「ウルフウォーカー」監督がコロナ禍での作業や思い語る、自宅で触れたお薦め作品も
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「ウルフウォーカー」ポスタービジュアル
アニメーションスタジオ、カートゥーン・サルーン最新作「ウルフウォーカー」で共同監督を務めたトム・ムーアとロス・スチュアートのインタビューコメントが到着した。
「ブレンダンとケルズの秘密」「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」に続き、ケルト3部作の完結編にあたる「ウルフウォーカー」。アイルランドの言い伝えをもとに、ウルフハンターを父に持つ少女ロビンと、人間とオオカミが体に共存する“ウルフウォーカー”の少女メーヴの物語が紡がれる。
カートゥーン・サルーンは、これまで歴史や伝承をテーマに作品を生み出してきた。今回“ウルフウォーカー”を題材とした理由を、ムーアは「種の絶滅という問題や、アイルランドの歴史におけるオオカミの象徴性など、いくつかのテーマに興味を持ち始めたところ、それぞれがこの物語に連動すると気付いたんです」と語る。またケルト3部作の共通点について「主人公が子供から大人になっていく移行期を扱っている」と説明した。
本作では高畑勲の監督作「かぐや姫の物語」や、ディズニー・アニメーション「101匹わんちゃん」に影響を受けた部分もあるという。まず「かぐや姫の物語」に関して、スチュアートは「ウルフビジョン(狼の主観)の部分において、チャコールペンシルや鉛筆の手描きでどこまで表現を突き詰められるかを参考にしました」と振り返る。そして「101匹わんちゃん」については「背景の描き方ですね。線描と、線描の下に水彩の色が非常に緩い形で漂っている描き方が参考になりました」と解説。「この2作品以外にも、たくさんの絵画やイラストレーションから大きなインスピレーションを受けています」と続け、「ツリーハウスがほしいなら」で知られる画家エミリー・ヒューズの名前などを挙げた。
3年以上前から制作してきた本作だが、最終段階の工程になると新型コロナウイルスが世界的に広まり、アイルランドもロックダウンを余儀なくされた。ムーアは「主な仕事は終わっていたからラッキーでした」と明かし、「残すは合成部分や照明などの個別作業だったので、自宅でそれぞれできるようなスケジュールでした」とコロナ禍での作業を回想。スチュアートは「人混みを避けて外で運動するようにと奨励された結果、人々は森や海など自然が豊かなところに足を運ぶようになりました。自然とつながる機会がコロナ禍によって生まれたというのは運命の皮肉じゃないかと思います」と現状への思いを口にした。
なおロックダウン中に触れた印象的な作品として、ムーアは北アメリカ先住民である植物学者ロビン・ウォール・キマラーの著書「植物と叡智の守り人」を挙げ、スチュアートはNetflixのドキュメンタリー「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」をレコメンドした。
「ウルフウォーカー」は10月30日より東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次ロードショー。
(c)WolfWalkers 2020