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「ひとつの役を演じ続けることができるのは幸せなこと」 大竹しのぶが初めて挑む『女の一生』

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大竹しのぶ

終戦直前の昭和20年(1945年)4月に東京で初演され、以降、日本演劇界の不朽の名作として受け継がれる森本薫の作品『女の一生』。名優・杉村春子が、その生涯に947回にわたって主演した代表作としても知られるこの作品が、大竹しのぶ主演で11月2日(月)より東京・新橋演舞場にて上演される。

物語は、日露戦争後、日本がようやく近代的な資本主義国の姿を整えた明治38年(1905年)から始まる。戦災孤児の布引けいは、不思議な縁で拾われた堤家で暮らすことに。堤家の当主はすでに亡く、後を継ぐべき息子たちはまだ若く、妻のしずが義弟・章介に助けられながら一日一日を過ごしていた。そんな中、けいと次男の栄二は、お互いにほのかな恋心を抱くように。だが、しずの願いで長男・伸太郎の妻となったけいは、しずに代わって家の柱となっていく……。

杉村春子の当たり役“布引けい”に初めて挑む大竹は「役者にとって、ひとつの役を演じ続けることができるのは幸せなことです。何度でも、何度でも、より深く、より良くなるチャンスを与えられているのですから。が、何度もやるためには、その役が強い支持を得られなければなりません。杉村春子さんは、そんな強い支持を受けられてきた、ただひとりの女優さんなのではないでしょうか」と思いを語る。さらに「杉村さんが長い間大事にしてきた、けいの魅力をきちんと理解し、表現できるように誠実に一生懸命演じてゆきます」とも。明治38年から昭和20年までの布引けいの40年間を、円熟味を増す大竹がどのように体現するのか期待が高まる。また、けいの「誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩きだした道ですもの……」という名台詞にも注目。

ほか、次男の堤栄二に高橋克実、長男の堤伸太郎には演出も手掛ける段田安則、次女の堤ふみに宮澤エマ、ふみの夫の野村精三に林翔太、女主人の堤しずに銀粉蝶、そして叔父の堤章介に風間杜夫が出演。芸達者な顔ぶれが新たに紡ぐ名作舞台をぜひ。

文:伊藤由紀子

『女の一生』
作:森本薫
演出:段田安則
出演:大竹しのぶ / 高橋克実 / 段田安則 / 宮澤エマ / 多岐川華子 / 服部容子 / 森本健介 / 林翔太 / 銀粉蝶 / 風間杜夫

2020年11月2日(月)~2020年11月26日(木)
会場:新橋演舞場