マカロニえんぴつ はっとりが語る、様々な愛を歌にする意味 「“誰かに何かを伝えたい”というのは愛あっての発想」
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マカロニえんぴつが、メジャー1st EP『愛を知らずに魔法は使えない』をリリースする。彼らにとって、そして音楽シーンから見ても「機は熟した」というところだろうか。
ユーモラスなようで不可思議なこのバンド名を、昨年から今年にかけて初めて耳にしたリスナーも多いかもしれない。しかし彼ら自身はインディでの活動によってこれまでに相当な数のリリースを続けており、そのサウンドのクオリティは高い。評価と注目度を少しずつ上げてきて、その扉を大きく広げるタイミングがついに訪れた、という印象を受ける。
マカロニえんぴつの世界は基本的にポップなメロディと日本語詞、そして開かれたバンドサウンドによって成り立つ、親しみやすいものではある。しかもその音楽性の振り幅は広く多彩で、洋楽ロックへの憧憬がつねにあり、ところどころにディープな部分も存在する。その結果、どこかつかみどころがないような……いや、正確にはつかみどころが多くて、イメージ以上に仕掛け満載のバンドなのだ。歌もまた、はっとり(Vo/Gt)の声が、軽やかな響きの一方でエモーショナルな要素を多分に含んでおり、決して一筋縄でいくものはない。
リアルサウンドで初のインタビューとなる今回は、はっとりにバンドの成り立ちからこれまでの道のり、そして創作における姿勢と最新作について聞いた。彼は何気ない質問や話題からでも、楽曲に込めた意志や感情的な話をとてもナチュラルに語ってくれた。ポップにひょうひょうと、しかし歌の中ではディープなことを歌いきる、そのクリエイティビティは破格の可能性をはらんでいると感じた。このバンドは本物だと思う。(青木優)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
楽しんでやれているスタンスを崩さず、より楽しく音楽を作っていきたい
ーー以前、僕がマカロニえんぴつをイベントで観た時に、はっとりさんは「ヘンなバンド名だと思われるかもしれませんが」と言われていて。で、自分たちのバンド名については過去に曲の中でも言及していますね。〈あの娘に勧めたいけどバンド名がな ダサすぎ〉と。
はっとり:そうですね、「トリコになれ」という曲(2019年のミニアルバム『LiKE』収録)で。
ーーつまりバンド名について、そういう自覚があると。
はっとり:自覚……バリバリあります(笑)。自他ともに、ということですね。今のお話で「他」も強いんだなということがわかりました(笑)。再確認できて、良かったです。
ーーただ、もともとは哲学的な理由からつけられた名前なんですよね。
はっとり:そうです。「マカロニ」の空洞が「無」を示していて、それに対して「えんぴつ」は白紙に書き進めていくものだから「有」の象徴で。僕ら的にはこの相反するふたつのものを一緒にしてしまえ、と。「無」から存在を自由に書き進めていこう、自由に音楽を作っていこう、と。型にはまらずに自分たちなりの色をどんどん描いていけたらな、と思います。だから哲学的な意味はあるんですけど、伝わりづらいというか(笑)。
ーーそこでよくあるバンド名のように「何とかズ」や「ザ・何とか」にしようとは思わなかったですか?
はっとり:それは……候補にはなかったですね。「何とかズ」は、まあパンクバンドとかだったらサマになるんだけど。そもそも「マカロニえんぴつ」とつけてる時点で、そういうこだわりはないですね。「何とかクラブ」なら良かったかな。カッコいいじゃないですか? ちょっとおしゃれで。
ーーそのぐらいジャンルではない、それこそ型にはまらない音楽を目指してたということですね。
はっとり:そうですね。僕のカッコいいと思うバンド像はユニコーンなので、「型にはまらずに、いろんなジャンルをやるバンドになりたいな」という憧れはずっとありました。でもインディーデビューしてからしばらくは四つ打ちの曲が多かったです。フェスブームに乗じたサウンドになっていた気がします。そう考えると今のほうが自由かもしれないですね。曲調については。
ーーでは結成にあたり、はっとりさんはそういう自由な音楽性を具現化できそうな人たちに声をかけたわけですか?
はっとり:いや~、全然もう、手当たり次第という感じだったんですよ。実は演奏を見ないで誘ってるんです。音楽を専門に学ぶ大学のロック&ポップスコースに入学したんですけど、見た目がいかつい同級生が意外と多くて、話しかけるのに気が引けたというか(笑)、怖かったんですね。だからちょっと地味目な連中に声をかけたという。断らなそうな……自分に近い人間を選んでたのかもしれないですね。友達が少なそうな、と言ったらあれですけど。
ーー(笑)はっとりさん自身がそうなんですね。
はっとり:そうそう、ひとりでいるような感じの(笑)。そしたら「やるよ」と言ってくれて。先にドラムから誘って、次にベース(高野賢也)。で、ギターのよっちゃん(田辺由明)は、当時はかけもちでサポートという形だったかな。鍵盤は、最初はサポートを先輩にお願いしてたんですけど、あとで長谷川(大喜)に声をかけて。彼だけエレクトーンのコースで、新潟の大会で1位になるくらいの実力だったんですけど、そこで入団テストじゃないけど、練習室に呼んで。だから彼だけ加入する前に演奏を見てますね(笑)。
ーーそうしてメンバーを選んだご自身の目利きはどうだったと思います?
はっとり:うん、いいメンバーを誘ったとは、今でもすごく思いますよ。途中でドラマーが抜けてちょっとガタついたんですけど、ほかのメンバーの参加意識がグッと高まって、曲を作るようになってきたんですよね。そこから「あっ、いい曲を書くじゃないか」みたいに僕が刺激を受けたりして。だから運が良かったなと思います。
ーーメンバー各人が曲を書くのは、先ほどのユニコーンがそうですよね。
はっとり:ああ、そうですね。まあ歌ってくれれば、もっといいんですけどね(笑)。ゆくゆくは。
ーー今度のEPでも「ルート16」を長谷川さんが作曲していますね。
はっとり:モータウンチックな、16(ビート)がきいた曲で。この曲は僕、好きですね。これは彼のデモから形を変えてないです。最初からこの雰囲気で、アレンジも派手にせず。はい。
ーーで、マカロニえんぴつは最初にCDを出してから5年が経っていて、今回からメジャーからのリリースになるんですが、それにあたって何か特別な思いはありますか?
はっとり:もちろんメジャーは、バンドを組んでいる人にとっては憧れの舞台だと思うし、「やっと来れたな」という達成感はあります。これまでも、インディーズではあるけどすごくいろんな人に出会えたし、かなりいい経験をたくさんさせてもらったので、この楽しんでやれているスタンスを崩さず、より楽しく音楽を作っていきたいです。じゃなければメジャーでやる意味がないと思うし、トイズファクトリーはバンドのそういう思いを理解してくれているので、ワクワクしていますね。「これからまた、さらに楽しくなるんじゃないかな」って。
ーーバンドのオフィシャルの動画ではメジャーに行くことについて「チームを大きくしていくイメージ」「バンドもいい変わり方をしていく」ということを言われてましたね。
はっとり:そうですね。入口を広げるというか、出会えてない人のほうが多いわけですから、出会いをもっとたくさん増やしていきたいです。チームというのは、スタッフ陣もそうだけども、相変わらず「好きでいてくれる人をゆっくりでいいから増やしていければな」ということです。最初から「全年齢対象ポップスロックバンド」と謳っていたので、より多くの人に、より広い世代に、という思いは変わらずにありますね。最近はより幅広い世代に聴いてもらえるようになってきたので、これからさらに頑張りどころかな、と思ってます。
ーーでは今、バンドは「いい変わり方」をしていけている気はします?
はっとり:しますね。今回のEPも「最新作にして最高のものができたな」と思ってるんですよ。毎回それは思うんですけど、レコーディングはどんどん楽しくなるし……それは恵まれた環境の中でやれてるからだと思います。期待もしてもらえてるし、だからこそそれに応えようと、僕だけじゃなくてバンドみんなが思えてるから。だけど、そこまで気負わずに、楽しむことを忘れずにいれていることは大事かもしれない。今回の作品には、まっとうなロックソングもあれば、ふんだんな仕掛けを1曲に詰め込んだプログレッシブな曲もあるし。この表情がアルバムごとにもっと変わっていけたらいいですね。これから先、フルアルバムサイズでも。
はっとりが考える“バンドの強み”と“ロックの定義”
ーーたしかにこの6曲もバラエティに富んでいますね。サウンド面ですごく貪欲だと感じます。
はっとり:はい、1曲の中に2~3曲(分のアイデアが)入ってるような曲もあるので。僕らは作りながらアレンジがどんどん変わっていくんですけど、そのへんは貪欲にいきましたね。妥協なしで。今回はミックスもかなり時間をかけたし。
ーーそしてこの6曲の最初と最後の曲がTVアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の主題歌になっていますね。1曲目の「生きるをする」がそのオープニング曲で、ラストの「mother」はエンディング曲と、アニメと同じような配置になっていますけれども。
はっとり:やっぱりそのために作っているので、オープニング曲で始まってエンディングで終わるというのは、アルバムでも一番しっくり来るんです。で、このEPにテーマがあるとすれば「生きる」とか「自分を探すこと」で……はたまた「死」ということに触れたような瞬間もありました。とくに生きていくことは自分を愛することだという「生きるをする」と人生を旅になぞらえてる「mother」の2曲が、このEPをちゃんと説明してくれている気がしていて。最後にこのメッセージソングがあれば、その間ではサウンド面でも遊べるし。しっかり芯の通った2曲があるという安心感がありましたね。
ーーそれで全体の背骨ができている気がします。で、ちょっと話がそれるんですが、マカロニえんぴつはこれまでもタイアップの曲をわりと作っていますよね。ただ、とくにロックバンドはタイアップ曲について積極的ではないことも多いじゃないですか。
はっとり:はい、タイアップは今までも何曲かやらせてもらっています。そうですね、それによってイメージがつきますからね。良くも悪くも。
ーータイアップする作品や商品と、自分たちの音楽とのすり合わせに苦慮することもあると思うんです。そこはこのバンドの場合、どうなんですか?
はっとり:そこは……「そつなく何でもこなす」というのがこのバンドのひとつの強みだと思うので。「このジャンルに特化している」というバンドであれば、たしかにタイアップによって自分たちのスタイルが見えなくなってしまう可能性もあるかもしれないですけど。僕は、根本的に……音楽じゃないにしても、人って、自分が思っている自分よりも、他人から見られた姿が本当の自分というか、その人の「らしさ」につながると思うんです。たとえば「マカロニえんぴつらしさ」みたいなものも自分で決めるものじゃないな、と思っていて。だから(タイアップの)お話が来たら、それはありがたいことですよ。期待されたり、お願いされたりしているわけですから、それに応えたいという思いで作っています。そこで「こういう曲調で」「こういう歌詞を入れて」「テンポはこれで」って細かく言われたら、それは作れないし、作りたくないですけど。今までいただいたすべてのタイアップが、「マカロニえんぴつが自由に作ってくれれば」「スウィートポイントが一番発揮できる曲調であればいいです」ということを言ってもらえてるので、のびのびとやらせてもらえてるんですね。だから否定的な感覚はないですし……マクドナルドのタイアップ(「青春と一瞬」)をやった時も、それによって入口が広がって、聴いてくれる人がグッと増えたと考えると、良かったなと。そうやって依頼してくれた側も受けた僕たちも、お互いいい関係になれるタイアップが多かったし、楽しみながらやれていることが大きいんじゃないですか。どうせやるからには楽しんでやりたいし、CMとかであれば、それに絡めてうまくやってやろうと……マクドナルドだったら「ポテトが揚がる音を入れてみよう」とか、そういうことをスタジオでみんなで面白がってやれてるんですよ。
ーーなるほど。そこも独特ですよね。
はっとり:ロックバンド然としていないのかもしれないですけどね(笑)。僕、個人としては楽曲提供も好きなので、作家的な視点もあるんです。笑っちゃうようなヘンなアレンジをしても、決めるところは決める。それで歌がエモーショナルだったり、ギターが歪んでれば、僕はロックだと思うし。ロックっていうのは自信を持ってやっていれば、全部ロックになる。ユニコーンみたいなユーモアがあれば、それもロックだと思うし……僕が思うロックは、こういうスタイルですね。
ーーはい。お話を聞いていると、はっとりさんは自分のロック観にかなりのこだわりがあるように思います。様式美とかスタイルではないということですよね。
はっとり:うーん、逆にこだわりがないのかもしれないですけどね。言ってみれば(笑)。こだわりがあれば「俺以外ロックだと認めねえから!」ってなってるから。何だろう……人数感が見えれば。
ーー人数感? どういうことですか。
はっとり:サウンドを聴いた時に、バンドメンバーで頑張って音数を増やそうとしてる、その人数で頑張って盛り上げようとしてる、その感じがロックでいいんですよね。で、僕はユニコ―ンに憧れているから鍵盤がいる5人編成が好きで。鍵盤がいろんな音色を切り替えながらやっているライブが好きなんです。うちの鍵盤も忙しそうにしてるんですけど、その頑張ってるさまはすごくロックだと思いますよ(笑)。強いて「ロックとは」と言えば、それかもしれない。僕らは基本、同期を使わないですしね。自分たちのイメージに到達しようと、みんなで頑張っている感じというか。
ーーすごくアナログ的だし、人間くさい話です。そしてバンドに対するロマンチシズムを感じますね。
はっとり:まあ僕の好きな海外のバンドがそういう音作りをしているんです。JellyfishとかQueenとか、組曲的な作り方をしているバンドってワクワクするじゃないですか。父親がプログレ好きだったのもあって、おもちゃ箱をひっくり返したような……次から次へと展開が増えてってまた戻って、みたいな音楽は好きですね。今回はそれをやっている曲が多いかもしれないです。
ーーそう、それは先ほどの「生きるをする」から、いきなりすごいですものね。歌いだしのところからどんどん新しい展開になっていく曲で。これはどんな発想から作られていったんですか?
はっとり:これも(元の展開に)よく戻れたなって思います。最近はスタジオワークで作るスタイルが定着してきてるんです。ワンコーラスはまっとうに作るんですけど、そこで転調する以外の盛り上がり方を探してる時期で。わかりやすく盛り上がるから転調ばかり作りがちなんですけど、そこでどうにかして転調以外で盛り上げたりできないかなと思って、1回(曲のテンションを)落としたり、違う曲に切り替わるとか……。
ーー違う曲になるんですか(笑)。
はっとり:で、また戻ってきた時の心の高揚感ってあるんですよ。「おおー戻ってきた!」みたいな。だから寄り道するのは戻るためです。すべて!(笑)。あとは飽きさせないため。「生きるをする」は、歌の内容とか、あとアニメと同じく、冒険をしてる感じに、結果的になったので。
ーー結果的に、なんですか?
はっとり:そう、結果的にです(笑)。でも感情の機微って一辺倒じゃないじゃないですか。心の不安とか、浮き沈み、青春時代の葛藤……そういうものも、展開がひとつガラッと変わることによって表現できている気がして。最近はその方法にはまってます。
ーーそのくらい1曲の中でダイナミックに変わっていますよね。「溶けない」も途中でプログレ的な展開が思いっきり入っていますが、これらははっとりさんがひとりで作ったデモが発展して作られていくものではないんですか?
はっとり:いや、スタジオでバンドと作っていきました。僕だけで作ったのは、言ってしまえば弾き語りで考えた歌いだしだけですね。僕、昔はデモをこだわって作っていたんですけど、それだとメンバーが介入してくる余地がなくて広がりがないので、この展開もバンドと作ったんです。サビはスタジオで、みんなにコードを弾いてもらいながら作りましたし。この「溶けない」の途中で展開が変わるのは、休憩がてら、スタジオでよくセッションをやるんですけど、ちょっとファンクっぽいカッティングをやっていたら楽しくなっちゃって。「これを放置するのはもったいないから『溶けない』にくっつけてみるのはどうだ?」って話になって。半ば無理やりですよ。でもちゃんと戻れたし、戻れるようにいろいろ変えました。
ーーそれができるのは、おそらくバンドの状態がいいからですよね。
はっとり:そうですね、きっと。楽しんでやれてるし。僕もメンバーへの信頼感が以前に比べて増してるし。みんなスキルアップしてるし、曲も量産しているので、頼っているところはあると思います。
誰かの“逃げ場所”の選択肢の一つにマカロニえんぴつがいてくれればいい
ーーわかりました。最後の「mother」はパワーポップ的な曲ですね。
はっとり:そうですね。この曲は勢いをパッケージするのがいいなと思ったので、そういう荒っぽさは残しました。今回のEPは、今まではギターが目立つアレンジの曲が多かったので、ちょっとエレクトロポップ寄りというか鍵盤フィーチャーのアレンジにしようと心掛けたんです。でも「mother」は逆に、僕の好きなパワーポップな感じ……Weezerとかの質感を全面に出してやろうと思いました。だから鍵盤の主張は少ないかもしれないです。
ーーで、この曲の歌詞にEPのタイトルである『愛を知らずに魔法は使えない』というフレーズがそのまま入ってるんですが、これは「mother」を書いている時に出てきたものですか?
はっとり:「mother」の最初のタイトルが「愛を知らずに魔法は使えない」だったんです。曲が揃ってきた時に、この6曲のメッセージ性みたいなものをすごく端的に言い表してくれてるような気がして、これはEPのタイトルにふさわしいなと。全曲通して愛を歌っているし……愛というのは人からもらうものだけども、もらったらもらっただけ誰かに渡していくべきものだと、僕は思っているので。各曲で違う形の愛を歌にしています。だから愛という言葉が入っているこのフレーズは、今作にはふさわしいかなと思って、タイトルにしました。
ーー過去には、とくに『LiKE』という作品でもかなり愛を歌っていますよね。
はっとり:そうですね。全編通してマカロニえんぴつの……というか、僕の書く歌詞には頻繁に愛は登場するというか。まあ、すべてはラブソングだと思っているので。
ーーああ、そうなんですか。
はっとり:恋愛だけがラブソングじゃないというか。「誰かに何かを伝えたい」というのは愛あっての発想なんです。そこに思いがある以上は、根源に愛があると思うし。愛がなかったら、無関心……ですからね。愛の反対は。何の気力もない状態ですから。
ーーそうですね。憎しみとかではなく。
はっとり:そう! じゃないんです。無気力、無関心。生きようとしてない。生きてるんだったら、生きようとしてるんだったら、何かを伝えようとしてるんだったら、そこに愛はあるんでしょ? って。だからすべてに、愛は頻繁に登場します。
ーーそれははっとりさんが、無気力で無関心な状態が、あまりに愛だとか人間らしくないものだと実感したことがあるからですよね? おそらく。
はっとり:……うーん!
ーーじゃないと、こんなに、あなたの言葉の面でのテーマ性として出てこないと思うんです。
はっとり:そこは、ひどく寂しがり屋というのがありますね。ひとりは好きなんですけど、誰かと関わっている時間がもっと好きなので。とくに今はチームが大きくなっている。最初はバンドメンバーだけでやっていたことが、いろんな人が関わってくれるようになった時に、「俺ひとりだと、こんなにバンドはデカくなってないな」と実感したんですね。その愛された実感によって価値観が変わったし、バンドが大きくなったし……そういう経験ですよ。たとえばひどく裏切られたとか、そういうものからではないですね。
ーー関わってくれた人というのは、一緒に仕事をしてきたレーベルやマネージメントの方々だったりですか。
はっとり:そうですね。今所属しているeggmanのスタッフはほんとに熱い人たちで……そこに移籍したのが2017年か。そこに所属するバンドとの出会いもだし、スタッフ陣との出会いもだし、マカロニえんぴつがより輝ける場所にたどり着けたので。いろんな感情の変化がありました。そこで感じたことが今の歌詞にはエッセンスとしてあるんだと思いますね。
ーーなるほど、わかりました。で、話を今回のEPに戻すと、愛すること、生きること、あとは〈夢〉とか〈今日を守るぜ〉とかのフレーズがあるように、今回の6曲全体にポジティブなところが出てきていますね。ポジティブさは、もちろん過去もあったけど、力強さが備わってきたのを感じるんです。
はっとり:昔に比べて、前向きな言葉のチョイスは増えたかもしれないです。今回とくにそうかもしれない。自分から出てくるのが自然とそういうものになってきてるのは、やっぱりバンドがある程度多くの人に認めてもらえるようになってきたり、充実してるからだと思うんですね。だけれども、照らしてるのは暗い部分なので……暗いから照らさなきゃいけない、ということは昔から変わらないです。他人には見られたくない、隠したい部分……失恋だったり、孤独感だったりに無理やりスポットを当てて、目をそらさないようにしているというか。それをまじまじと照らされた時に「あ、俺はこれほどキズついてたのか」とか再確認するだろうし、それでより強くなれるんですね。だからこのバンドがそういう役割をしているのは変わらないんですけど、言葉のチョイスが「ヤングアダルト」以降、前向きなものになってきている気はします。より鼓舞するためというか、背中を押すために。まずは自分のね。で、それが回りまわってリスナーに届けばいいと思っています。
ーーはい。ではそれに関連して最後に聞きたいんですけど、前々から「グッドミュージックを届けたい」と言われてますよね。そのグッドミュージックの定義が変化してきているところはありますか?
はっとり:あ、結成当時の楽曲と比べてですか? いや、ずっとグッドミュージックです。自分が好きな曲、「自分だったら買うな」というアルバムを作っている自信は、最初からあるんです。根拠のない自信が(笑)。自分が好きなバンドは、グッドミュージックだと。自分がエキサイトするものを作るのは最低条件で、その巻き込む力が大きければ大きいほど、グッド。で、少数の人にしか受け入れられなくても、みんなが口を揃えて「いやぁ、あの曲はたしかにいいよ!」って言えば、ほんとにいい曲、グッドミュージックだと思うんですね。だからこそ自分は曲を作り続けると思うんです。あとは、心を委ねられるところ、心の拠りどころというんですか。ヘコんだ時とかに逃げ場所になるものは、自分にとってのグッドミュージックだと思う。逃げ込みたくなるような曲は、人それぞれあると思うんですよね。それはひとつじゃなくていいと思うし、そのたくさんある逃げ場所の中にマカロニえんぴつがいてくれればいいと思ってます。マカロニだけ聴いてくれればいいとは思わないというか。その1個の逃げ場所として利用してもらえれば、というくらいに思っています。
ーーなるほど、わかりました。その入口が今後もっと大きくなっていくといいですね。そうすれば、その心のよりどころにしてくれる人たちも、きっと幸せになれるはずでしょうし。
はっとり:そうですね。これからです。これからも、いろんな人に出会っていきたいと思っています。
■関連情報
『愛を知らずに魔法は使えない』発売記念特番
11月4日(水) 20:00配信開始
マカロニえんぴつ YouTube チャンネル
スペースシャワーTV LINELIVEアカウント
■デジタル先行配信シングル情報
「mother」
10月17日(土)発売
配信はこちら
「愛を知らずに魔法は使えない」
配信はこちら
■リリース情報
メジャー1st EP『愛を知らずに魔法は使えない』
11月4日(水)リリース
◆初回限定盤 CD+DVD
価格:¥2,727+税
◆通常盤CD
価格:¥1,636+税
※最速先行抽選チラシ封入
<CD収録内容(初回限定盤/通常盤共通)>
【CD収録曲】全6曲収録
01. 生きるをする(アニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」オープニング主題歌)
02. ノンシュガー
03. 溶けない(グリコ「セブンティーンアイス」WEB CMタイアップソング)
04. カーペット夜想曲
05. ルート16
06. mother(アニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」エンディング主題歌)
<DVD収録内容(初回限定盤のみ)>
マカロックONLINEワンマン〜豊洲から愛を込めて〜 LIVE映像を完全収録、更に特別LIVE映像を2曲追加収録。メンバーによる副音声付き
【DVD映像収録曲】全16曲収録
01. hope
02. 遠心
03. トリコになれ
04. girl my friend
05. ワンルームデイト
06. 溶けない
07. ブルーベリー・ナイツ
08. 恋人ごっこ
09. 春の嵐
10. ハートロッカー
11. 愛のレンタル
12. 洗濯機と君とラヂオ
13. ヤングアダルト
Encore
14. OKKAKE
追加特別LIVE映像
15.嘘なき
16.ミスター・ブルースカイ
■ツアー情報
『マカロックツアーvol.11 〜いま会いに行くをする篇〜』
4月10日(土)東京都 オリンパスホール八王子 開場16:00/開演17:00
4月15日(木)北海道 カナモトホール 開場16:00/開演17:00
4月17日(土)北海道 函館市民会館 大ホール 開場18:00/開演19:00
4月21日(水)東京都 LINE CUBE SHIBUYA 開場17:30/開演18:30
4月24日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール 開場16:00/開演17:00
4月25日(日)石川県 本多の森ホール 開場16:00/開演17:00
4月29日(木)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール 開場16:00/開演17:00
5月2日(日)広島県 広島上野学園ホール 開場16:00/開演17:00
5月3日(月)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール 開場16:00/開演17:00
5月7日(金)宮城県 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館) 開場16:00/開演17:00
5月9日(日)岩手県 岩手県民会館 大ホール 開場16:00/開演17:00
5月13日(木)大阪府 オリックス劇場 開場16:00/開演17:00
5月14日(金)大阪府 オリックス劇場 開場16:00/開演 17:00
5月16日(日)愛媛県 松山市民会館 大ホール 開場16:00/開演17:00
5月23日(日)神奈川県 横浜アリーナ 開場16:00/開演 17:00
マカロニえんぴつ 「愛を知らずに魔法は使えない」特設サイト
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応募要項は以下の通り。
応募方法
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※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
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<締切:11月17日(火)>