小沢真珠が語る、『牡丹と薔薇』でのイメージへの本音 『ルパンの娘』悦子役も転機に
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女優として世間に知られるきっかけとなった月9ドラマ『君といた夏』(フジテレビ系、1994年)での清楚な少女役のイメージから、2004年に放送された昼ドラ『牡丹と薔薇』(東海テレビ・フジテレビ系)で「役立たずのブタ!」と罵り、インパクトを放ってきた小沢真珠。以来、迫力のある悪女役のイメージが強い小沢だが、昨年に引き続き出演している『ルパンの娘』(フジテレビ系)でも、深田恭子演じる華の“母親”という役どころで、エキセントリックさにますます磨きがかかっている。
今回、リアルサウンド映画部では、小沢にインタビューを行い、『牡丹と薔薇』で染み付いたイメージに対しての本音や、『ルパンの娘』での反響をどう感じているのか語ってもらった。(編集部)
「テンションを上げるのにすごく苦労した」
――前作の撮影時から、「続編があったらいいな」との思いはありましたか?
小沢真珠(以下、小沢):「続編があったら」までスケールが大きいものではないですが、悦子という役を初めて演じる時、テンションを上げるのにすごく苦労したんです。初日に監督から「もっと、もっと、もっと上げて!」と言われて、本番も十何回もやって。でも、それを超えて“悦子のテンションはここなんだ”というポイントを見つけてからは、楽しめるようになりました。終盤には色々と遊べるようになってきていたので、正直、この役から離れたくないと思っていましたし、もし「また、やってください」と言われたら、是非という思いはありました。
――悦子は55歳で、深田恭子さん演じる華のお母さん。そんな役柄を小沢さんが演じられると聞いて驚いたのですが、小沢さんご自身は、どう思われましたか?
小沢:今、本当に忘れていました……自分が55歳だってこと(笑)。そのくらいに馴染んじゃってるんですけど、最初は大丈夫かな? という不安はありました。でも、監督が教えてくださったことを忠実にやっていけば、自然と55歳に見えてくるかなと。“55は後からついてくる”みたいな(笑)。私の不安を、悦子のテンションとキャラクターが上回っちゃったんですよね。だからもう、誰もツッコめないようにしちゃっている気がします(笑)。
――反響もすごく大きかったのでは?
小沢:私は娘が2人いるんですけど、幼稚園のお友達も『ルパンの娘』が大好きになってくれました。だから、子どもたちを惹きつける何かがあるのかなと思いますね。ママたちは詳しく理解してくださっているので、続編のオンエアが始まる前から「そろそろ、始まりますね!」「お忙しいでしょう」って(笑)。
――(笑)。続編クランクイン前のお気持ちは?
小沢:前作と比べたら、緊張感や不安な要素はもちろんなくて、楽しみのほうが大きかったです。撮影が始まってからは、やっぱり「大丈夫かな」とか「足りないかな」とか常に考えていますけど、それでも前回とはだいぶ違います。
――感覚的に、すぐ悦子に戻れましたか?
小沢:それが、自分でもびっくりするくらいすぐに戻れました(笑)。いくら一回やっているとはいえ、実際、現場に入ってみないとわからないじゃないですか。また、テンションを上げるまでに時間がかかるのかなと思ったら、まったくそれはなかったです(笑)。
――そのくらい、悦子が体に馴染んでいたんですね。
小沢:そうですね。あとは、みなさんと1年前と変わらないテンションでの掛け合いがあったので、そういうところに引っ張られたっていうのもあると思います。全体の雰囲気と、それからセットですよね。あのセットさえあれば大丈夫、というところまで作り込まれているので。
「楽しい世界に行ける、という喜び」
――悦子を演じる上で、大事にしていることを教えてください。
小沢:感情の振り幅を大きくすることです。ひとつひとつの出来事に、人以上に感動したり、悲しんだり。疲れてくるとそれが難しくなるけど、そこがバロメーターになってくるので、いつも元気でいないと悦子はできないなと思っています。
――演じる上で大変なのは、やはりテンションを上げることですか?
小沢:逆を言うと、テンションさえ上げてしまえばサーッと流れていくので、難しいこともクリアできる。渡部(篤郎)さんみたいな繊細なお芝居をされる方と比べたら、テンションを上げればいいので……(笑)。ただ、シーズン2になって、渡部さん(演じる尊)と初めてケンカがあったり、今までにない出来事も増えているので、シチュエーションが変わるごとに一個一個大変ではありますね。
――小沢さんのお話を聞いて、楽しんで演じられていることが伝わってきます。
小沢:本当に脚本がおもしろいので、まずは本を読むのが楽しみです。それでふと、「あ、これ自分がやるんだ」と思い出したりして(笑)。楽しい世界に行ける、という喜びはありますね。
――視聴者として物語を楽しませてもらっていますが、小沢さんが「こんな作り方をしているから、魅力的になっているのでは」と内側から感じるおもしろさはありますか?
小沢:私たちがおもしろいと感じているところは、みなさんも観ていておもしろいと感じてくれているんだろうなと思っています。演出でいうと、世界観や脚本が日常離れしていて、セリフ自体がコントみたいにおもしろいところもあるので、逆に現場ではふざけず、すごく真剣にやっているということはありますね。笑わせようするのではなく、「お笑いに見えちゃうから」と、あえて抑えたり。監督からリアルさを指摘されたりもするので、そういうところは観ている方にどう届いているかな? と思っています。
――そのリアリティが、きっとおもしろさに繋がっているんですね。ドラマでは、泥棒スーツ姿も印象的です。初めて見た時のことを覚えていますか?
小沢:すごくカッコいいなと思いました。最初はロケをしていても、みんなで「これで外を歩くって……泥棒スーツだよ!?」みたいな雰囲気がありましたが、今はまったくなくて、堂々と歩いています(笑)。
――1年ぶりに、泥棒スーツを着た感想は?
小沢:泥棒スーツはぴったりなので、自分の体型の変化がすごくわかるんです。(前作を撮影していた)3カ月くらいの間は、なんとか見て見ぬふりができていたんですけど、1年経つとそうはいかなくて、要所要所直しました。どんぐりさんも「大丈夫かな」と心配されていたりして、女子に体型を気にさせるスーツです(笑)。
――(笑)。それでも、あのスーツを着ると気分が上がりそうです。
小沢:そうですね。私はアクションがあまりないですけど、普通の洋服でやるよりは、ちょっと機敏になれるような気がしています。
――現場の雰囲気も、とてもよさそうですね。
小沢:パート1よりパート2のほうが、さらに良くなっている気がします。意外と、「続編をやったことがない」という方が多くて。「またみんなで一緒にやれる」という気持ちもあるのかもしれないですね。
――小沢さんは、どのように共演者との仲を深めていらっしゃいますか?
小沢:みなさん本当に、ふだんからおもしろいんですよ。なので、私はそれを聞いて笑っています。とくに渡部さんのエピソードは、おもしろすぎて(笑)。本番前まで、みなさんのお話を聞いて、笑って、温まることで、よりお芝居にのることができています。
――深田さんとはどんなお話を?
小沢:恭子ちゃんとは、本当に日常の話です。子どものこととかを聞いてくれるので、本当に他愛ない話ですね。「昨日、何食べた?」というレベルのお話です(笑)。
――(笑)。続編の撮影で、印象的だったエピソードはありますか?
小沢:なんだろうなぁ……毎日のことなので、良い意味で忘れていく感じなんですよ。今のところ、ハプニングも特になく、順調に進んでいます。
――先ほど「小沢さんの歌収録」があると聞いて、歌とは!? と思っております。
小沢:たしかに、そういう個人的なハプニングはありますね(笑)。「私が歌うの!?」って。毎回毎回、意外な展開があるので、逆に現場ではみんなゆる~い感じで穏やかに過ごしています。溜めておかないと、あのテンションでやれないのかもしれないです(笑)。
「その引き出しを開けたからこそ今がある」
――小沢さんは、2004年の『牡丹と薔薇』で大ブレイク。演じた香世役のイメージが強いことは、女優としてプラスになった部分だけではなかったのかなと思うのですが、いかがでしょうか?
小沢:よく、そう言われるんですよね。でも私の中では、その役をやったことの大きさや価値みたいなものが上回っていて、いまだにあまり気になっていないんです。そこでお芝居も成長できたし、あの役をもらえたことは、私にとって大事なこと。他の役ができなくなるのは寂しいので、これからもいろいろな役をやらせていただきながら、ゆるやかに変わっていけたらいいのかなと。今回の悦子も、自分にとってまたひとつの転機になったように思います。『牡丹と薔薇』で引き出しをひとつ開けて、その引き出しを開けたからこそ今がある。悦子はニュアンスが違う部分ももちろんあるけど、その引き出しが開いていなかったら、絶対にできなかった役ですから。
――現在育児中の小沢さんですが、出産を経て、仕事に対する意識は変わりましたか?
小沢:ガラッと変わりました。子どもが生まれるまでは、1日24時間たっぷりと自分に使えましたが、今はそれが少なくなりました。でも、気持ちの上では1日の時間が2倍くらいになっていて、結局あまり変わらないのかもと思っています。単純に“忙しさ”で考えるとデメリットのはずなのに、今のところはメリットしか感じていないです。
――仕事と育児の切り替えは、どうされているんですか?
小沢:切り替えていないです(笑)。子育てって本当にバタバタで、頭で考えないでやっているんですよね。なので、あまりオンオフをしないで、子どもが寝たら「あぁ~時間ができたぁ」と、自然と台本を覚えています。でも、そういう感覚が、仕事をやりやすくしてくれているのかなとも思っています。
――今後、女優として“こう歩んでいきたい”という展望があれば、聞かせてください。
小沢:今は、どんな役をやりたいとか、作品をやりたいということは考えられなくて、とにかく「悦子!」という感じです(笑)。でも、こういうやりがいのある役をやらせていただく機会がこの先にもあるように、努力しなきゃいけないなと思いますね。
■放送情報
木曜劇場 『ルパンの娘』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~放送
出演:深田恭子、瀬戸康史、橋本環奈、小沢真珠、栗原類、どんぐり、藤岡弘、(特別出演)、松尾諭、大貫勇輔、信太昌之、マルシア、我修院達也、麿赤兒、渡部篤郎
原作:『ルパンの娘』 『ルパンの帰還』 『ホームズの娘』 横関大(講談社文庫刊)
脚本:徳永友一
プロデュース:稲葉直人
監督:武内英樹、洞功二ほか
制作・著作:フジテレビ 第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/Lupin-no-musume2020/
公式Twitter:@lupin_no_musume
公式Instagram: @lupin_no_musume
■公開情報
『本気のしるし 劇場版』
全国公開中
出演:森崎ウィン、土村芳、宇野祥平、石橋けい、福永朱梨、忍成修吾、北村有起哉ほか
監督:深田晃司
脚本:三谷伸太朗、深田晃司
原作:星里もちる『本気のしるし』(小学館ビッグコミックス刊)
制作協力:マウンテンゲート・プロダクション
製作:メ~テレ
配給:ラビットハウス
(c)星里もちる・小学館/メ~テレ
公式サイト:https://www.nagoyatv.com/ honki/
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