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カツオマヨ、ソーライス、バター醤油まぶしご飯……『美味しんぼ』庶民的メニュー、本当に美味しいのは?

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リアルサウンド

 料理漫画の草分け的存在『美味しんぼ』。高級なものばかりが紹介されている印象を持つ人もいるが、じつは家庭で真似できるような庶民的な料理も多く、実際に作った人もいると聞く。

 そこで今回は『美味しんぼ』に登場した料理で、筆者が味わってみた料理を取り上げてみたい。

カツオの刺し身にマヨネーズ

 フランス料理店で血のソースをかけた鴨肉料理にわさび醤油を持ち込み、「こちらのほうが美味い」「懐石料理は料理人の指定した食べ方を無視すると料理は崩壊する」と罵倒した海原雄山。同席した山岡士郎は「懐石料理はそんな不自由なものじゃない」と反論する。

 後日、山岡が提示した「懐石料理の自由な食べ方」は、カツオの刺し身にマヨネーズをかけるというもの。様子を見た雄山は高笑いし、味方であるはずの富井副部長も「やけを起こした」と驚愕する。

 しかし栗田ゆう子が味わってみると「美味しい」と叫ぶ。その後、同席した人々は一様にその味を絶賛。「カツオはショウガ醤油で食べるものだ」と主張する雄山を山岡は叱責するのだった。(美味しんぼ2巻)

 実際にカツオマヨネーズを食べてみると、カツオ独特の匂いをマヨネーズの味が包み込み、絶妙なハーモニーを生み出した。カツオだけではなく、回転寿司チェーン店などではサーモンにマヨネーズをかけた寿司も人気となっており、カツオやサーモンなどには合う印象がある。

ソーライス

 美男子を装うが、じつは小さな建設会社の社長で、飯場暮らしを愛する庶民派の男性が愛する食べ物がソーライスだった。

 同席した山岡はご飯のみを食べようとしていることに「飯だけ? おかずはないの?」と、驚いてしまうが、男性は横に置いてあったウスターソースをご飯にかけ口にかきこみ、「ピリリと辛い味の下から甘い味が広がって、それが飯粒の甘味と混ざり合って。はあ極楽極楽」と笑顔を見せる。

 食通の山岡だがこれは食べたくないと思ったのか口にすることはなく、「ほんとに旨そうに食べるねえ」と笑うのみ。男性も「ソーライスみたいな恥ずかしい食べ物」と表現した。(美味しんぼ30巻)

 そんなソーライスだが、食べてみるとソースの味が強く、ご飯と混ざり合った味は少々くどく「おかずがほしい」感じてしまう料理という印象。万人受けは難しいと思われるが、ソースが大好き人には、ダイレクトに米へと味が伝わるソーライスに「極楽」を感じるかもしれない。

バター醤油まぶしご飯

 ソーライス好きの男性と交際する超美人女性も、じつは実家の小さな弁当屋で働く女性だった。そんな彼女が愛する料理が、バター醤油まぶしご飯。

 炊いたご飯にバターを乗せ、そこに醤油をかけて食べるシンプルな料理。女性はご飯を口に入れながら「溶けたバターがなんとも言えない良い香りを放ってしっとりとご飯粒を包む。そこに醤油の風味が加わると、ご飯の甘味、バターの甘味が一気に引き締まって」と笑顔を浮かべる。

そんな様子に同席した栗田ゆう子はあっけにとられて言葉を失ってしまう。女性は「恥ずかしい食べ物を食べる女」と肩を落とした。(美味しんぼ30巻)

「恥ずかしい」と称されたバター醤油ライスだが、バターの旨味と醤油がご飯によく合い、非常に美味しかった。おかずに卵焼きなどを併せて食べると洋食感が強くなった。料理が苦手な人でも、パックのご飯とバター、醤油があればちょっとした贅沢感を味わうことができるだろう。

目玉焼き丼

 目玉焼きを研究する快楽亭ブラックに、「新しい食べ方」を教えると告げた山岡は、早速社員食堂へ向かう。

 そして「サニーサイドアップ」で焼き、白身が固まり黄身が半熟になるまで待つ。さらに丼は、予めお湯につけて温めておく徹底ぶり。温めた丼に炊きたての熱いご飯をよそい、焼き上がった目玉焼きをフライパンから直接御飯の上に乗せた。

 ブラックはこの目玉焼きの黄身を箸で潰し、白身に広げてから醤油をかけ、ご飯と一緒にかきこみ、「バカうま」「味も思いもよらずこってりしている」とその味を大絶賛。山岡は美味しさの秘密について、「黄身に熱が加わって味が濃くなったから」と説明する。栗田も「丼の容器も、ご飯も、目玉焼きもとにかく熱々であることが大事なのね」と評した。(美味しんぼ18巻)

 変哲がないと見せかけて、じつは細かな工夫が凝らされている目玉焼き丼。ポイントは、お湯で温めた丼で、栗田が指摘した3つの熱が相乗効果を生み、少々味が濃くなった印象を受けた。黄身とご飯、そして醤油がマッチした味は、じつに美味。手間をかけるだけの価値あった。

好奇心を刺激する庶民的な料理も魅力

 高級料理だけではなく、庶民でも真似することが可能な料理を取り上げている『美味しんぼ』。読者の好奇心を刺激する料理が出てくることも、長年愛された要因なのかもしれない。