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のっちはゲームがしたい! 第3回 謎解きで世の中を豊かにする、リアル脱出ゲームの生みの親・加藤隆生さんと遊んできました

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Perfume・のっちさんがゲーム業界のさまざまな人々に会いに行く連載「のっちはゲームがしたい!」。今回はPerfumeとコラボレートした体験型ゲームイベント「Perfumeの隣の部屋からの脱出」が現在開催されている東京・新宿の東京ミステリーサーカスを訪問し、リアル脱出ゲームの生みの親であるSCRAP代表・加藤隆生さんと2人で、人気公演「Escape from The NINE ROOMS 止まらない豪華列車からの脱出」に実際にチャレンジしてきました。

取材 / 倉嶌孝彦・橋本尚平 文 / 橋本尚平(取材後記は除く) 撮影 / 上山陽介 メイク / 大須賀昌子 ヘア / YASU  題字 / のっち

東京ミステリーサーカスぶらり散歩

東京ミステリーサーカスは地下1階・地上5階の計6フロアからなる、国内最大級の謎解きテーマパーク。フロアごとに異なる謎解きコンテンツを体験することができます。2017年のオープン直後から、ここにはすでに何度も遊びに来ているというのっちさんですが、せっかくなのでまずは建物内を見て回ることにしました。

謎解きの難易度はコンテンツごとにさまざま。2階には短い時間で手軽に楽しめるリアル脱出ゲームも常設されています。「ある刑務所からの脱出」は制限時間10分で監房から脱獄するというゲームで、1チーム最大2人でプレイ可能。かつてここに奇数名のグループで遊びに来ていたのっちさんは、くじ引きであぶれてしまいペアを組むことができませんでしたが、1人で挑戦して見事脱獄に成功したそうです。

Perfumeとのコラボ公演「Perfumeの隣の部屋からの脱出」のブースは現在その向かい側に設置されていますが、取材当時はまだ工事が始まっておらず空きスペースになっていました。ブースの施工はだいたい3日程度で一気に行われるそうです。

ちなみにブース完成後の写真はこちら。プレイヤーはここで、たまたま部屋が隣り合わせになったPerfumeの3人と同じチームになって、一緒に謎を解いていきます。

3階では現在、アニメ「ルパン三世」とコラボした「リアル潜入ゲーム×ルパン三世『ノワール美術館 潜入作戦』」を開催中。これはリアル脱出ゲームならぬ“リアル潜入ゲーム”で、プレイヤーは新米泥棒となって、ルパンと一緒に幻の宝石を盗み出すため美術館に潜入します。

以前、プライベートで「とりあえずミステリーサーカス、行っちゃう?」という話になったPerfumeは、次の用事までのわずかな時間で、3人でこのルパンの潜入ゲームをクリアしてきたそう。ゲームをするときは役になりきるというのっちさんは、このときも警備員の目をかわしながら、まるで怪盗が憑依したような身のこなしで素早く物陰に隠れたため、メンバーから「あんな動きをしてるのっち、見たことない……!」とビックリされたそうです。

ルパン潜入ゲームの会場内はさまざまなアートが飾られ、さながら本物の美術館のよう。プレイヤーたちは本番中、必死で警備員から逃げているので余裕がなくてなかなか気が回りませんが、実は展示品のタイトルなどにも1つひとつ気の利いたことが書かれています。これに気付いたのっちさんは「わ、面白い! こんな細かいところまで小ネタが!」と興味深げに眺めていました。

会場内にはこのほか、張り巡らされた赤外線レーザーをかいくぐって進む通路や、警備員から身を隠すためにロッカーの中で息を潜めるという部屋も。「ここはかしゆかと私でがんばったんですよ!」「最後の謎はあ~ちゃんがひらめいたんです!」などと、のっちさんはメンバー3人でプレイしたときのことを思い出しながら見学を楽しんでいました。

脱出成功なるか!?「Escape from The NINE ROOMS」に初挑戦

そしていよいよ加藤さんと一緒に、5階にある「Escape from The NINE ROOMS 止まらない豪華列車からの脱出」へ。ステイホーム期間中もリモート公演に挑んでいたというのっちさんですが、リアル脱出ゲームへの参加はひさびさらしく、かなり気合いが入っている様子。そして加藤さんも、初期のデバッグに参加したきりで覚えていないことも多いということで、本番環境でプレイするのを楽しみにしていたそうです。

「Escape from The NINE ROOMS 止まらない豪華列車からの脱出」は、突然暴走を始めた豪華列車を止めるため、9つの車両を移動して先頭の操縦席を目指すという内容。各車両には謎が仕掛けられており、これを解いて手元の液晶端末に入力しなければ次の車両に進むことはできません。制限時間は50分で、これを過ぎると列車は暴走したまま駅に衝突してしまいます。

2人が9号車から列車に乗り込むと、のっちさんは躊躇なくあっという間に1問目を解答。その後も液晶端末とにらめっこしながら、車両内の怪しい部分を探し、ひらめきで部屋を次々と突破していきます。「楽しい……」と声を漏らしながら謎解きを堪能するのっちさん。その様子を横で見ながら、加藤さんも「速いですよ。察しがいいですね」と感心していました。しかし4部屋目であるラウンジ車両でつまずきタイムロス。やっと答えにたどり着いて「この問題いじわるー!」と悔しがるのっちさんに、加藤さんは「だって意地が悪いやつらが作った問題ですよ?」と言って得意げに笑いました。

その後も2人は苦戦しながらもチームワークを発揮し、力を合わせて夢中で謎を解きながら先に進みます。加藤さんも「これ、やった記憶はあるんだけどな……」とつぶやきつつ、難易度の高い謎に「わっかんねえー!」と苦悶。やっと解けると「この謎はちゃんとデザインされてる! カッコいい!」と、自社が作った謎の完成度の高さに満足そうにしていました。一方のっちさんはゲーム終盤の車両で、経験に裏打ちされた勘からか、なぜか隠されていた重要な“あるもの”を発見。加藤さんは「まだ何もヒントがないのに、なんでそこにあると思ったんですか(笑)」と驚いていました。

そしてタイムリミットまで残り6分という状況で、2人はいよいよ先頭車両の1号車へ。しかし、途中までは順調に進み、クリア目前というところまでいったものの、最後の最後で手こずってしまいました。残り時間がわずかになり、パニック気味に「えー! どうやって!?」と声を上げるのっちさん。健闘むなしくタイムアップとなり、300km/hオーバーで走行していた列車はあえなく駅に衝突し大爆発してしまいました。

ゲームを終えたのっちさんは「これは面白い! 部屋が進むたびにどんどん仕掛けが変わるし!」と興奮しつつ、「もし1人でやってたら、ここまで来るのは絶対無理でしたね」と加藤さんに感謝。加藤さんは「いやー、悔しかった。ホントに悔しかった……」と、部屋を出てからもしばらく何度も口にしていました。

次のページからはのっちさんによる加藤さんへのインタビューを公開。過去の「リアル脱出ゲーム」の貴重な企画書を見せてもらいながら、さまざまな裏話を聞かせてもらいました。

Perfumeの前で踊ってたアイドル役の子、人生で一番緊張したって言ってましたよ

のっち 今日体験させていただいた「Escape from The NINE ROOMS 止まらない豪華列車からの脱出」って、横浜でやっていたのとは内容が違うんですか?

加藤 横浜のは「Escape from The NINE ROOMS」の第1弾で、今日やったのはその第2弾というか、正当な後継者です。

のっち 横浜のほうの公演、めちゃくちゃ気になってたけど行けなかったから、今日は楽しみにしてました。面白かったです!

加藤 悔しかったですね。なんかまだ悔しさが残ってる(笑)。

のっち 50分っていう設定が絶妙でうまいんですよね。やる前から「きっと普通に進めてたら50分じゃクリアできないようになってるんだろうな」って思って臨んでました。序盤は調子よかったんだけどなあ……。謎解きって、その人のもともとの性格がすごく出るなと思うんですけど、今日も出ちゃいましたね。私ひとりっ子だからか、何かを始めると1人で黙々とやっちゃうんですよ。それに「これ!」って決めたらそこから思考が柔軟に動かなくなっちゃうところがあって。頭が柔軟な加藤さんに導いてもらえてよかったです。

加藤 脱出ゲームはこれまでどれくらいやってるんですか?

のっち 「たぶん20公演もないんじゃないかな?」と思ってたんですけど、数えてみたら意外と40公演くらい行ってました。でも「脱出ゲームが好きだ!」って言ってる人に比べたら、自分は全然やれてないなっていう思いが……。

加藤 いやいや、何に対する劣等感なんですか(笑)。めちゃめちゃやっていただいてありがとうございます。

のっち 最初に誘ってもらって行ったのが、神宮球場に大勢で集まってやる「キングダム」のイベント(「ある大戦場からの脱出」)でした。私は「キングダム」が好きだから「どんな感じかなー?」と思いながら行ったら、もう想像を凌駕する体験で……以前からネットにいろいろある「◯◯からの脱出」みたいなのをスマホで楽しく遊んでたんですけど、自分がスマホの中のキャラクターになったような感覚があったんですよ。剣を振りかざして敵役のスタッフさんに「ヤーッ!」って切りかかったときの、あの快感!

加藤 あはは(笑)。

のっち その瞬間にハマりましたね。そして次に、下北沢でやってた「アイドルは100万回死ぬ. ~繰り返す死の時間から脱出せよ!!~」にPerfumeの3人で行ったんです。どういう行動をしても死んじゃうアイドルの命を、何度も時間をループしながら救おうとするという内容で、アイドルと私たちの間に壁があって、助かる手段をアイドルに謎解きで伝えるんですけど、そのリアリティと没入感がすごくて。あれは衝撃でした。

加藤 アイドル役の子が実際に踊ってて、それを10人くらいのプレイヤーが観てるんですけど、プレイヤー側にPerfumeの3人がいるってビックリしますよね(笑)。もちろん懸命に練習して振り付けを覚えてアイドル役をやってるとはいえ、普通の素人の子ですから、人生で一番緊張したって言ってましたよ。

のっち 私は脱出ゲームをしているときに役に入りきるタイプなので、あのときは一生懸命応援しました。「めぐるちゃーん!」って(笑)。

僕は選ばれなかったという意識が強いから、選ばれない側の人のゲームを作りたかったんです

のっち 加藤さんが初めて作った謎解きって、どういうものだったんですか?

加藤 初めて作った日は2007年7月7日なんですよ。たまたま777だったので今でも覚えていて。細かいところを話していくと長い話になるんですけど、当時僕は京都で毎月フリーペーパーを作っていたんです。でもフリーペーパーに広告を入れるなんていうビジネスモデルはとっくに終わっていたので、もう「フリーペーパーは豪華なチラシだ」と考えることにして。誌面で自分たちのイベントを告知して、その入場料で印刷代だけでも稼ごうって考えたんです。それでいろんな企画を考えていたときに、集まってたボランティアの学生に「最近なんか面白いことある? 」って聞いたら、1人の女の子が「昨日ネットで脱出ゲームやってて徹夜しちゃったんですよ」って言って。じゃあそれをイベントにしようよって話になり、2週間後に告知をして、1カ月後に本番をやりました。

のっち 早い! それってどんなものだったんですか? 本当に部屋に閉じ込められて脱出するタイプの?

加藤 そうですね。ネットの脱出ゲームをそのまま移植したような形で。小さい部屋に5人くらい閉じ込めて、いろんなところをひっくり返したり剥がしたりして謎を解くっていうゲームでした。今みたいにパズルを解くというよりは、探索すると意外なところから意外なものが出てくる、みたいなゲームでしたね。そのときにすでに「あ、これは世界的に流行る遊びになるな」って思いました。

のっち へー!

加藤 お客さんの熱狂ぶりが、すごいミュージシャンのライブを観たときの興奮に似たものがあったんです。そこにはミュージシャンどころか誰もいないのに、仕組みで人を興奮させるっていう面白さを感じて。「大至急これを広めなきゃ」って、その日の夜に思いました。

のっち 初めて脱出ゲームに興奮したのは、自分が脱出する側としてじゃなくて、ゲームを作った側としてだったんですね。

加藤 どっちかというとその日は、興奮してる人たちを見て興奮してました。さらにさかのぼると、僕は子供の頃に少年探偵団に憧れてたんです。それで友達を4人くらい集めて少年探偵団を結成したんだけど、悩みがあって。事件が起こらないんですよ。

のっち あはは(笑)。かわいい。

加藤 仕事を募集するポスターを作って近所に貼って、家の電話番号を書いてたからお母さんに叱られたとか、いろいろあったんだけど全然事件が起こらない。「世の中にはナチュラルには謎が落ちてない」ということに小学校4年生ぐらいのときに気付いて、けっこう深く傷付いたんですよ。「自分には物語は用意されてないんだ」ってことに傷付いたまま、32歳になって。

のっち ずいぶん経ちましたね(笑)。

加藤 だから初めて脱出ゲームを作ったときに「僕ががんばれば世の中に謎を仕込むことができるんだ」っていうのがわかって、小学校4年生の頃の深い傷が癒やされたんです。そして、すごくたくさんいるであろう自分と同じような人が、これを求めるだろうなって。

のっち まんまと求めてますね、私たち(笑)。

加藤 物語に登場できるのって、ごく限られた選ばれた人だけじゃないですか。特別な日常を送っている人もそんなにたくさんはいないし。僕は選ばれなかったという意識が強いから、選ばれない側の人のゲームを作りたかったんです。だから初めて作った脱出ゲームでみんなが興奮してるのを見て、全部のピースがそろったなと感じました。

のっち ちなみに加藤さんはどういうときに謎を思い付くんですか?

加藤 謎とかアイデアっていうのは「さあ、今すぐ何か思い付いて」って言われたときに必ず思い付くものだと思っていて。重要なのは、思い付くまでの日々をどう過ごしてきたか。

のっち くうー……なるほど!!

加藤 これはすべてのジャンルでそうだと思うんですけど、「思い付いて」って言われたときに、準備ができてる人はすぐ思い付けるんです。日々生活してる中で「今のこの状況を別の視点に切り替えたらこう見えるかもしれない」とか、「今しゃべった言葉の末尾を変えたらみんなどういう気持ちになるだろう」とか。常にあらゆる可能性を考えて、自分の心を動かす面白いことをたくさん集めて覚えておければ、それが積み重なって力になるんですよ。

のっち やっぱり常に考えてるんですね。その話は確かに謎解きに限らないなあ。マジで背筋伸びました(笑)。私は作品を作ったり何かを生み出す側ではなくて、曲や振り付けや演出をもらって、それをライブの一瞬でいかに表現するかを考える側なので、「なんかアイデアありませんか?」って言われても普段考える頭じゃないからなかなか出てこないんですよ。「この話について何かエピソードありますか?」とかパッと聞かれても、まったく浮かばない(笑)。

山本、本当に天才ですよ

加藤 今日はのっちさんに見てもらうために初期の脱出ゲームの企画書を持ってきました。

のっち わ、すごい。最初に企画を出すときってこういうふうに文字で書くんですか? それとも会議とかで口頭で発表するんですか?

加藤 フェーズによるんですけど、最初の最初は口頭で「こういうの思い付いたよ」「やろうよそれ」みたいな感じ。でもそれだけじゃ会社全体に共有できないので、広報や運営や店舗とかに共有するためにこういうのを作るんです。

のっち 脱出ゲームを作る人の中にはたぶん、「こういうストーリーを思い浮かんだんだ」から作る人と、「こういう仕組みの謎をやりたいんだ」から作る人がいるんですよね?

加藤 正確に言うと「ストーリーから作る人」「謎から作る人」のほかに「システムから作る人」っていうのがいるんです。例えば「端末を片手に9個の部屋を1個ずつ進んでいく部屋ができたら面白いですよね」と言って「Escape from The NINE ROOMS」のシステムを考えて、そこでの謎を考え始めるという。

のっち あー、なるほど。そういう場合はストーリーは後付けなんですね。で、「9個の部屋がある」というシステムさえあれば、ストーリーを変えれば2作目が作れるという。

加藤 寸分違わずその通りですね(笑)。

のっち この「リアル通信ゲーム」っていうのはあれのことかな……「ある2つの通信基地からの脱出」の南極・北極基地キット?

加藤 これは違うんですよ。「エイリアン研究室からの脱出」のもとになった、山本(渉)が書いた企画書なんです。

のっち Perfumeのリアル脱出ゲームを考えてくれた山本さんですね。

加藤 7年くらい前、山本が大学を卒業するかしないかのときに、この紙を1枚だけ持ってきて「SCRAPに入れてください!」って言ってきて。そんな人は山ほどいたんだけど、みんな自分で考えた謎を持ってきたり、タイトルだけ持ってきたりしてる中で、山本はこの1枚を持って「SCRAPさんはいつまでリアル脱出ゲームやってるんですか? もっと没入度の高い物語体験を作るべきです! 例えばこういうのどうですか?」って訴えたんです。その場で入社が決まりました。

のっち うわー! すごい! 山本さんのプロフィールに書いてある今まで作った脱出ゲームを見ると、全部好きなやつなんですよ。

加藤 そういう人多いんです。「ドラえもん」とか「ポケモン」とか「ときどき監視員」とか。これ「ときどき監視員」の企画書なんですけど、すごくないですか?

のっち 最初の案は「監視員」じゃなくて「老婆」とか「覆面の男」とかだったんですね! へー!

加藤 僕は山本に「最近オーソドックスな謎解きがないから、ちょっと普通のやつ作ってくんない?」って依頼したんですよ。で、上がってきたのがコレで、「お前、気は確かか? これのどこが普通なんだよ!」って(笑)。でもめちゃめちゃよくできてるし、絶対面白いからやろうって。

のっち 面白かった! ハラハラしましたねー。あっ、あとはこれもやりました。「絶望テレビからの脱出」。

加藤 それも山本作品ですね。

のっち テレビ局に番組の観覧に行ったら事件が起こって、自分たちが生放送をやらなきゃいけなくなったっていうストーリーなんですけど、自分たちが謎解きしてる様子がカメラで撮影されていて、映像を持って帰ってあとで観れるんですよね。それ、ほかの脱出でもめちゃくちゃやりたかったんですよ。「自分がアレをやってたときに、ほかの人は何してたんだろう」とか「そのヒントどこで出てたんだろう」とかも気になるし。すごく新しい体験でした。

加藤 山本、本当に天才ですよ。

のっち 「リアル通信ゲーム」の企画書を見ると「Web上での公演も可能だと考えます」って書いてあるじゃないですか。「エイリアン研究室からの脱出」って実際に最近オンラインでもできるようになりましたけど、そのアイデアは最初からあったんですね。

加藤 いや、違うんですよ。コロナで自粛ムードになったときに、僕はしばらく頭が働かなくなっちゃったんです。今までずっと空間でエンタテインメントを作ってきたので、この状況に対して何も考えられなくなって。お客さんもすごい勢いで減っていって、周りからも「どうします? 国も都も動いてますよ?」みたいに言われてたけど、僕はただ「早く収まってくれたらいいなあ」みたいなことしか考えられなくて。そしたら店舗のほうから「このままだとヤバいんで、こんなの作りました! 明日体験してください!」って、オンライン公演の企画書が届いて。

のっち すごーい!

加藤 なんかもう泣きそうになりましたよね。「何言ってんだよ! いいよ!」って。次の日から僕も「ちゃんとやんなきゃやべーな」って思うようになりました(笑)。一番お客さんに近いところで働いてる店舗のみんなが、一番危機感を感じて作ったのがオンライン謎解きゲームだったんです。

ガチガチに型にはめるなんてことは最初から思い付かなかったんです

加藤 そしてこれが「Perfumeの隣の部屋からの脱出」の企画書ですね。

のっち 本来なら直接会って打ち合わせをして、この企画書で説明してもらえたんだと思うんですけど、時期的にそれができなかったからサンプル映像を見せてもらったんです。

加藤 山本がPerfume役をやってましたよね。「え! お前が!?」って。衝撃映像(笑)。

のっち すっごい上手でイキイキしてて、もうこれでいいんじゃないかって思っちゃいました(笑)。そもそも「Perfumeの隣の部屋からの脱出」は私たちから「こんなのが作りたい」ってお願いしたわけでなく、「私たちが好きな脱出ゲームはこれです」っていうリストをSCRAPさんに渡して、それをもとに山本さんたちが全部考えてくれたんです。それでできあがったのが、ある事情で今すぐ外に出なければならなくなったPerfumeに「お願い! 15分で脱出するのを手伝って!」と言われるっていう内容で。そんな設定、自分たちじゃ絶対思い付かない(笑)。アイデアがすごいですよね。あと、隣の部屋にいる私たちの映像を撮影したんですけど、そのときの演技プランのディレクションがものすごく的確で。やっててめちゃくちゃ気持ちよかったです。

加藤 山本、めちゃくちゃ興奮して帰ってきましたよ。本当にすごかった。「最高のやつ撮れたんで! 楽しみにしててください!」って。「完璧にしてから見せます」って言って、見せてくれないんですよ。

のっち ははは(笑)。「もっと焦って! そのほうが助けたいっていう気持ちになるから!」みたいなディレクションがあって気持ちよかったです。私も私で「言わないほうがいいことはありますか?」とか、かなり細かく聞きましたね。自分たちが脱出ゲームをしてるときにも「なんか今のセリフ意味ありげに言ったなあ」みたいなことが、すごく気になるから。あと私、ゲームが始まるときの「◯分以内にすべての謎を解いて、この部屋から全員で脱出しましょう!」みたいなセリフが大好きなんですけど、その大事なセリフを私がもらったんですよ! それがめっちゃくちゃうれしくて!

加藤 僕も最初の6年ぐらいは全部の現場に行って演者に演技指導をしていたんですけど、そのときに言ってたのは「お客さんに本当に物語の中に入ったような気持ちになってほしいから、あなたがまず物語の登場人物になってください。そして、そのなり方は任せます」ということで。絶対に言わなくちゃいけないことのリストだけ渡して、「この世界観はもう僕らが必死で作ったから、この物語の中であなたならどういうオペレーションするのか考えてください」って言って、細かいセリフはもう全部任せたんです。そのほうがみんな、のびのびと自然に話してくれる。細かくセリフとト書きを書いて渡すと、みんな演技をしようとするからおかしくなっちゃうんです。完全に自由というわけじゃないけど、普通のテーマパークに比べるとかなり自由に運営されてると思います。

のっち へー! 決まってないんですね。確かにキャストさんに対して「柔軟だなあ」って毎回感心するんですよ。その公演が楽しいか楽しくないかって、それによって左右されるじゃないですか。

加藤 でも、そういうものだと思ってたんですよね。僕は32歳までなんとなく定職に就かず売れないミュージシャンをやっていたし、一緒に謎解きを作り始めたのも、周りが作る枠組みに入れなかった人たちだったから、ガチガチに型にはめるなんてことは最初から思い付かなかったんです。

加藤さんが体験した「Detroit: Become Human」でのとてつもなく悲しいエンディング

のっち 話は変わるんですけど、加藤さんはテレビゲームってやられるんですか?

加藤 45歳の男子にしてはやるほうだと思います。去年一番面白かったのは「Detroit: Become Human」で、今年は今のところ「十三機兵防衛圏」。

のっち うわあ! そうなんだ! どっちも手を出したいなって思いつつまだ出してない……!

加藤 あと興奮したのは「Her Story」っていう海外のアドベンチャーゲーム。すごい地味だし、合う人と合わない人がいるので、15分やってピンとこなかったらもうやめていいかもしれないですけど(笑)、謎解きが好きな人ならやってみたほうがいいと思います。

のっち けっこうやられてますね。

加藤 すごく限られたジャンルだけですけどね。僕はドット絵時代の人間だから、あまりCGを愛してないというか。あと3Dに酔っちゃうから、一人称視点で銃をガンガン撃つようなゲームはできなくて。

のっち 「Detroit: Become Human」では3D酔いはしないんですか?

加藤 あのゲームは激しい動きで敵を倒したりするんじゃなくて、「次はこうなりそうだな」「あの人に聞き込みしようかな」みたいなことを考えながら歩けるので。それでも1日1時間半ぐらいが限界です(笑)。

のっち あはは(笑)。私、すっごい「Detroit: Become Human」が好きで。自分でやってないんですけど、いろんな人がやってる動画を見漁ってるんです。ストーリーがすごく分岐するんですよね。

加藤 僕の場合は最終的に、とてつもなく悲しいエンディングになっちゃったんですよね……。でも僕はゲームをするときに物語の中にものすごく入り込んでいるので、最初からもう1回やり直すことを罪に感じてるんですよ。だから僕の中で「Detroit: Become Human」は、とてつもなく悲しく残酷な物語ということになってます。

のっち どういう終わり方だったんですか?

加藤 (自分がプレイした、まったく救いのないストーリーについて説明)

のっち うわー……。すごい、それは観たことないです(笑)。

加藤 最低の終わり方ですよね。あのときの気持ち、いつでも取り出せますよ。だからもし最初からもう一度やってハッピーエンドになったとしても、あの世界線の2人のことを忘れることはないから、混乱するだけなんでもう受け入れようと思って。あとは、もし「Detroit: Become Human」が好きなら「Life is Strange」というゲームも面白いと思いますよ。

のっち 時間を戻して選択肢を選び直せるんですよね。

加藤 そうですそうです。やっぱり知識がすごいですね。

のっち やってはいないんですけどね(笑)。「Life is Strange」は自分でやるのが大事な気がして、人の動画も観てないんです。

みんなの質問、のっちが代わりに聞いてきますのコーナー!

のっち ここからは、Twitterのハッシュタグを使って読者の皆さんから募った加藤さんへの質問に答えていただきます。まず1つ目。

加藤さんがこれは名作!と断言できる作品はどれですか?

加藤 「Perfumeの隣の部屋からの脱出」。

のっち 即答(笑)。

加藤 まあ名作にもいろんな定義があるのでアレですけど、やっぱり一番新しいやつが一番面白いって思ってます。

のっち あ、私もそのタイプです。一番新しい曲が最高だと思ってる。

加藤 それに、ここまで登場人物との距離の近さを感じられる作品って今までになかったと思うので。本当にちょっと照れるぐらいPerfumeさんと近いんですよ(笑)。臨場感とかドキドキ感に関しては過去最高だと思います。

のっち ですって! みんな!(レコーダーに向かって)

加藤 これで初めてリアル脱出ゲームを体験するのは、めちゃくちゃ正しいスタートだと思いますよ。

のっち 次のは謎解き好きな人からの質問だと思うんですけど……。

謎解きって、どうしても、解くためのセオリーがあったりとか、「ピンとくる」感覚で解いていくと思ってます。ですが、作る側からすれば、セオリー外しや「どうしたらピンとこなくさせるか」が大事ですよね?その辺のアイデアはどう捻り出していらっしゃいますか?

加藤 “セオリー外し”は確かにあると思います。作ってるときに「ああ、これ普通に考えたらこう解いちゃうな」と思ったら、最後だけちょっとセオリーからズラすとか。でも「ピンとくる」って素晴らしいことだと思うんですよね。謎解きに慣れた人は日常生活でも「あれ? なんでこれちょっとずれた場所に置いてあるんだ?」とか「あの照明、必要なさそうなところに付いてるけど、きっと何かに使うぞ」「こんなところに靴跡があるって、誰か男の人が待ちぼうけを食らったのかな」とか、何を見ても楽しくなれる能力を手に入れてると思うんです。何に使うかわからないものなんて、実は世の中にあふれているのに。

のっち そうですね(笑)。

加藤 そういうことを考えるのが僕はすごく素敵なことだと思うんです。目に見えている情報からたくさんの物語を読み取るってことが、世の中が豊かになることと同じ意味を持つんじゃないかって。だから質問していただいた「どうしたらピンとこなくさせるか」について言えば、そもそも「ピンとくる」ことを否定しないようにしている、というのが答えです。

のっち なるほど。脱出ゲームをやってる1時間だけじゃなくて、そのほかの日常でも世界が素敵に見えてくるようにしたいってことですね。めちゃくちゃ得してる。コスパ高い。

Perfumeさんのメンバーの中で脱出ゲームが一番上手いと思うメンバーを教えてください!理由も述べてください!

のっち 脱出ゲームがうまいって、どういう人だと思います?

加藤 “うまいタイプ”っていうのはないんですよね。いくつかのタイプが集まって“いいチーム”になるっていうのはあるけど。

のっち そうなんです! 本当そう! ありがとうございます!(笑)

加藤 あんまり深いことを考えずにいろんなことを試す人、それをうーんって俯瞰して見る人、いろんな仮説をどんどん言っていく人、それを判断して行動する人……みたいに役割が細分化してて、そのうち1人が欠けてもクリアできないということはよくあるんですよ。

のっち それでいうとPerfumeの3人はたぶんバランスがいいと思います。私はいろんなところを漁ったりしながら、1つの謎を黙々と解くタイプ。かしゆかは整理が得意で、資料をまとめておいて必要なときに出したり、例えば干支とかを並べたりするのが速い。あ~ちゃんは閃きタイプで、私たちが解いてるのを俯瞰して見ながら「え、待って。じゃあ最初に言ってたあれって……」みたいにまとめてくれる。否定する人が誰もいないのがいいところだと思います。「そうじゃないでしょ」って絶対に誰も言わない。「1回やってみよっか」ってなる。

加藤 いいチームですね。それは謎解きに限らず。

のっち 3人の関係を考えると、「相手を否定しない」っていうのは大事だなと思うんですよね。

加藤さん、今回のコラボにあたってPerfumeのどんな特長を活かそうと思いましたか? またPerfumeをどんな風に研究しましたか?

加藤 これはどっちかというと山本に答えてもらったほうがいいですね(笑)。

のっち じゃあ、SCRAPさんはPerfume以外にもいろんなコラボをやってますけど、コラボの謎解きを作るときはどんなことを考えてます?

加藤 例えば「ONE PIECE」とのコラボだったら「ひょっとしてウソップって、あのときこういう気持ちでルフィを助けに行ったのかな?」とか、そのマンガの登場人物たちが行動を起こすときの気持ちを追体験してもらえたらうれしいです。実際に体を動かして物語の中で生きてみると、マンガを読むのとは違った形で感情移入できて、あとでまたマンガを読んだときに見え方が全然違うものになるっていう。そういうコラボにしたいと考えてますね。「Perfumeの隣の部屋からの脱出」だったら、その後にPerfumeのライブを観に行ったときに「あ、あの子たちは僕が救ったんだっけ」って思ってもらいたい(笑)。

のっち あはは(笑)。でもわかります。私は本当に、そのキャラクターと一緒に謎を解いてるって感じる瞬間が好きなんですよ。「約束のネバーランド」とコラボした「偽りの楽園からの脱出」でも、姿は見えないけどあのキャラクターたちと協力して謎を解いたって感覚があったし。だからこそ「果たしてPerfumeの謎解きでその感覚が出せるのかな?」ってちょっと不安はあったんですけど、私たちが好きなSCRAPの皆さんが作ってるものだから、好きなものになるだろうなって思ってました。山本さんがOKだって言ってくれたし。

加藤 ははは(笑)。

やっぱり普段でも物を持つと裏側を見ちゃいますか?

加藤 実はさっきから気になってますね。このコップの裏はどうなってるのかなって。

のっち えー!!(笑)

加藤 これはうちの商品だし、絶対どこかに1個、工夫が入ってるはずなんです。でも謎は謎のまま、あえて見ないっていうのもオツというか。

のっち こじれてるなあ、もう(笑)。

加藤 「何があったら一番面白いんだろう」って考えるのが楽しいんですよ。もう今触っちゃったからデコボコがないってことはわかってしまったけど、「じゃあ鏡に映したらどうなる?」「濡らしてみたらどうなる?」みたいなことは常に考えてますね。

のっち 日常生活が大変そう(笑)。

加藤 歴代彼女はみんな困ってました。やっとパチッと合う人に会えたのが今の嫁さんですね。こじれ方が一緒だから(笑)。

のっち でも日常に影響が出るのは私もわかります。私の場合、脱出ゲームに行った帰りのごはん屋さんではメニューを読むのがちょっと早くなる。読むのに時間をかけてられないので(笑)。

加藤 ははは(笑)。

のっち 今日加藤さんとお話しさせてもらって、自分が作った脱出ゲームに対しても、働いてるスタッフたちに対しても、すごく愛情を持って真剣に向き合う方なんだなって感じました。ステイホーム期間中にTwitterとかを見て「熱い人だな」って思ってたので、今日はその片鱗が見れてよかったです。

加藤 今の言葉、全部原稿に使ってください(笑)。僕はこの連載の、前回の自作PCの記事を読んでめちゃめちゃ緊張してたんですよ。「ヤバい人が来るぞ」って(笑)。

のっち いや全然、普通の人ですよ(笑)。

加藤 今日一緒に「止まらない豪華列車からの脱出」をやらせてもらって、何より僕が驚いたのは、のっちさんが謎を解くという行為にすごく真摯に取り組んでいたことで。英単語を入力する謎解きで、1文字だけ答えがわからないという場面があったじゃないですか。残り全部の文字がわかってるんだから、その英単語がなんなのかはもう予想が付くし、世の中の謎解きをする人の8割は、もうそこまでいったら答えを入力しちゃうんですよ。時間が迫ってますし、1秒でも早く脱出するためにそういう考え方をするのは間違ったことじゃないと思います。僕は推奨もしないし否定もしない。そんな中で、のっちさんは謎というものに真正面から向き合った結果、もう次に進めるのにすべて解くまで動かなかった。あれはびっくりしましたね。「こんなに真摯な姿勢で取り組んでくれるんだ」って。作り手冥利に尽きるというか。

のっち あはは(笑)。

加藤 これから謎を作るときに、今日ののっちさんの姿を思い出さなくちゃいけないなって思いました。本当に背筋が伸びる気持ちになったし。今日はそういう意味でも、お会いできて一緒に時間を過ごせて本当によかったです。

のっちさんの取材後記

こんにちは、iPhone 12の赤いのん買いました。のっちです。


突然ですが「Life is Strange」をプレイしました!

写真学科の学生マックスちゃん(プレイヤー)が、偶然にも時間を戻せる能力を手に入れて、幼なじみであるクロエちゃんの命を救うところから物語は始まります。
私達は、ストーリー中に出てくる選択肢から、マックスの行動や言動を選んで決めるんですが、小さな一つの選択が現在、未来、そして過去まで変えてしまいます。
何度も時間を巻き戻して、選択肢から色んな結果を試してみたりもできます。面白いねっ。
そうしてマックスとクロエの、身の周りに起きる事件を見守っていくわけでございます。

感想なんですが、
プレイ中ずっと「後悔の連続」でした!!!!!!!^^

後々の為に、ここはこうしといた方がいい!と思って取った行動が、後から「どうしてあの時助けてくれなかったの?」になったり。
救う為にとった行動が、ただ苦しむ姿を見守るだけになってしまったり。

人が人に与えられる力って、言葉や行動の大小限らず、全て受け取り手の咀嚼の仕方次第。だよなあと思う日々だけど、この「Life is Strange」ではもう、とんっでもなく世界が動く(笑)。
その度に「え"ああああああああああああ"!!!」という叫びと共に深いため息だよね。面白いねっ。

どんなシーンでも演出はおしゃれでハッとしたし、綺麗な景色に癒されたり、人を信じたり疑ったり。色んな情緒を引き出された、良い体験だったなあ。

本当に最後の選択を終えた後のエンドロールは感情大爆発のバッチバチで、自分の気持ちを整理したくて嗚咽しながらひとり喋ってましたが、全て終えてからの後悔は無かったです。大満足!!
どんな成分の感情だったかむっちゃ喋りたいですが、各々絶対違うと思うので、やってくれとしか言えないっす。いつか感想戦したいです。


あと今回お話伺った、加藤さんが記事中で仰ってた「Detroit: Become Human」をプレイしてのお話が体感できました。すっごいわかった。
「Life is Strange」を終えた後、「マックスとクロエ、あっち選んでたらどうなってたのかなあ~ワクワク(^^)」みたいな気持ちには微塵もならず。

ならず、だったけどね、あのね……見た。
ほんとは、私が紡いだストーリーで終えたい気持ちでいっぱいだったけど、マックスやクロエへの感情を殺しながら「これはァァァ!! 別のォォォ!! ひとだからァァァァァ!!!!」と、エンドロールでずっと喋ってた時の自分に言い聞かせて、どうしても見たかった人の実況、2人ほど見ちゃったっ。

おんんんもしろかったああああ……!!!!

ただ!みんなは!!
私がデトロイトの実況が面白くて好きで色んな人の実況動画見すぎてよほど特殊な選択しない限り見られないような貴重なエンディング以外はもうほぼ全部見てしまっているが為にデトロイトオタクなのにもう自分でプレイできない体になってしまったようなそんな下手は、、、踏むなよな……!!!!!!!!



てことで。今回は、東京ミステリーサーカスにお邪魔しました。

わたしの、リアル脱出ゲームの好きなところ!
物語の“主人公”の体験ができるのはもちろん、物語の“脇役”にもなれるところです。
主人公の劇的な瞬間を隣で見届ける、物語に加担してる感じがね、好きでですね。
ドラえもんを助ける。アイドルを助ける。脱出ラスト、ドア前で待機している仲間に鍵をわたす。
そんなドラマな非日常に入り込む気持ちよさをみんなにも体感してほしい!です!

自粛期間中にわたしは、加藤さんはじめSCRAPチームのエンタメへの情熱だったり、前向きさに心救われて、熱いままでいられたので勝手に感謝しているのです。
今しか作れない。今作るべき。今を象徴するような。今を誇れるような。そんなものを世に提示しつづけたいと改めて強く思いました。


自分で物語を動かす気持ちよさが世の中にはあるんや。ぜひ体験してほしい。(そして自分の人生も良き方向に運べればより最高だね!)


次回は、わたしが一緒にゲームしたい人をお呼びしてゲームしている様子と、その内のひとり月ノ美兎委員長との対談(……というか委員長に好きを伝えただけだったと記憶してます)をお届けします。初対面でゲームした直後の躁状態での対談ですね。
ちなみに委員長の「Life is Strange」実況。Episode.4での、あの決断の速さがかっこよくてまじで惚れた。あの即決。
あと新曲「それゆけ!学級委員長」の「ドーン!」の歌い方と、MVのサビで前髪がピラんってなってる……のが……可愛い……です!! では!

次回予告

今回の取材では、店舗でのひさびさのリアル脱出ゲームを存分に堪能したのっちさん。次回は9月21日に開催されたオンラインフェス「"P.O.P" Festival(Perfume Online Present Festival)」の一環として有料配信された本連載のスピンオフ番組「のっちは○○とゲームがしたい!」の内容を振り返りつつ、番組にゲスト出演していただいた月ノ美兎さんとのっちさんの対談を公開します。

Perfume最新情報

最新シングル「Time Warp」発売中。また、Perfumeが2005年のメジャーデビューから2020年までに着用した衣装の軌跡を追った書籍「Perfume COSTUME BOOK 2005-2020」も刊行されました。さらにA!SMARTでは、Perfumeのファッションプロジェクト「Perfume Closet」の新作アイテムとして、衣装の裏地に使われる特殊な素材を使用したオリジナルマスク「Perfume Closet×SAQULAI P-dot Mask」も販売されています。