「とんかつDJアゲ太郎」困難乗り越え公開、北村匠海が「僕は幸せ者」
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北村匠海
「とんかつDJアゲ太郎」の初日舞台挨拶が、本日10月30日に東京・丸の内ピカデリーで開催され、キャストの北村匠海、山本舞香、浅香航大、池間夏海、監督の二宮健が登壇した。
イーピャオ原案による小山ゆうじろうの同名コメディマンガを映画化した本作では、東京・渋谷の老舗とんかつ屋の跡取り息子・勝又揚太郎が、とんかつもフロアもアゲられる男“とんかつDJアゲ太郎”を目指すさまが描かれる。
アゲ太郎役で映画単独初主演を果たした北村。1年前に撮影された本作は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による公開延期や出演者のスキャンダルなど、数々の困難に見舞われたが「正直この映画をフラットに観てくれる人がどれだけいるのかと不安な気持ちがあったり、今日ここに立つことが少し怖かったり、いろんな思いでいます。でもこの映画はコメディであり、音楽映画であり、そして(アゲ太郎の)サクセスストーリーでもあります。僕1人では演じきれなかったけど、全員に支えられて、この役を走り切ることができました」と声を詰まらせながらも言葉を紡いでいく。さらに「このステージにいる人たち、そしてここにはいないけど一緒に映画を作ってくれた人たちに支えられて、こうして立てていることが心強いです。そしてお金を払って観に来てくれる皆様がいるということに、幸せを感じております」と真摯に述べた。
また北村は、本作が本格コメディ初挑戦だったことから「人を笑わせるのは難しいなと痛感しました。自分で『北村はやれる、絶対にやれる! 北村なら大丈夫』って思っていたんですけど、いざ始まると不安になっちゃって。浅香くんとかに『今の面白かった?』って確認しながらやりました」と苦労を語る。二宮はそんな北村の奮闘ぶりについて「そうやって格闘してる北村くんがとってもかわいくて。アゲ太郎に大事なものの1つに“かわいい”という要素があったので、かわいさがあふれるくらいにじみ出ている映画になったと思う」と話した。
ヒロイン・苑子役の山本は、アゲ太郎が苑子にダンスで求愛するシーンに言及。「私の周りをぐるぐるダンスしているシーンがあるんですが、10回くらいやらされていて(笑)。でも(北村が)毎回ダンスを変えてくるんです。やっぱりアーティストだから踊れちゃう。天才なので(笑)。でもそこにあった鏡で(北村の)顔が見えちゃったとき、一生懸命さに笑ってしまって、私がNGを出したんです」と告白する。北村は同シーンを「求愛で踊る鳥のイメージだったんですけど、だんだんその気持ちも折れてきて、無心で体を動かしてました」と振り返った。
アゲ太郎の幼なじみ“三代目道玄坂ブラザーズ”の1人、夏目球児役の浅香は、北村を「本当に彼はすごい! 尊敬しました。彼は俳優業だけでなく音楽活動もやられているので、すごく過酷なスケジュールだったんです。今回はテンションの高い役だったので、控室でもそれをキープしながら撮影に入っていました。忙しくて大変な中でも僕らのテンションに合わせていた」と絶賛。アゲ太郎の妹・ころも役の池間は、アゲ太郎がランニングウェアで渋谷を駆け抜けるシーンを挙げ「ころもの知らないところで、お兄ちゃんがあんな格好で渋谷を爆走してたんだ!って……」と笑う。それを受け北村は「知らないところで、いっぱいいろんな思いしてるんですよ」と、体を張って挑んだことをアピールした。
終盤に北村は「劇場を出たあとにとんかつを食べたくなったり、今日はいい日だったなと思っていただけたら幸いです」と観客に訴えかける。さらに「心の底から、映画が公開できたことがとてもうれしいです。僕は決してかわいそうなやつではないし、とても幸せ者だと思っています。人に恵まれてここに立てていますし、こうして映画について話せることも、皆様が作品を観てくれることにも感謝しています。素敵な映画です。いろんな要素が詰まったおもちゃ箱のような映画です。ぜひ最後まで楽しんでください」と、声を震わせながらも最後まで涙はこぼさずに、舞台挨拶を締めくくった。
(c)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会