現役高校生シンガー RAKURA、デビュー初インタビュー “Z世代”ならではの自己表現とアーティストとしての展望を聞く
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感情表現豊かなボーカルで魅了するシンガーがまたひとりシーンに登場した。福岡出身。17歳。現役高校生。彼女の名前はRAKURA。デビュー曲「Unforgiven」は、TOKYO MX 新月曜ドラマ『片恋グルメ日記』のエンディングテーマとしてすでにオンエアされている。彼女は、Z世代のクリエイターをバックアップする、Being Group内に新設されたレーベル<asistobe>の第1弾アーティストでもあり、今後、海外発信も期待されている。今回はRAKURAの音楽遍歴を辿りつつ、デビュー曲の作詞・作曲・編曲を手掛けたプロデューサーのRa-Uにも同席してもらい、「Unforgiven」の制作を通じて感じたRAKURAの魅力や、今後の目標まで、たっぷりと語ってもらった。(猪又孝)
音楽への目覚め〜ミュージカルやダンスで培われた音楽的素養
ーープロフィールによると2歳の頃から音楽教室に通っていたそうですね。
RAKURA:赤ちゃんのときから音楽が流れたら体が動く子だったみたいで。お買い物に行ったらBGMで勝手に踊り出す、みたいな。それを見てお母さんが、この子はそういうことが好きなんだと思って、音楽教室に入れたみたいです。
ーーさらに3歳からはミュージカルもやっていたとか。
RAKURA:地元の劇団に入っていたんです。音楽とかダンスが好きだったからもうちょっと本格的に小さい頃から携われるようにやらせてみようかなって親が思ったみたいで。
ーーダンスも習っていたそうですね。
RAKURA:3歳から小学校に入るまではバレエを習っていました。あとタップダンス。劇団ではミュージカルダンスですね。台本に合わせて舞台の上で歌いながら踊るっていう。ダンスは中学のときに別のスクールにも通って、そこではストリートダンスをやってました。ヒップホップとハウスとロックダンスです。
ーー小さい頃から音楽とダンスに親しんでいたんですね。
RAKURA:だから中学校を卒業するタイミングでの進路相談のときに、ずっとやってきたのが歌とダンスとお芝居の3つだったので、その道に進むことしか考えてなかったんです。特に歌が好きだったから、高校は音楽の専門学校に進学したんです。
ーー小学生の頃はどんな音楽を好んで聞いていましたか?
RAKURA:携帯電話を持っていなかったので、しょっちゅう音楽を聴いていた感じじゃないんですけど、ディズニー系の音楽が好きでした。ミュージカルの曲とか映画の曲とかを覚えてカラオケで歌っていました。
ーー最初に買ったCDは何ですか?
RAKURA:CDは買ったことないです。
ーー家にCDプレイヤーはありますか?
RAKURA:以前はありました。親が持っていたので。
ーー周りにCDを買う友達はいましたか?
RAKURA:小学校の頃はいなかったです。今は音楽専門学校なので、誰かのファンだからCDを買うっていう子はいますけど。
ーー最初はどのようにして音楽を聴くようになったんですか?
RAKURA:YouTubeです。中学に入ってから自分で使えるネット環境ができたので、YouTubeで検索して、関連動画に出てくるものを聞いていくっていう。
ーーその頃、ハマったアーティストは?
RAKURA:まずハマったのはRUANNちゃんです。私はオーディション番組……たとえば『Got Talent』とか、自分と同年代の子たちが活躍している動画を見るのが好きで。そういう動画でRUANNちゃんを見つけて、彼女の路上ライブの映像を観たりしてました。
ーー“新譜を出したら絶対チェックしちゃう!”というアーティストは?
RAKURA:RIRIさんとSIRUPさんとiriさん。海外だとアリアナ・グランデとか。R&Bをベースにした曲が好きで。グルーヴ感のあるものとか、メロウな感じの曲とか。あとはメロディに高低差のある曲。レンジの広くて、ハイトーンボイスで歌い上げる曲とかフェイクをたくさん使ってる曲とかが好きです。
ーー影響を受けたアーティストは?
RAKURA:Siaです。歌詞と声に引き込まれて。洋楽を聞くときは歌詞の日本語訳を調べて聴くんですけど、Siaは記事とかもいろいろ見たりして、壮絶な人生を知れたし、あの独特の声を私の音楽にも取り入れたいなと思って、高校の課題曲にSiaの曲を選んだりしました。
ーーSiaとの出会いは「Chandelier」ですか?
RAKURA:そうです。あのMVはすごく衝撃でした。あの少女のダンスがすごくて、他の映像も見ました。全身で表現する感じがとても好きです。
ーー私のヒーローというようなアーティストはいますか?
RAKURA:いません。憧れることはあるんですけど、その人になりたいとは思わなくて。「この人はこういうところがすごい」「この人はこれがすごい」っていうのはたくさんあるし、研究もするんですけど、自分は自分というか。RAKURAっていうジャンルのようなアーティストをめざしているので、この人が目標っていうふうに決めずにやっていきたいんです。
ーーRAKURAさんのYouTubeチャンネルには、ギターの弾き語り動画が投稿されていますが、ギターはいつから始めたんですか?
RAKURA:高校生になってからです。どこでも歌えたらかっこいいなと思って。あと高校にはバンド科もあってギターを弾ける子がたくさんいたので、それを見てたらかっこいいなと思って始めました。
ーー普段、曲作りはギターを使うんですか?
RAKURA:最初はギターで曲作りをしたかったんですけど、自分のメロディにどのコードが合うのか全然わからなくて。そもそもギターは上手くないんですよ。コードの知識もないし、作曲の知識もないから。だから、メロディを友達に送って、コード進行を書いてもらって、それを弾くっていうやり方をしてたんです。でも、DTMもやりたいなと思って、最近はパソコンで作曲するようになりました。
音楽プロデューサーから見た、RAKURAのアーティスト性
ーーここからはデビュー曲の「Unforgiven」の作詞・作曲・編曲を手掛けられたRa-Uさんにも加わっていただきます。今回の楽曲は、TOKYO MX新月曜ドラマ『片恋グルメ日記』のエンディングテーマになっていますが、楽曲制作はドラマのタイアップから始まったんですか?
Ra-U:いや、もともとは僕がデモトラックをいくつかRAKURAの制作チームに預けていたんです。それをRAKURAが聞いて、この曲を選んでくれたんです。
RAKURA:デビューに向けて曲を作っていこうという中で、事務所の方からいろんなデモを聴かせてもらっていたんです。そこにRa-Uさんの曲が何曲かあって、「これ、すごくいい!」ってピンと来て。まさかドラマの主題歌になるとは思ってませんでした。
ーー歌詞はドラマのタイアップが決まってから仕上げたんですか?
Ra-U:そうです。ドラマの世界観を大事にしながら、17歳のRAKURAの等身大の姿を描こうと。彼女のプロフィールを読んだり、YouTubeで歌ってる動画を見たときに、アイドルみたいな感じはなくて、何かちょっと違うモノを感じたので、楽曲が彼女の物語として成立するよう気をつけて書きました。
ーーUnforgiven(=許されない)恋という歌詞のテーマはどこから?
Ra-U:高校生くらいだと、人のことを好きになってるだけで幸せに思うときと、好きであること自体に背徳感とか罪悪感を感じることがあるかなと思って。ちょっと背伸びしてる感じも含めて逆に女性らしい世界かなと思って、それが今のRAKURAにマッチすると思ったんです。
ーーRAKURAさんはこの曲にどのような印象を受けましたか?
RAKURA:ラブソングではあるんですけど、ドロドロした感じとか大人過ぎる感じじゃなくて、私の等身大の言葉で綴ってくださっていて、すごく気持ちが入りやすいリリックだなと思いました。あと、原作の漫画を読んでたので、 “Unforgivenな恋をするの”っていうフレーズも原作に沿っているなって。
ーーレコーディングでは、どのような部分に気をつけましたか?
Ra-U:今のご時世なんでプリプロ自体、Zoomでやったんです。リモートで指示して、RAKURAに録ってもらったものを聴いてリアクションして、っていう進め方だったでんすが、いちばん初めに気付いたのは、RAKURAはとにかく勘が良いなと。僕のイメージを伝えたときの反応、僕のディレクションに対して自分の中で声を探すこと、それを自分なりに解釈して出す声、そのパフォーマンスの勘がとにかく良かったんです。その作業を経ていたので、実際のレコーディングのときは彼女が準備してきた声、彼女がどんな世界観を表現しようとしているのかっていうことを、こちらがどれだけ理解できるかっていうところに気をつけました。
ーーRAKURAさんはどういう風に歌おうとレコーディングに臨みましたか?
RAKURA:明るく歌うっていうことと、あとはダルく……でしたっけ?(笑)
Ra-U:強いて言うなら、アンニュイな感じ。一生懸命ハキハキと「私、歌ってますよー」みたいな感じは彼女には必要ないと思っていて。今、RAKURAは17歳とか高校生っていう部分が前面に出ちゃうんですけど、アーティストとしては今20代後半くらいのアーティストが持っているモノ、ここから10年くらいで学ぶべき基本はもう備わっている。なので、彼女の中にある表現をどうアウトプットさせるかっていうこと。それをちゃんと出す方法とその方向性を伝えてあげることが必要だと思ったんです。だから、肩の力を抜いて、そんなに頑張って歌わなくてもいいよって伝えたんです。
ーーアレンジやトラックメイクの面でポイントにした部分は?
Ra-U:スタートダッシュしてもらいたいので、勢いを出してもらうために、めちゃくちゃ黒いグルーヴというよりは、ちょっと前のめりで、少しだけ攻撃性があるように作りました。
ーー打ち込みですが、サウンドにはオーガニックというかハンドメイドな質感がありますね。
Ra-U:有機的な感じは意識しました。彼女自身が物語として伝わるようにしたかったんです。たとえばボーカロイドとかオートチューンを使った縦割りの音楽とはまったく違った方向にしようと。歌詞で例えると、一行一行で区分けされる感じではなく、すべての歌詞がひとつに繋がって物語になっているように聞こえたらいいなという思いがあったんです。あと、彼女の声はギターとの親和性が高い印象があったんで、そこを大事にして作りました。
ーー全体の音数も少ないですし、トラック自体シンプルですよね。
Ra-U:彼女の声に表情があるので、必要最低限でいいかなと。もっとシンプルでも彼女の声は活きると思ってます。
ーー何よりRAKURAの声を引き立てようと。
Ra-U:そうです。その声も素材としての声じゃなくて、冒頭で劇団の話をしてましたが、彼女は自分の中に劇団を飼ってる、みたいな印象を受けるんです。目の前にある歌をいちばん的確に届けるために今この場所でどうすべきかを常に考えながら歌っている印象を受けたので、その劇団RAKURAを活かすための音にしようと考えました。なので、歌詞も“許されない恋”っていうところにフォーカスされがちですけど、実はヴァースの最後の“どうしよもなくhungy”がいちばん彼女のことを伝えてると思います。
RAKURA:あはは!
Ra-U:刺激を受けたい、もっと知りたい、もっとできるぞっていう貪欲さがあって。それに対する自信もあるんですよ。だからこそ、アウトプットの方法と自分の引き出しの処理の仕方をずっと探してる。そのHungryさがたまらなかったです。
RAKURA:ありがとうございます(笑)。
ーー自分でもHungyだと思いますか?
RAKURA:そうですね(笑)。ただ、高校3年間で音楽のレッスンをいっぱい受けてきたんですけど、いろいろなことを吸収しすぎて、いろんな技術を使いまくって歌ってしまってる自分がいて。先生とか事務所の方から、もっと素のRAKURAでいいよと。格好付けずに歌ってもすごい音楽ができるよと言われて、身につけた技術を外す作業をしようとしてたんです。
ーースキルやテクニックに頼るばかりが音楽じゃないと。
RAKURA:そうなんです。感情がテクニックで埋もれてしまっているところがあったから。そのことをいろんな人に教えてもらって、素に戻れたというか初心に戻れたところがあるんです。それでもやっぱり、もっと学びたいし、できないことはたくさんあるから知りたいし。なので、習って身についたものを上手に使いながら、さらにいろんなことを学んでいってどんどん成長していきたいなって思います。
世界中と繋がれる、自己プロデュースにも長けたZ世代の強み
ーー音楽に関することで今いちばん興味があることは何ですか?
RAKURA:映像表現とか映像制作です。「Unforgiven」のMVを撮影したときに、この曲ができたときに自分の中に浮かんだ世界が映像というカタチになっていくのがすごく楽しくて。それ以来、この音楽はこうだから、こういうふうに映像で表現されてるんだって、今、いろんなアーティストのMVを見漁ってます。
ーー音楽で、まだやったことがないけどやってみたいことは?
RAKURA:全英語詞の曲を作りたいです。世界に向けて発信したい気持ちが強くあるので、英語で書いて、より多くの人に届けたいなって思います。
ーーコロナ禍の今年7月、Project For Peace 2020と題したプロジェクトで、世界の10代とSNSを通じて繋がって「We Are The World」のカバーを発表しました。あのカバーを制作したのも、その気持ちからですか?
RAKURA:外出自粛期間中は学校もいけなくて時間があったんで、英語を学びたいという気持ちからHello Talkっていうアプリを入れてたんです。そのアプリは日本語を学びたい外国の方と、英語を学びたい日本人を繋いで、チャットで勉強できるものなんです。それで毎日、いろんな外国の方と会話していて。そのタイムラインみたいなところに自分の歌をアップしてたら、同じ日本人ユーザーの子が今回の「We Are The World」のアイデアを持っていて、歌い手として参加してくれませんか?って誘ってくださって。で、私の周りにはギタリストがいたり、音楽をやれる子がいるからレコーディングに参加してもらえるように声を掛けてみるね、とか話して。さらに、私がDTMで音源の制作ができることから音源制作担当になって、彼女が企画・宣伝担当という形で2人で作り上げていきました。参加してくれたみんなから、世界中それぞれの自宅で動画を撮影して送ってもらったんですよ。
ーーじゃあ、音楽以外で今いちばんハマっているものは?
RAKURA:ファッションです。デビューするにあたって、いろんな方に見られる存在になるんだなという意識がついてから、髪形とか洋服とか、音楽性も含めて私の音楽にマッチしたファッションをしていきたいなって。RAKURAはこういう人だっていうのがわかるファッションを自分でいろいろ見つけていきたいなって思って、最近はポップなファッションをいろいろ探してます。
ーーファッションも含めてRAKURAをセルフプロデュースしていきたいと。
RAKURA:そうです。だから今回のMVやプロフィール写真の衣装やヘアメイクもスタイリストさんやヘアメイクさんと相談しながら自分の意見も反映してもらいました。そこも注目してもらえると嬉しいです。
ーーRa-Uさんはすでに次の曲も制作されているそうですが、今後のRAKURAさんの方向性をどのように考えていますか?
Ra-U:時代の潮流を押さえつつも、彼女が持っている有機的というか、ちょっとオルタナティブなもの、ジューシーな部分を入れた音楽を作っていきたいです。なおかつ、聞いている人にジャンルレスに聞こえるようなもの。RAKURAが歌っていればすべてRAKURAの音楽になって、都会的な最新の音楽に聞こえるっていう。そういう音楽が作れたらなと思っています。
ーーRAKURAさん自身は、今後どのようなシンガーをめざしていきたいですか?
RAKURA:歌手をめざしたときから決めてることがあって。目が見えない人でも、耳が聞こえない人でも、私の音楽を伝えていけたらいいなと思っています。目が見えなくても私の声を聴いて、耳が聞こえなくても私のキラキラしてる姿を見ていろんなものを伝えていけたらいいなって思います。
ーー耳の聞こえない方に音楽を伝えるのは難しいでしょうから、挑戦し甲斐のある目標ですね。
RAKURA:はい。だから音楽を全身で表現して、そのエネルギーを受け取ってもらえたらなって思います。
ーー最後の質問ですが、RAKURAって本名なんですか?
RAKURA:本名です。「楽来」って書くんです。楽しいことがいっぱい来ますようにっていう願いを込めてお母さんがつけてくれました。
ーー素敵な名前ですね。
RAKURA:自分でもすごく気に入ってます。音楽の「楽」もついてるし、まだ同じ名前の子に会ったことがないから珍しいかなって。
ーー今、毎日、楽しいことが来てますか?
RAKURA:はい! 毎日、超ハッピーです!(笑)
■楽曲情報
RAKURA「Unforgiven」
11月4日配信予定(ストリーミング&ダウンロード)
Lyrics & Music & Arrange:Ra-U
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■タイアップ情報
「Unforgiven」
ドラマ『片恋グルメ日記』エンディング主題歌
TOKYO MX1 毎週月曜22:00~22:30(10/12スタート)
<配信>
スマホアプリ/Webサイト『エムキャス』にて全国無料でリアルタイム配信。また、見逃し配信として、最新話放送から1週間は『エムキャス』にて全国無料で視聴可能。
TELASA、au スマートパスプレミアム、J:COM オンデマンド、milplusにてMX放送後から随時公開。最新話まで見放題独占配信!
原作:アキヤマ香『片恋グルメ日記』(双葉社『JOUR すてきな主婦たち』掲載)
出演:本仮屋ユイカ、平岡祐太、藤田玲、中村静香、岡本杏理、兵頭功海、村山和実、竹森千人 ほか
製作著作:TOKYO MX
(C)アキヤマ香/双葉社
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