Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 清春、52歳の誕生日に半生つづった自叙伝刊行「Wikipediaを見ましたね」

清春、52歳の誕生日に半生つづった自叙伝刊行「Wikipediaを見ましたね」

音楽

ニュース

ナタリー

清春

清春の自叙伝「清春自叙伝 清春」の発売記念会見が、彼の52歳の誕生日である本日10月30日に東京・京王プラザホテルで行われた。

誕生日に刊行された「清春自叙伝 清春」は、「今が良い分岐点で人生を思い出すタイミング。それと僕はこれからアーティストとしてどう生きるべきなのか」と語る清春が、デビューから25年が経った今、その半生を振り返ったもの。親交の深い音楽ライター・増田勇一氏によるインタビューや、実弟でありマネージャーも務めていた森義隆氏による寄稿、貴重なプライベート写真なども掲載されている。

会見は「会見の場を和やかにするために」という清春の希望により、芸能記者を司会に迎えて始まった。清春は「1年くらい前に作ってあった本なんですが、発売イベントができず、今日出すことになりました。初めての自叙伝です」と挨拶。本来は50歳とデビュー25周年の節目での発表を予定していたが、アルバムやツアーなどが立て込んだことや、コロナ禍の影響により52歳の誕生日に刊行することになったと経緯を説明した清春は「自叙伝を出せるミュージシャンは日本だと少ないので、その仲間に入りたいなという思いがありました」とはにかんだ。

会見の序盤、清春はコロナ禍での日常について「ツアーも中止、延期になり、レコーディングもほとんどできなかった。でも月に1回ストリーミングライブをやっていて。僕自身は家族を含め、数少ない人としか会っていなかったので自分がコロナになっちゃうという気はまったくしなかった。25年間コンスタントにライブを重ねてきて、ファンと会う機会が多かったんですけど、この半年間の(ファンとなかなか会えない)状況はまだまだ続く。ロックだから50%でコンサートはやりたくない。フルでやれるまではやらない。アコースティックなら話は違いますが、バンドスタイルをどうやっていくべきかは各地のスタッフやイベンター、マネージャーと毎日のように話し合ってました」と語る。記者から「半生を振り返って印象的だったことは?」と聞かれると、「事務所かな。インディーズ時代から自分でいろいろ考えてやっていくスタイルだったんですけど、デビューするときにお金あるなって思う会社に誘われたことがありました。そこに行かなかったことが今、まだここにいられる理由かな。自分の思い通りの案を通せるような環境にしていったことは、自分が高校生くらいのときに思っていたロックミュージシャンの在り方に通じています。本を読み返していても思いました。大人になると理想と現実が離れていくことはあると思うんですけど、自分の思いを突き通している感じがします。それがこの本の中心かな。同世代の方にも何か参考になるんじゃないかと感じています」と答えた。

また著書執筆にあたって苦労したことを問われた清春は、「自分でもWikipediaを見ましたね」と答える。そこに掲載されていたライブ会場の情報やツアータイトルなどについては「非常に正確」と話し、「例えば9カ月で100本以上のライブをやっていたので、全都道府県行ったのは本当かな?と思うときにも確認したし、アルバムの順位とかもそう。あといつから音楽業界のCDセールスが崩壊してきたのか、とかそういう時系列を確認するときにもWikipediaは参考になりました」とコメントした。しかし「人柄の部分とかは番組用に話したことがそのまま書かれていたりするので、内緒で書き換えちゃおうかなと思いましたけど、やり方がわからなかったのですぐあきらめました」と記者陣を笑わせた。また本の帯に千鳥・ノブのコメントが書かれていることについては、「ノブくん今、絶好調じゃないですか。番組でご一緒したこともあって、超ブレイクする寸前に書いてくれました。よかった、書いてもらえて」と話した。

続けて「これをまだやってないといったことはあるか?」と聞かれた清春は、「意外とそんなに根はめちゃくちゃじゃないし、絶対やっちゃだめなんですけど」と前置きしつつ、「海外のロックミュージシャンってだいたい1回捕まってるじゃないですか(笑)。海外だと1個のキャリアになるけど、日本だとタブーだからそれはやってこなかったってこと。もしやってたら書けるじゃないですか?『あのときクスリやっちゃいました』とか。そういうのがあったらよかったかなあと思いましたね(笑)」と時折笑顔を見せながらも淡々とした口調で語った。また自身のロック観、ライブハウスへの思いについて話がおよぶと、「僕が思っているロックっぽい感じは10年くらい前から日本にはなくて。最近は『ライブハウスを救え』なんてクラウドファンディングをやったりしてますけど、そんなこと絶対に僕ならしない。というのが僕の思うロック、そしてライブハウスでした。昔はライブハウスで怪我したり、飲まされたり、ライブのときは人がぐちゃぐちゃになって救急車で運ばれたりしましたけど、今って悪は悪なんですよね。僕が思っているロックは悪が正義だったんですけどね」と述べた。

会見の終盤、自身の信条について「個であること」と話した清春は、その理由について「僕らみたいなジャンルのミュージシャンは僕を含めて個人の名前でしか残ってないんですね。バンド全体のサウンドを聴くよりも1人を見るほうが勉強になった。バンド全体が好きというよりは『このバンドのこの人が好き』と思うことが自分は多かったので、アーティストとしてはやはり個なんだろうなって」と説明。最後に「こういうタイプのミュージシャンもまだいて、わりと長めにコンスタントに活動してることを知ってもらえたらいいなと思います。実力、自分の思っていることを現実に近付けることが、大きな数を勝ち取るよりも大事なときがある。僕はそういう人生なので、好きな人は好き、嫌いな人は嫌い、知らない人は知らない、知ってる人はすごい知ってる。音楽に寄った本ですが、そういったことも書いてあるのでミュージシャンだけじゃなくて会社員でもどなたでも手に取っていただけたら」と述べ、会見を終えた。

なお会見後に清春はファンクラブ会員限定のバースデーライブ「Kiyoharu Birthday 52『The Birthday』」を開催。3月リリースの最新アルバム「JAPANESE MENU / DISTORTION 10」の収録曲「SURVIVE OF VISION」や、sads、黒夢の楽曲など全11曲を披露した。