Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 浜辺美波の姿に仲間由紀恵を思わずにいられない 『TRICK』と『タリオ』のさまざまな共通点

浜辺美波の姿に仲間由紀恵を思わずにいられない 『TRICK』と『タリオ』のさまざまな共通点

映画

ニュース

リアルサウンド

 浜辺美波演じる元弁護士の白沢真実×岡田将生扮する詐欺師・黒岩賢介がバディを組み“復讐代行”を遂げる『タリオ 復讐代行の2人』(NHK総合)。第4話の依頼人はパパ活で騙されたOL。パパ活で出会った男女が実は生き別れた本当の父娘で、互いにそれに気づいているにも関わらず本音は語らない。そしてその先には娘から自分と自分の母親を捨てた父親への壮大な復讐が待ち受けていた。

 父娘の再会シーンに立ち会った白沢は、自身の境遇と重ね合わせて「本音を言わないなんて悲しすぎる。私が父親と再会できたら、心の底から喜んで怒る」と涙ぐみながら話していた。

 第4話でも、依頼人から紹介されて白沢が向かった宝飾品の修理屋の雰囲気、そこで登場するジュエリーデザイナー兼占い師兼ダンス講師の女性に『TRICK』シリーズ(テレビ朝日系)の匂いを感じた視聴者も少なくなかったのではないだろうか。

 そもそも放送当初から、本作から『TRICK』シリーズを連想するという声がSNSなどで上がっていた。それもそのはず、両作ともに制作陣にプロデューサーであり脚本家でもある蒔田光治が名を連ねている。

 『TRICK』は仲間由紀恵演じる自称天才マジシャン・山田奈緒子と阿部寛扮する自称天才物理学者で大学教授の上田次郎の凸凹コンビが、超常現象や、奇怪な事件に隠されたトリックを解決していくミステリードラマだ。本作も主人公となるのは、自称司法研修所主席卒業の元弁護士の白沢と、表向きは経営コンサル事務所を構える詐欺師・黒岩の男女の凸凹ペアだ。

 しかも両作ともに、女性側は仕事をすぐにクビになり家賃も払えないほどの貧乏暮らし。だが、互いに自身の専門領域を汚すような輩が大嫌いで片やインチキ超能力者のことが許せず、片や正義に反することを断固拒否する。そしてかなりの見栄っ張りというアンバランスさを秘めている点まで酷似している。また、山田の父親は亡くなっており、白沢の父親は現在失踪中で双方訳ありだ。そして特徴的なのは独特な呪文のような掛け声を発し、男性側のことを苗字の呼び捨てで呼ぶところだ。

 男性側はいずれも長身で、女性主人公よりもおそらく年上の設定で、彼女らよりも社会性を備えている。隣で、女性主人公があまりに乏しい一般常識からしくじったり、喚いたりしているのも淡々といなし涼しい顔して対応するさまも、時折見せるしたり顔も似ている。両作ともに、女性の方が物語の進行においては主導権を握っており、男性側が事件解決のフォローに回る構図も変わらない。

 それぞれ男女コンビが互いの欠陥を補完し合いながら、なんだかんだ事件解決したり復讐代行を遂げていく。互いにけなし合いながらも、頼りにし合っているのが伝わってくるのが彼らペアの面白みであり人間臭いところである。テンポが速く軽妙な掛け合いが頻出する上、よりボケ要素の強い女性主人公の役どころはコメディエンヌの才能がないと務まらず、それを正統派美人女優が演じることでさらなるギャップを見せているのも両作ともに取っている構図である。

 『TRICK』シリーズではことさらインチキな新興宗教とそれに君臨する教祖、そしてその力に帰依させられる村落住民の姿が描かれることが多く、本作第2話での女教祖(伊藤歩)の回では、見事に『TRICK』シリーズ独特の世界観が脈々と受け継がれていた。

 『TRICK』ほどの浮世離れ感はなく、今回の「パパ活」のように物語の設定にも現在の世情が存分に反映されている本作において、引き続きシュールでトリッキーな笑いを金曜日の夜に噛みしめたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
ドラマ10『タリオ 復讐代行の2人』(全7回)
NHK総合、BS4Kにて、毎週金曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、岡田将生ほか
制作統括:川田尚広、高橋練、岡本幸江
演出:木村ひさし、山本透
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/ts/78YR8PJXJ5/