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町田啓太、“おかしみ”を作り出す独特の個性 『チェリまほ』黒沢役でも魅力が爆発

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リアルサウンド

 テレビ東京ほかで放送中の木ドラ25『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称:チェリまほ)が好評で、海外からも注目を浴びはじめている。

 物語は、30歳の誕生日まで童貞だった安達(赤楚衛二)が、誕生日のその日、人に接触すると、その人が何を考えているのかがわかりだすというところからスタートする。

 第1話では、安達が同期の黒沢(町田啓太)と社内のエレベーターで一緒になったときに偶然、彼に触れることになり、黒沢の自分への思いを知ることとなる。

 原作は豊田悠による同名コミック。これまでにもBLの世界を描いた映画やドラマは作られてきたし、海外でも盛り上がりを見せつつある実写BLの世界であるが、本作はさらに一段階上の熱狂を集めつつある。

 このドラマの中で、黒沢を演じているのが、劇団EXILEの町田啓太。黒沢というキャラクターにぴったりとはまっている。

 安達は、今まで誰とも付き合ったこともなく、先のことを心配しすぎるところがあり、先輩からそのことをいじられたり、仕事を頼まれると断れない性質。そんな安達からみると、黒沢は、営業部のトップの成績で、女性にも上司にも評判がよく、安達にとって「同期であることと、性別以外は共通点ゼロの男」と半ば、やっかみを感じるほどの存在であった。

 しかし、黒沢の本心を“魔法”によって知ることで、安達は黒沢へのやっかみの気持ちや、彼の好意に裏があるのではないかという気持ちを改めることになる。2人の気持ちが近づく過程が、とても美しく描かれていて、ときにホロっとさせられる場面があるのだ。

 それと同時に、コミカルで笑える部分もある。それは、男性同士の愛情を揶揄してそれをコミカルに見せているのでは決してない。

 町田が爽やかにそこにいるだけで、なにか“おかしさ”が漂っているとでもいえばいいだろうか。黒沢は、涼しい顔をしながら、いろんなことを頭の中でぺらぺらと饒舌に語っていて、その見た目と、頭の中のギャップがコミカルに映るし、安達の残業中に爽やかにコーヒーを差し出すその動きだけでも、どこか笑えてしまう。

 もしも黒沢をほかの人が演じたら、また違う雰囲気の作品になっていたのではないかとも思えてくるほどだ。

 『チェリまほ』を観ただけでも十分、黒沢を演じる町田啓太の独特の“おかしみ”は伝わると思うが、町田のこれまでの演技を知っている方は、より一層その“おかしみ”が感じられると思う。

 劇団EXILEが総出演、SABUが監督を務めた映画『jam』では、町田は“ピュアボーイ”西野タケルを演じた。入院中の恋人の意識が、“善いこと貯金”をすれば戻るのではないかとタケルは奔走する。そのまっすぐさに、ときおり凶器のようなものをにじませていた。

 また、『PRINCE OF LEGEND』で演じた「先生王子」の結城理一は、ただひたむきに王子であることを追求しており、『チェリまほ』の黒沢と同じように、頭の中の情報力は多く、ひとりでぶつくさいろんな考えており、それがおかしさを感じさせていた。

 映画『前田建設ファンタジー営業部』では、掘削オタクのヤマダを演じたが、作業着に無造作な長髪、そして掘削に対してはひたむきで、早口で語りまくすというそのキャラクターがおかしく、そんな姿に最初は眠気に襲われていたエモト(岸井ゆきの)が、徐々にヤマダの「土って感じ」の人間性に惹かれていくというのも良きシーンとなっていた。

 たくさんの映画やドラマに出ている町田が、そんな“特殊”な役ばかりやっているわけではない。役によって、違った魅力を放っているし、こうした“おかしみ”のある役は、たくさん演じてきた中の一つにすぎない。

 しかし、これらの作品から見えてくるのは、町田は、何かにひたむきで、邪念がなく、周りも見えなくなるほど夢中になっている姿を演じているときに、その“おかしみ”が爆発しているということだ。『チェリまほ』では、“おかしみ”に加えて、邪念の一切ない優しさがときに安達と視聴者の胸を打つ。“おかしみ”と誠実さ、清廉さを両立できるのが、町田の俳優としての稀有な才能だろう。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
木ドラ25『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』
テレビ東京ほかにて、毎週木曜深夜1:00〜1:30放送
BSテレ東/BSテレ東4Kにて、毎週火曜深夜0:00〜0:30放送
※放送日時は変更になる可能性あり
出演:赤楚衛二、浅⾹航⼤、ゆうたろう、草川拓弥(超特急)、佐藤玲、鈴之助、町田啓太
原作:豊田悠(掲載『ガンガンpixiv』スクウェア・エニックス刊)
オープニングテーマ:Omoinotake「産声」(NEON RECORDS)
エンディングテーマ:DEEP SQUAD「Good Love Your Love」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監督:風間太樹、湯浅弘章、林雅貴
脚本:吉田恵里香、おかざきさとこ
プロデューサー:本間かなみ(テレビ東京)、井原梓(テレビ東京)、熊谷理恵(大映テレビ)
制作:テレビ東京 大映テレビ
製作著作:「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会
(c)豊田悠/SQUARE ENIX・「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/cherimaho/
公式Twitter:https://twitter.com/tx_cherimaho