Kis-My-Ft2 千賀健永とSexy Zone 中島健人のコラボが実現 「Sen茶」に溢れる“二人のケント”のクリエイティビティ
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10月12日、ジャニーズ事務所の会員制サイト「Johnny’s web」にて、Kis-My-Ft2千賀健永が突如「健人」へ意味深なメッセージを投げかけた。思い当たる「健人」といえば、Sexy Zone中島健人しかいない。中島もまた、千賀にメッセージを返す。
ふたりのメールを覗き見るかのような日々を経て、16日、同時に更新された各々のページ。そこには「#Sen茶」「#ケント2人でコラボしてみた曲」のハッシュタグとともに、ラブソングが添えられていた。
千賀と中島。同じ「ケント」……個人的には“kento”と綴るのがベストではないかと思うのだが、ワールドワイドな名を持つ男だ。
誕生日が10日違いの3歳差。キャリアとしては千賀が5年ほど先輩だが、CDデビューは同年。ともに今年、デビュー10周年に突入する。
デビュー当時、20歳でグループ最年少だった千賀と、17歳でグループ最年長だった中島。置かれた立場は対照的ながら、どちらも俯瞰的にグループを見ている男だ。
双方、バラエティでも爪痕を残す個性派。ときには身体を張ることも厭わないが、ファンのためにいつでもかっこよくあろうという、アイドルとしての芯がある。
また、愛されて育ったことがよく分かる、優しい青年だ。ピュアで涙もろく、感動を表現することをためらわない。その心の美しさこそ、アーティスティックな才の源だ。
千賀と中島を繋ぐ“ピアノ”のキーワード
千賀は作曲を趣味としており、2015年の時点でラブソングやパーティーチューンなど、70曲ほどのストックがあると語っていた。またKis-My-Ft2の派生ユニット・舞祭組の4thシングル曲「道しるべ」の作曲も担当している(参照:『道しるべ』初回生産限定盤B DVDより)。
千賀がピアノ(キーボード)に初めて触れたのは2014年のこと。レギュラー出演していた歌番組『UTAGE!』の企画をきっかけに、Toshlや川畑要、Chage、中居正広ら数々の歌手とのコラボレーションを披露した。
同番組には、千賀と中島による印象深いエピソードも。
番組内で「ピアノといえば千賀」というキャラクターが定まりつつあったころ、番組ゲストにSexy Zoneが登場。「赤いスイートピー」のカバーにて、中島がピアノ演奏を披露した。
小学生のころからピアノを学んでいた中島は、“8人のスイートピーたち”に目配せをしながら温かな演奏を聴かせ、スタジオはスタンディングオベーション。若手の台頭に焦り、ひとり座ってふてくされている千賀をMCの中居がいじるという、バラエティ的な流れが生まれた。中島に物申してやろうと立ち上がった千賀だが、口をついて出たのは「お前、めっちゃ上手いな!」という本音。千賀の素直さと、緊張を隠しやり切った中島。互いの良いところが垣間見えたシーンだった。
作詞・中島健人、作曲・千賀健永により生まれた“恋の歌”
今回webで披露された楽曲は、作詞・中島健人、作曲・千賀健永。自ら別れを告げたはずなのに、心にはぽっかり穴が空いたまま……そんな恋の歌だ。
今の時代だからこそ書ける歌詞の秀逸さに、まず驚く。歌にして残すべき単語が散りばめられている。時代が平成なら、ポケットベル、鳴らないケータイ、留守電のメッセージ。昭和なら、駅の伝言板、舞い戻った手紙……といったところだろうか。
令和ならではの恋愛のツールを歌詞に反映し、過去になってゆく時間の比喩にもまた、流行をうまく取り込んでいる。26歳の中島が描くからこそ、ほんの少しの幼さや、恋への熱も感じられる。
中島が描く歌詞は、情景を思い浮かべられるほど具体的なのに、生々しさがない。きちんとリアルでありながら「こういう恋もあるよね」と、共感できるフィクションだ。まさに「物語」を描く人、その才がある人だと、彼の過去作品を通しても感じる。
そしてピアノが自由に歌うこの曲、千賀の作品らしいと感じた。彼は自作曲のリリースこそないのだが、先述した「道しるべ」の制作ドキュメントに、キーボードとパソコンを使って作曲を行う千賀の様子が記録されている。彼はまずいくつかのインストを「楽曲」として提示。いずれも、ピアノの旋律が映えるバラードだった。
言葉数が多いと難解な楽曲になりがちなのだが、頭にサビをもってくることでリスナーの耳を馴染ませ、うまく世界観に放り込む。また、サビに高音のファルセットを入れることで、印象深いキメのパートが作られている。
ピアノの音階、和音のスタッカートは心地良い「刻み」を作り、ドラマティックな響きとなる。バラードだけれど、跳ねるようなイメージ、雨音のような印象を受けた人も多いのではないだろうか。
ピアノメインのバラードが、気付かぬうちに壮大に展開していくこの曲。最後はピアノの音、それも不協和音で終わる。それがなんとも切なく、やりきれない想いを残す。大事なものをなくした今を、ひとりぼっちを実感するかのように。
さらに驚くべきはふたりの声の調和だ。ファンがかろうじて聴き分けられるレベルではないだろうか。互いに寄せ合っているようにも感じられ、ユニゾンはもはや1本に聴こえる。そこからハーモニーへと枝分かれする部分は鳥肌が立つほど美しく、聴きどころだ。
千賀といえば、Kis-My-Ft2の最新曲「ENDLESS SUMMER」にて大サビ前のフェイクを担当。深みのある甘い歌声にはファンも多く、グループにおける歌唱力の一端を担う存在だ。
中島の強みはキーの広さと演じる歌声。技術を使うことも抑えることもできるため、表現できる楽曲の幅が広い。また、楽曲によって自在に声の表情を変えてみせる感性を持つ。
ふたりの声と表現力は楽器のごとく作用し、楽曲、歌詞が持つメッセージを高めている。
Johnny’s webで、フルサイズの自作曲を聴くことができる時代がきた。それも、グループもレーベルも飛び越えたコラボレーションだ。ファンへの愛情とサービス精神、エンターテインメントの可能性を感じる。クリエイティビティに溢れた「Sen茶」。隠れていてはいけない希望が、ここにある。
■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。
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