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「泣く子はいねぇが」フィルメックス上映、監督・佐藤快磨が“なまはげと父親”語る

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佐藤快磨

第21回東京フィルメックスでの「泣く子はいねぇが」の日本最速上映が、本日11月3日に東京・TOHOシネマズ シャンテにて実施され、Q&Aセッションに監督の佐藤快磨が登壇した。

父親としての自覚を持てず、ある失態により妻と娘のいる秋田・男鹿から逃げ出した主人公・たすくが、過ちと向き合い成長する姿を描いた本作。たすくを仲野太賀が演じ、吉岡里帆、寛一郎、余貴美子、山中崇、柳葉敏郎も出演している。

本作を作ったきっかけについて、佐藤は「20代後半を迎え、同級生たちが結婚して父親になっていく中で、自分も当たり前のようにそうなれると思っていたんですが、その未来がどんどん遠ざかっていく感じがあって。自分は父親になれるんだろうか、それはどういうきっかけなんだろうか、ということを映画の中で探したかった」と説明。約5年前にラストシーンは決まっていたそうで「3年ほど前に、分福で是枝裕和監督の助監督募集があったんです。志望動機のところにこのあらすじを書いたら『脚本を持ってきて』と言われました」と制作に至る経緯を語った。

映画はなまはげ文化のある男鹿市で撮影されている。秋田県秋田市出身の佐藤は「幼い頃に一度だけなまはげを体験したことがあります。友人の家だったんですが、僕はそのとき抱きつける大人がいなくて。友人は父親に泣いてすがっている中、僕は心細い思いをしたのがトラウマのように記憶に残っています」と振り返り「なまはげは子供を泣かせるイメージが強いと思いますが、父親が子供を守るという意味で、父親としての自覚を芽生えさせる機能もあるのだと感じました」と続けた。

本作の劇伴は折坂悠太が担当しているが、きっかけは仲野からの推薦だったという。佐藤は「音楽についてプロデューサーと話していたら、太賀くんが『折坂さんはどうですか』と名前を挙げてくださって。今考えると、太賀くんはロケハンのときから『今折坂さんの曲を聴いているんです』って言ってくれてたんです。僕は『ああ、いいよねー』とか返していたんですが、そのときからそれとなく推薦していたんだなと(笑)」と振り返る。また佐藤は、折坂との作業について「途中からLINEで電話するようになって、この映画のシーンの見方について話し合うことができました。最初に『この映画は音楽を付けなくてもいいんじゃないですか』と言ってくださったのはすごくうれしかった」と回想した。

最後に佐藤は「初めて商業映画を撮らせていただきました。本当に恵まれた環境で、キャスト・スタッフの皆さんと全員で『今までにない映画を撮りたい』という思いで作った感覚があります。1人でも多くの方に観ていただけたら」と挨拶した。

「泣く子はいねぇが」は11月20日より東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー。第21回東京フィルメックスは11月7日まで有楽町朝日ホールほかで開催されている。

(c)2020「泣く子はいねぇが」製作委員会