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「4K映像」が音楽にもたらす可能性とは? 大自然からセクシー系まで、映像美を誇るMVたち

音楽

ニュース

リアルサウンド

 Perfumeが6月に発表した「DISPLAY」のMVや、tofubeatsの10月2日(豆腐の日)に発売となるメジャー1stアルバム からの先行シングル「Come On Honey! feat. 新井ひとみ(東京女子流)」のMV、そして歌手TSUBOMIとしても活動するセクシー女優つぼみが自らのオフィシャルサイトにて無料配信したオリジナル・ムービーなどが、「4K」という新たな映像規格で撮影され、話題を呼んでいる。

 4Kとは、現在DVDに収録されている映像の24倍、ブルーレイに収録されている映像の4倍もの解像度を持つ映像規格。すでにYOUTUBEで は2010年から4Kサイズの動画の公開をスタートさせており、「4K MOVIE」といったワードで検索をかける事により、あらゆる種類の超美麗映像を堪能することができていたが、日本では6月にCS放送にて4Kコンテンツ専門チャンネル「Channel 4K」がスタート。10万円を切る激安4K対応PCモニターの発売、SONYやPanasonicから手軽に4K映像を撮影できるコンシューマー向けのムービーカメラが発売されるなど、着々と現在のフルハイビジョンから4K映像環境への移行が進んでいる。

 「4K元年」ともいえる2014年、音楽シーンでもまた、その”美しすぎる”映像と音楽のコラボレーションへの機運が高まっている。今回はそうした状況を受けて制作された傑作4Kミュージックビデオをご紹介したい。

死ぬまでに一度は見たい絶景×イケメンピアニストの美しすぎる湖上コラボ!!

Dubstep Piano on the lake William Joseph

 多くの4K映像撮影者が被写体として「美しい自然」を選ぶのは、その高解像度の映像によってまるでその場にいるかのような臨場感を見る者に届けることができるからだろう。そんな「絶景」映像を巧みに使用した超絶美麗MVが、ピアニストWilliam Josephをフューチャーし、Imagine Dragonsの「RADIOACTIVE」をカバーした「Dubstep Piano on the lake」である。

Dubstep Piano on the lake – Radioactive – With William Joseph – 4K

 昨年からブームとなっている「ドローン」(撮影用ラジコンヘリコプター)を使った空撮カットをインサートするなどしており、どれだけ大がかりな撮影かと思いきや、公開されているメイキングの様子を見ると実にほのぼのとした現場である。映画『桐島、部活やめるってよ』に出てくる「映研」を 彷彿とさせるような小規模な撮影隊で制作されており、画作りのアイデアさえあれば4Kという規格を生かした「美しさ」を追求できるという、現在の状況のおもしろさを教えてくれる内容になっている。

水着美女のセミヌード美肌が爆発!! 4K MV最高のセクシー作品

IONEL ISTRATI – WAKE ME UP

 「高解像度」「鮮明に見える」「より生々しい映像」といった4Kの特色を考えるならば、美女や美少女をキャスティングした作品が当然のように期待されるだろう。驚くことにまだそうした作品はほどんど登場していないのが実情だが、その「4Kセクシーゾーン」へと果敢にチャレンジした唯一といってもいいくらいの傑作が、モルドバの人気シンガーIONEL ISTRATIの「WAKE ME UP」である。

IONEL ISTRATI – WAKE ME UP [ official video ]

 中間部分からラストまで、その美しいカラダを惜しげもなく観せるのは、有名なSEXY系ランジェリーメーカー「Victoria’s Secret」でもモデルを務めるXeniaDeli。4Kの高解像度が海や山といった自然系被写体の美しさだけではなく、女性の肉体美をも伝えきることができる可能性を追求した素晴らしいMVである。

4Kアクションカムによるサイケデリックな360度パノラマ撮影!

SOLO – ZO HIGH

 TVのバラエティー番組等で芸人サンがヘルメットに小さなカメラをつけて、自らを撮影しているような映像をご覧になった方も多いだろう。ああした小型カメラは「アクションカム」といい、以前は制作会社やスノーボーダー&サーファーといったエクストリームスポーツ愛好者にしか知られていなかった。しかし、この2~3年で家電量販店のビデオコーナーでの販売スペースが急激に拡大しており、「あぁ、あのカメラのことか」と思い当たる方も増えてきたはずだ。

 そんなアクションカムの市場の約8割近くをほぼ独占しているといわれているのが、老舗メーカーの「GOPRO」。長年の歴史に培われたその企画力は他社を圧倒しており、昨年は世界初の4K MOVIEが撮影できるアクションカムを発表して業界を驚かせた。それを6台使用して360度のパノラマ4K映像を収録したのが、オランダのラッパーSOLOのZO HIGHである。

SOLO – ZO HIGH GoPro 360 Music Video 4K

 このGOPRO使いの球体パノラマ映像自体は、Flatbush Zombies x Trash Talk– “97.92”や、Wild Child – Rillo Talk、ドイツのジャーナリスト ヨナス・ギンター氏によるものなど、今年のプチトレンドになっている。それをいち早く4K撮りすることで、より深いサイケデリック感を演出している点に脱帽だ。

 このように海外では着実に広がりを見せている4K映像コンテンツだが、何故か国内においてはネガティブな反応も少なくなく「ハイビジョンサイズで十分」「また規格変更に合わせて商品を売ろうとしてる」といった声もある。しかし、そういった一見、消費者側に立ったような意見が本当の意味での「ニーズ」を反映したものかというと、そうではないのではないかと思う。

 「ダークナイト」や「インセプション」といった傑作を世に放ったクリストファーノーラン監督は、日本でも12月に公開される新作「インターステラー」を多くの反対意見をなぎ倒すカタチで、デジタルではなくフィルムによって撮影した。「どうしてもこの作品を、この映像規格(フィルム)で視聴者に届けたい」そうした熱意は制作側には常にあるもので、映像作品と映像規格は切っても切り離せない関係である。言ってみれば「どのように見せたい=届けたいか」を含めてが、制作側の責任なのだ。

 そして、その本気度、作る側の熱量こそを消費者は見ているのであり、今現在4Kムーブメントがまだ静かな”胎動”程度に収まっているのは、もしかしたら制作者側の「この映像を4Kの規格でどうしても届けたい!!」という熱量が足りていない表れなのかもしれない。

 上記したつぼみの4K予告映像が一週間で5万回といった驚異的なアクセスを示したように、4Kコンテンツへのニーズは確実に存在している。1980年代「映画でもTVでもない」と揶揄されたMTVは、現在まで続く音楽映像コンテンツを牽引した。同じように、現在の4Kを巡る混沌とした状況は、ミュージックビデオがその先陣を切るメディアとなり、その普及を推し進めるべきではないだろうか。

 今回ご紹介した4Kミュージックビデオは、先端的なメディアとしてMVが担うべき役割を、制作者側にも消費者にも喚起する作品といえるのかもしれない。

■ターボ向後
AVメーカーとして史上初「映像作家100人 2014」に選出された『性格良し子ちゃん』を率いる。PUNPEEや禁断の多数決といったミュージシャンのMVも手がけ、音楽業界からも注目を集めている。公式Twitter