Da-iCE、ビッケブランカ VS 岡崎体育……メンバー/アーティスト同士の創造性に溢れたケミストリー 新譜からピックアップ
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6カ月連続リリースの第3弾となるDa-iCEのニューシングル『image』、ビッケブランカ VS 岡崎体育によるコラボシングル『化かしHOUR NIGHT』など4作品をピックアップ。メンバー同士、アーティスト同士の創造性に溢れたケミストリーが実現された新作を楽しんでほしい。
“五感で感じるエンターテイメント”をテーマに掲げた、Da-iCEの6カ月連続リリースの第3弾となるニューシングル『image』が到着。花村想太の作詞・作曲による表題曲は、恋の始まりからプロポーズまでを描いた壮大にしてエモーショナルなラブソング。最新のR&Bテイストを感じさせるトラック、叙情的なメロディライン、そして、“このままずっと愛していると誓う”という思いを真っ直ぐに告げるリリックが心地よく絡み合い、聴く者をロマンティックな気分へと誘う。気持ちよく突き抜ける高音が印象的な花村のボーカル、濃密な感情を力強く響かせる大野雄大の歌声のバランスも見事。大サビの直前に挿入されたゴスペル風のコーラスも、楽曲の祝福感をしっかりと増幅させている。
夜な夜なオンラインゲームで交流を深めたというビッケブランカと岡崎体育のコラボシングル。表題曲「化かしHOUR NIGHT」は、〈こうやって何十年もばかしていたいね〉というフレーズが高らかに響く友情ソング。シーンに属さず、独自のスタイルとメソッドで音楽シーンを駆け上がってきた2人の姿を投影した歌詞にグッとくる。ミックス・エンジニアにはカイゴ、リタ・オラなどの作品を手がけるジョシュ・カンビーを起用、EDMの進化型と称すべきダンスチューンを体現。日本のポップスを担う才能が交差した、おもしろカッコイイ楽曲に仕上がっている。両者の交流、シングル制作のプロセスなどをユルく語り合ったオーディオコメンタリー(喋りもめちゃくちゃ面白い!)も収録され、エンタメ感もたっぷり。
高評価を得た2ndフルアルバム『オリオンブルー』を経て、新たなフェーズの始まりを告げる両A面シングル『Break / 振り子』。藤井風、iriなどの楽曲を手がけるYaffleが編曲を担当した「Break」(TVアニメ『半妖の夜叉姫』/日本テレビ系 EDテーマ)は、ドープなエレクトロトラックと憂いを帯びた旋律、“ありのまま生きていく強さ”を得ようとする姿を映し出す歌詞が一つになったダンスチューン。小栗旬、星野源のW主演による映画『罪の声』の主題歌として制作された「振り子」は、振り子のように、絶望から希望へ向かうことを切望するピアノバラード。さらにwacciの「別の人の彼女になったよ」のカバー、「あなたがいることで」でのセルフカバーを収録。力強い意思、繊細な表現、聴く者を包み込むようなスケール感を共存させたボーカルは、やはり唯一無二だ。
『追憶の光』(2019年11月)以来、約1年ぶりのニューシングル『ゼロ ユニバース』は、山本彩自身が作詞・作曲を手がけた3曲を収録。“描いた理想と違っていても、振出しに戻ったとしても、ここから始めればいい”という思いをストレートに描いたミディアムチューン「ゼロ ユニバース」、90年代UKロック的なサウンドとともに、“一人でも生きていける”という女性の決意を綴った「愛なんていらない」、そして、高速のビートと歪んだギター、“逆風を蹴散らして、ゴールまで突き進め!”と自らを鼓舞する歌詞がぶつかり合うアッパー系ロックチューン「against」。自らのリアルな感情を幅広い層のリスナーに訴求できるポップナンバーにつなげるセンスはここにきてさらに向上している。凄腕ミュージシャンたちとの化学反応も本作の魅力だ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。