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NCT 2020 ショウタロウ、ENHYPEN NI-KI、TREASURE……K-POPグループで活躍の日本人メンバーに新たな傾向

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リアルサウンド

 10月にフルメンバーを加えて『NCT2020:RESONANCE Pt.1』でカムバックしたSMエンターテインメント所属のNCT 2020。活動曲「Make A Wish(Birthday Song)」の『M COUNTDOWN』での初ステージで撮影された、日本人新メンバーであるショウタロウのチッケム(個人カメラ)が100万再生を超えて注目を集めている。

[MPD직캠] 엔시티 유 쇼타로 직캠 4K ‘Make A Wish’ (NCT U SHOTARO FanCam) | @MCOUNTDOWN_2020.10.15

 また、11月30日にデビューが決定しているMnet(CJ ENM)とBig Hit Entertainmentの合同プロジェクト『I-LAND』から誕生したグループ・ENHYPENにも、日本人メンバー・NI-KIが4位で選出された。今年YGエンターテインメントからデビューした大型ボーイズグループ・TREASUREにも日本人メンバーが4人も含まれている。

 K-POPグループ内の日本出身のメンバーの歴史については以前も記事を書いているが、近年は過去の本国事務所オーディションやダンススクール・街中スカウティングからオーディションを受けて練習生を何年か経験しデビュー、という法則に当てはまりにくいパターンも増えているようだ。

 2005年生まれで満14歳のENHYPEN・NI-KIは岡山県出身。日本でも行われたBELIFT(CJ ENMとBig Hitの合同会社)のオーディションをきっかけに練習生になったと思われるが、その期間はわずか8カ月程度。1年未満の経験ながら『I-LAND』に出演し、歌手のピ(RAIN)、BTSのJ-HOPE、SEVENTEENのTHE8のようなK-POP界でもダンスの実力を知られている先輩たちからサバイバル中に何度もダンスの上手さについて言及されていた。ダンススタジオを経営している両親のもとで3歳からダンスを始めており、子供の頃に「リキ・ジャクソン(リキは本名)」として『FNS27時間テレビ』などに出演していた。2017年にはSHINeeの日本コンサートステージでSHINee Kidsとして活動したこともある。オーディションを受ける前からダンスやステージパフォーマンスの経験はすでに十分にあり、大衆も含めパフォーマンスを直接アピールして評価されるサバイバルにおいてはアピールポイントとしてアドバンテージのひとつになったと言えるだろう。

 NCTのショウタロウもLDHが運営するダンススクール・EXPGの東京校特待生だったことはすでに知られており、プロのアーティストのライブステージなどにもすでに出演経験があった。サバイバルプログラムでデビュー前に実力が知られるケースになったNI-KIとは異なり、ショウタロウの場合は存在が知られたのがデビューが決定した時というケースで、韓国では経歴が知られる前にデビューの数カ月前までアップしていたTikTokのダンス動画が広まったことで懐疑的な視線が集まったりもした。通常デビューが近いと思われる練習生に関してはある程度韓国のファンの間では知られていることが多いが、ショウタロウの場合はそれがなかったこと、今年の3月にリリースされたNCT 127「英雄; Kick It」のダンス動画をアップしていたため事務所に入ってから半年は経っていないと推測されたにも関わらず、タイトル曲「Make A Wish」のパフォーマンスメンバーに選ばれたことも当初は韓国のファンによる反発を呼んだ部分もあるようだ。

 しかし、一度音楽番組でパフォーマンスが公開されると、デビューステージとは思えないほどの完成度の高いダンスや落ち着いたステージ作法、既存のNCT内のダンスの上手いメンバー達とはまた異なるベクトルのダンススタイルなどが一気に注目を受け、パフォーマンスそのものでそれまでの懐疑的な視線を支持へと反転させることに成功した。NCTの外国籍メンバーでは幼少期から歌手としてTV出演経験があった中国籍のチョンロも練習生になってから半年ほどでNCT DREAMとしてデビューした経緯があり、韓国外でもすでにある程度のエンターテインメント系の経験がある人材に関しては、一般的な練習生ほどのトレーニング期間を経なくてもデビュー出来る可能性が高くなってきているということかもしれない。

 TREASUREのメンバーの場合は、また少し違うパターンだ。YGエンターテインメントによる日本国内オーディションがきっかけという点では変わらないように見えるが、HARUTO(ハルト)・YOSHI(ヨシ)・MASHIHO(マシホ)・ASAHI(アサヒ)の4人とも韓国ではなくYGの日本支部であるYG ENTERTAINMENT JAPANでトレーニングを受けていたメンバーという点である。デビューサバイバル番組だった『YG宝石箱』では途中からトレジャーJとして登場したが、スタッフによる社内評価でダンス以外のポジション別で1位をとるメンバーもいた。言語的な障壁を考えれば外国人メンバーで韓国外に居住してトレーニングを受けるという点はディスアドバンテージにもなりうるが、この結果は韓国の事務所と日本支部でのトレーニング内容や指導方法、メンバー選出基準のズレのなさを表していると言えるだろう。夏休みなど学生の長期休みシーズンには、日本支部から練習生が来韓してワークショップを韓国の練習生と一緒に受けるというプログラムもトレーニングの一環としてあるようだ。

 K-POP業界では元々ネット経由での特に海外の人材発掘への意識は高かったと思われる。過去の例でも、TWICEのモモはYouTubeに載せていたダンス動画がきっかけで声のかかったJYPエンターテインメントのオーディションを受けて練習生になった。2020年は新型コロナウイルスの影響もあり韓国とその他の国での往来は以前より難しくなっている分、インターネット経由でのスカウティングやオーディションは今後も増えていくかもしれない。そしてそのような場合は実際に目で見られる部分が限られるため、最初からテクニカルな部分で求められるもののレベルは高くなっていき、結果的に実際の韓国内でのトレーニング期間は短くて済むケースが増えるということだろう。また、YGのTREASUREのように、海外支部システムがうまく機能するのであれば、韓国外でもオーディションやメンバー選出は現地スタッフに任せ、デビュー以降のみ韓国内に移動するというやり方も可能であり、海外在住の人材にとってはより「K-POP」というジャンルが選択肢として視野に入れやすくなる可能性は高いのではないだろうか。

 今回は直近の男子グループの新しいケースについて言及したが、K-POPの外国籍メンバーにおいて日本出身のメンバーの比率は年々上昇している。「韓国外在住でK-POPアイドルを目指す」ということが第一目標になる場合、まずはトレーニングのために韓国に渡ることや韓国語を学ぶということが「一般的」であり、特に未成年の身では金銭的や環境的な面でそれが第一選択に出来ない場合もあるかもしれない。しかし今後はそれだけではなく、日本国内でダンスやパフォーマンス全般において自分が目指すものを突き詰めた結果、最適解の就職先としての「K-POP」という選択肢をとるケースと、そのようなすでにある程度技能的にトレーニングされた人材を求める事務所側というマッチングも増えていくのかもしれない。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
Twitter:@djutakata