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【レポート】w.o.d.がオルタナ/グランジロックの系譜と進化を見せつけた“画期的“配信ライブ

音楽

ニュース

ぴあ

神戸発の3ピース・バンド、w.o.d.が自身第2弾となる配信ライヴ『w.o.d. live session Ⅱ〜3cameras〜』を開催した。

w.o.d.

そのイベント名にある通り、画面には「Camera1 ヤマゴエ"サスケ"ヒロユキ」「Camera2 森山将人」「Camera3 篠塚将季」とクレジットがあり、計3つのスクリーンが設置されている。そう、一本のライヴを3台のカメラで捉える画期的な試みが成された配信ライヴとなった。しかも基本的にメンバー1人を1台のカメラで捉えた映像が流れるものの、そのカメラは時間と共にほかのメンバーに切り替わる流動性を持っている。どこからどう観るかは、あなた次第、あなたのチョイス。配信を逆手に取った突飛なアイデアを仕掛けてくるところも彼ららしい。普通じゃつまんねえだろ?と、ニヤリと微笑むメンバーの表情が透けて見えてくるようだ。

w.o.d. live session Ⅱ〜3cameras〜

サイトウタクヤ(Vo/G)は総柄のパジャマシャツ、Ken Mackay(B)はアメフト風シャツ、中島元良(Dr)はキャップを後ろに被り、三者三様のファッションでメンバーがスタンバイ。ギターの軽やかなカッティングが響くと、「Mayday」でスタート。赤髪の隙間から鋭い眼光を放つサイトウ、激しく肩をいからせながら図太いベース・ラインを弾き出すKen、野性味溢れるビートを叩き付ける中島。1曲目からソリッドかつタイトに引き締まった演奏が実に心地良かった。サイケなロック・チューン「PYLAMIDS」に移ると、バンドのアンサンブルはもう一段ギアが上がるように加速する。

観ているだけで汗が出てきそうな興奮に包まれながら、次は「QUADROPHENIA」へ。ベースとドラムが息をピタリと合わせ、RED HOT CHILI PEPPERSからの影響を感じさせる肉感的なグルーヴを解き放つ。本能に火を付け、フィジカルに訴えかける強烈な演奏にテンションは上がるばかりだ。時折、叫ぶように歌い上げるサイトウのヴォーカルも危機迫る緊迫感を帯びている。3曲目の時点で完全にスパークし切った熱量にただただ圧倒。

サイトウタクヤ(Vo/G)

そのパッションを「丸い真理を蹴り上げて、マリー。」に引き継ぎながら、「lala」へシームレスに繫ぐ。切れ味鋭いギターと生き物のごとく蠢きベースが鼓膜を乱し、飛びっきりラウドなドラムがダメ押しのトドメを差す。爆発力漲る演奏の上で「lala、lala la〜♪」のキャッチーなコーラス・ワークがより一層映えていた。こうしたギャップの激しさも彼らの音楽的魅力である。ノイジーに突き放しながら、人懐っこいポップさも兼ね備えている。そのどちらもw.o.d.なのだ。

Ken Mackay(B)

中島元良(Dr)

歌始まりの「ハロウ」はギター一本でも成り立つメロディの良さに惹き付けられ、続く「サニー」は歌メロと激しい演奏が共存してプリミティヴなロック衝動を突きつけてくる。ここで「新曲やります!」とサイトウが突如告げると、10月16日リリースの配信シングル「sodalite」を披露(※本日10月23日MUSIC VIDEO公開、詳細はページ下部にて)。ヘヴィに歪み切った特徴的なベースが轟く中、天空に手を伸ばすような透明度の高いヴォーカルが印象的だ。疾走感に富む曲調も焦燥感を煽り、心臓の高鳴りを抑え切れない。何度も音源で追体験したくなる中毒性のある曲調だった。

「どうもw.o.d.です。配信、自分らでやるのは2回目なんですよね。ライヴがなかなかできない中、どうしようかと思って。楽園なんかないという曲を書いたんですけど、ないと思うんですよ。ライヴとか音楽とかって、俺らにとっては楽園やったかもなって、そういう気持ちを込めて1曲書きました。この配信を観ているあなたの楽園になればいいと思います」とサイトウはこの日最初にして最後のMCを挟み、「楽園」をプレイ。「楽園なんて存在しない ヤバい 知らないまま大人になった」と冒頭の歌詞で行き場のない感情を吐露しつつ、じゃあ、俺たちで轟音という名の楽園を作ろうぜ!とポジティヴに変換したサウンドの出力は凄まじい限りだ。ピンクの照明も妖艶なロックの恍惚感を炙り出し、トロけるようなかっこ良さに漲っていた。

ライヴは早くも終盤を迎え、バンドのエンジンは回転数を上げていく。駆動力を発揮した「Wednesday」を経て、「Fullface」においてはベース〜ドラム〜ギターと徐々に楽器が折り重ねるボトムアップ方式で重厚なサウンドを脳天に叩きつけてくる。その情熱的なプレイは画面越しでも十二分に伝わってきた。「KELOID」に入ると、オルタナ経由の不穏なヘヴィネスを撒き散らし、観る者の胸ぐらを掴んで執拗に揺さぶりをかけてくる。そして、ラストは「1994」でピリオドを打った。3人のアンサンブルは輪郭をさらに鮮やかにし、サイトウは自身が生まれた年(1994年)を刻み付けた楽曲を爽快に歌い上げる。そこには時間軸を吹っ切るような決意に満ちた歌声と演奏だけがあった。これから俺たちの手で新しい時代を作っていくんだ。そんな不敵で剛胆な意志だけがゴロリと横たわっているように感じた。

90年代はメタル、グランジ、オルタナ、ヒップホップ、パンク、ミクスチャーなど刺激的な音楽を掲げたアーティストが溢れ返り、豊潤な音楽シーンが花開いた時代だった。特にグランジ / オルタナティヴ・ロックに強いインスパイアを受けたw.o.d.の音は尖鋭的かつ野性味に溢れている。今回の配信ライヴを観た後、80年代後半から90年代に出たMADHONEY『SUPERFUZZ BIGMUFF』、NIRVANA『BLEACH』、ALICE IN CHAINS『DIRT』、SOUNDGARDEN『BADMOTORFINGER』などのグランジ / オルタナの名盤を聴き返したくなる衝動に駆られた。w.o.d.の音楽性はあの時代の精神を継承したロックの獰猛性に満ちている。ポピュラリティを備えつつ、鋭利な牙を忘れない希有なサウンドに心底酔いしれた。


取材・文 / 荒金良介



-セットリスト-

1. Mayday
2. PYLAMIDS
3. QUADROPHENIA
4. 丸い真理を蹴り上げて、マリー。
5. lala
6. ハロウ
7. サニー
8. sodalite
9. 楽園
10. Wednesday
11. Fullface
12. KELOID
13. 1994

- Cameraman –

Camera1:ヤマゴエ ”サスケ” ヒロユキ
Camera2:森山将人
Camera3:篠塚将季

ライブ情報

第2弾配信ライブ「w.o.d. live session Ⅱ~3cameras~」

チケット:視聴券 2,000円(税込)
10/31(土)18:00までチケットぴあにて販売中 ※10/31(土)23:00 までのアーカイブ視聴が可能となります。(巻き戻し再生・視聴回数制限なしでお楽しみいただけます。)


チケット購入URL:https://w.pia.jp/t/wod-pls/



w.o.d. - 『w.o.d. live sessionⅡ~3cameras~』(Streaming on 2020.10.15) Teaser

東名阪ワンマンツアー

『w.o.d. presents limited show "キャパシティ80"』
11/18(水) @名古屋UP SET
OPEN 18:30 START 19:00

『w.o.d. presents limited show "キャパシティ137"』
11/19(木) @大阪シャングリラ
OPEN 18:30 START 19:00

「w.o.d. presents limited show "キャパシティ200"」
12/4(金) @代官山UNIT
OPEN 18:00 START 19:00


チケット:オールスタンディング 3,500円(D代別途)
11/1(日) 一般発売

リリース情報

『sodalite』ジャケット

Digital release「sodalite」
2020年10月16日(金)
各種DLサイト&サブスクリプションサイトにて配信リリース
https://orcd.co/sodalite

w.o.d. - sodalite [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

<Total Information>
w.o.d. official site:www.wodband.com



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