行った。この記事では夜公演の模様をレポートする。
K-POPヒットチャート常連ガールズグループ・EXIDとは?
EXIDは、ソルジ、LE(エリー)、ハニ、ヘリン、ジョンファからなる5人組。2012年8月、BEASTやT-ara、Apinkらの楽曲を数多く手がけるヒットメーカー・シンサドンホレンイが総プロデュースしたミニアルバム『Hippity Hop』で韓国デビュー。2014年に発売した4thシングル曲「UP&DOWN」の、ファンカム(ファンが撮影したライブ映像)が動画サイトにアップされたところ、メンバー・ハニのキュートなルックスや妖艶なダンス姿がSNS上を駆け巡り、それまで圏外であったチャート順位が逆走を始め、ついに韓国音楽番組でチャート1位を獲得、“チャート逆走のアイコン”として一躍有名となった。その後は、音楽番組で高い歌唱力や優れたチームパフォーマンスを発揮する一方、バラエティ番組では気さくなキャラクターで親しみやすさを感じさせ、魅力を一気に開花させていったEXID。今年4月に韓国でリリースした新曲「내일해(LADY)」はベトナム、マレーシア、台湾、オーストラリアなど8カ国のiTunesチャートで初登場1位を記録するなど、海外でも人気が高く日本デビューを待ち望む声が多く上がっていた。
そんな彼女たちが、8月22日に徳間ジャパンコミュニケーションズよりシングル『UP&DOWN[JAPANESE VERSION]』で日本デビューを果たす。日本公式ファンクラブや公式モバイルも発足され、8月に東京・Zepp Tokyoと大阪・Zepp Osaka BaysideにてMTVのプロデュースでライブを行うことも決定。夏から日本での活動が本格的にスタートする。
セクシー&キュートな「UP&DOWN」で日本デビュー
それに先駆けて行われた今回のショーケースイベント。EXIDの日本上陸を心待ちにしていたファンでZepp Tokyoは2階立見まで埋め尽くされた。ファン層の中心は10代、20代の女性だが、男性ファンも3割ほど。皆、グループロゴの書かれたオフィシャルペンライトを手に、一丸となってEXIDの晴れ舞台を応援していた。
グループのこれまでの足跡を追ったオープニング映像が流れた後、強烈なビート音と共に床下からリフトアップされながらメンバー4人(※ソルジは甲状腺機能亢進症で活動を休止中)が登場。1曲目は、韓国でEXID人気を印象づけた楽曲「UP&DOWN」だった。日本デビューシングルとして日本語バージョンが制作されるがこの日は韓国語で歌い、場内は割れんばかりの歓声と「ウィ アレ」の掛け声に包まれる。
そして司会の進行のもと、4人それぞれ日本語で「今日は楽しんでくださいね」(LE)、「盛り上がっていきましょう!」(ハニ)と挨拶。初の日本単独公演に、ハニは「本当にすごく感動してます。カムサハムニダ。(うまく日本語で言えなくて)すみません」とこぼす。この日はオフショルダー&ヘソ出しのトップスに黒のホットパンツという露出度の高い衣装だったが、曲中はキュートな笑顔を見せたり、拙い日本語で懸命に話そうとしたり。そんな姿に、セクシーさとかわいさと未成熟感が共存するEXIDの魅力を垣間見た。
異なる個性放つメンバー4人、休止中ソルジとの絆
ライブはメロウナンバー「Night Rather Than Day」、K-POPらしい強いフックを持つ「DDD」と続いていく。このあたりでメンバーは各々の豊かな個性を発揮する。
リードボーカル兼リードダンサーのハニは、メンバーの中でもひときわセクシーなダンスが特徴。現在グループの人気を牽引する存在だ。LEはハスキーボイスで安定感抜群のラップを繰り出すメインラッパーで、リーダーのソルジ不在の今は最年長とあってグループをまとめるお姉さん的役割も担っている模様。ヘリンは、リードボーカルとしてハリのある歌声を響かせる一方、ファンをよく見て手を振るファンサービス旺盛な点も印象に残った。そしてマンネ(末っ子)のジョンファはスタイル抜群のルックスが武器で、ハニと並ぶ“EXIDのビジュアル担当”。明るく社交的な人柄も周囲から愛されている。
イベント中盤では、病により活動休止中のソルジとサプライズで生電話がつながった。ソルジは日本のファンに向けて「今日この会場にいれないのがすごく残念です。でもきっと8月には皆さんに会えると思います。(日本語で)あと少しの間、待っててください。愛してるよー」とメッセージを届けた。ハニは「ソルジさんはいつもありがたい存在だなと思ってます。戻ってきた完全体を皆さんに早く見せたいですし、私たち自身も早く完全体になりたいなと思います」と話し、ジョンファは 「ポゴシッポヨ(会いたいよ)」と涙を拭うシーンもあった。
再び激戦区K-POPシーンから“夢を越える”
「HOT PINK」で本編を終えたあと、「EXID! EXID!」と繰り返すフロアの声に呼ばれてアンコールへ。ビッグサイズのTシャツに着替えて再登場した4人は、ガーリーなヒップホップチューン「LADY」をパフォーマンス。残り1曲を前にしたMCで、デビュー7年目の彼女たちの口から日本活動への意気込みが語られた。
「時間がかかってしまいましたが、長い間ずっと待っててくださった日本のファンの皆さん、本当にありがとうございます。今日は私たちにとって新しい挑戦だったと思いますし、これから先はさらなる挑戦です。私たちEXIDには『夢を越える(Exceed in Dreaming)』という意味が込められていますよね。これから私たちの前にはそんなワクワクすることが待っていると思います。日本でのスタートを今日皆さんと迎えられたことで良い気運が高まって、とても良いことがいっぱいあるんじゃないかと思っています」。温かい拍手を浴びて4人は、ラストにふさわしいハートウォーミングな「How Why」を届ける。そして現在勉強中だという日本語で「今日は本当にありがとう! また会いましょうー!」と別れを告げ、8月の再会を誓ってショーケースを締めくくった。
TWICEのブレイクを皮切りに、BLACKPINK、MOMOLANDなど、日本デビューが相次ぎ再び激戦区となっているK-POPシーン。韓国女性グループと一口に言っても、例えば「シンクロ率の高いダンス」「曲のアプローチがゴリゴリのヒップホップ」「メンバー全員高身長で美脚」などさまざまな個性がひしめいており、その中でEXIDは、何を強みに、日本でどう受け入れられていくのか、日本デビュー以降どんな成長を見せるのか。まだまだ育っていく余剰を持つ、未知数な彼女たちの未来に注目だ。
■鳴田麻未
1990年東京都生まれ。ライター、編集者。2009年に都立工芸高校グラフィックアーツ科を卒業。同年夏から2016年まで7年半にわたって音楽ニュースサイト「音楽ナタリー」編集記者として、ニュース記事執筆、特集制作、企画、営業を行う。2017年1月より独立。Twitter:@m_ami_