嵐の絆を映し出す『ARASHI’s Diary -Voyage-』 活動休止発表や『アラフェス 2020』など、これまでの見どころを振り返る
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昨年、結成20周年を迎えた国民的アイドルグループ、嵐。5人の素顔に迫るNetflixオリジナルドキュメンタリーとしてシリーズで配信されているのが『ARASHI’s Diary -Voyage-』だ。現在15話まで配信されているが最新話となる第17話が10月31日16時より、すでに配信が伝えられていた第16話と同時に全世界配信されることが決定し、予告編も解禁された。本稿では、まだこの作品を見ていない人に加え、チェックはしているがすでに最初の方のエピソードの記憶は薄れているであろう人に向けて、改めてこの貴重なドキュメンタリーの見どころについて振り返ってみたい。
ここでしか見られない、嵐のステージの向こう側
2019年12月31日。第1話「二十年」の配信を見るのが怖かったことをよく覚えている。事前に公開された予告編でのインパクトがあまりにも大きすぎたこともあり、ドキュメンタリーの中で彼らがいったい何を語るのだろうかと、楽しみな気持ちと不安が交互に押し寄せ、複雑な気持ちで配信当日を迎えた。しかし、不安は全て杞憂に終わった。そこで語られていたのは、5人のファンへの溢れんばかりの感謝の気持ちと、それを伝えたいという決意だった。
第1話の冒頭、活動休止を伝える記者会見の場に向かう5人の表情は、緊張感の中にもどこか穏やかさが漂う。また、ドキュメンタリーでは長丁場のライブツアー『ARASHI Anniversary Tour 5×20』を控え、演出を一手に担う松本潤の苦悩も隠すところなく映し出されている。国内でも最高峰と言われる嵐のエンターテインメントに携わる多くのスタッフの陣頭指揮を取る松本の姿は、これまでもライブDVDの特典映像や密着ドキュメンタリーで伝えられてはいたものの、同番組ではよりリアルな“演出家”としての松本のプロフェッショナルな姿を見ることができる。ライブに向け思うように進行しないスケジュールに対し、正直に不安を覗かせる姿や、緊張感のあるミーティングなど、ここでしか見ることができない姿は必見だ。
また、リハーサルに臨むほかのメンバーの姿や、それぞれの心情も余すところなく収録されている。特に印象的だったのは、それぞれが別のリハーサルをしていても、その姿を優しい視線で見守り合うメンバーの姿だ。何気ない風景や会話の中にも5人の20年を超える強い絆を感じることができる。
第2話では札幌ドームで迎えたツアー初日に密着。初日独特の張りつめた空気の中、ハードなリハーサルを経てファンの前に立てる喜びにテンションの高い5人。またこの回の最後、嵐のデビュー日にとある人に5人が電話するのだが、その時の5人の少年のような笑顔にも心打たれた。
同シリーズでは、メンバー個々にフィーチャーした回も。7話では相葉雅紀、8話では櫻井翔をそれぞれ取り上げ、仕事に向き合う姿勢や嵐について、また1人の男性としての飾らない胸の内を告白している。
5話、6話では、活動休止を報告するファンクラブ動画の収録の様子や、記者会見の裏側に密着したほか、休止発表後初のライブに挑んだ際の飾らない心情を大野智がストレートな言葉で告白している。休止発表後、初のライブが行われたナゴヤドームの開演直前の貴重な5人だけの会話の中で、二宮和也のかけた大野を気遣う言葉には、付き合いが長く、ファンからも「大宮」と呼ばれた2人の強い関係性が見え隠れする。
無観客配信となった『アラフェス 2020 at 国立競技場』に挑む
9話以降は、新型コロナウイルス感染拡大に伴った自粛期間中にも、世界中のファンに向けて元気を届けようと模索する様子や、10話では世界進出に向け渡米し、プロデューサーと打ち合わせを重ねる松本の姿に密着する貴重な映像も見ることができる。
現在公開されている最新の15話では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、新国立競技場で開催が予定されていたライブ『アラフェス 2020 at 国立競技場』のファンを入れての開催が難しくなったことを告げられる5人の姿が。当初5月に予定されていたライブが延期され、悲しい気持ちになったファンの方々にはぜひこの時の5人の表情を見て欲しいと思う。誰よりも悔しく、悲しかったのは5人だったに違いない。常にファンの気持ちに寄り添い、何よりファンと直接触れ合えるライブの空間を大切にしてきた気持ちが伝わり、彼らのファンで良かった、と思えるはずだ。
今週10月30日には最新デジタルシングル「Party Starters」のリリースに続き、31日に公開される17話では、11月3日に開催される『アラフェス 2020 at 国立競技場』の無観客配信を決断した嵐の覚悟が克明に映し出されるという。そこでも、5人の想いを真っすぐに受け止めたい。
■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。