森山開次が個性豊かなダンサーと創り出す名作童話の世界 『星の王子さま-サン=テグジュペリからの手紙-』
ステージ
ニュース
『星の王子さま -サン=テグジュペリからの手紙-』チラシ
童話『星の王子さま』が、ダンサー・振付家の森山開次によって大型ダンス作品になる。
郵便飛行士でもあった作家サン=テグジュペリが1943年に発表して以来、世界各国で愛読されている『星の王子さま』。自分の星を出てさまざまな世界を巡った王子が、地球にたどり着いて飛行士の「ぼく」に話す物語には、示唆的に富むエピソードや心に沁みる表現がいっぱいだ。王子にとってバラが特別である理由、少しずつ芽を摘まなければならないバオバブの木の意味、謎めいた雰囲気のヘビの正体……。王子さまがキツネから言われた「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」(内藤濯訳)という言葉は特に有名だろう。
執筆当時の第二次世界大戦の状況が反映されているとも言われるこの物語に、森山は「サン=テグジュペリからの手紙」という副題をつけ、サン=テグジュペリ自身の人生や彼の小説『夜間飛行』の要素も織り込みつつ、ノンバーバルのダンスへと昇華させる。出演は、“王子”役に人気アーティストのMVに数多く出演するアオイヤマダ、サン=テグジュペリのイメージも重ねた“飛行士”役に元ネザーランド・ダンス・シアターⅠの小㞍健太、“バラ”役に日本を代表する名プリマの酒井はな、“狐”に元ザ・フォーサイス・カンパニー島地保武、“蛇”に森山……と、様々な出自・個性を持つダンサーがずらり。なお、森山は2005年出演のミュージカル『星の王子さま』でも同役を踊っている。そして、サン=テグジュペリの妻コンスエロのイメージも込められた“歌声”役には、歌手の坂本美雨。阿部海太郎の音楽と共にダンスを豊かに包み込む。さらに、美術の日比野克彦、衣裳のひびのこづえが創り出す、絵本とはひと味違うファンタジックなビジュアルにも注目。
世界で最初に『星の王子さま』をテーマにしたミュージアムができたのも、初めて公式に『星の王子さま』のミュージカル化の権利が与えられたのも、日本だった。その歴史にまた新たな作品が加わる。
文:高橋彩子
KAAT DANCE SERIES 2020
『星の王子さま -サン=テグジュペリからの手紙-』
演出・振付・出演:森山開次
美術:日比野克彦
衣裳:ひびのこづえ
音楽:阿部海太郎
出演:森山開次 / アオイヤマダ / 小尻健太 / 酒井はな / 島地保武 / 坂本美雨 / 他
2020年11月11日(水)~2020年11月15日(日)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
【松本公演】
2020年11月21日(土)
会場:まつもと市民芸術館
【京都公演】
2020年12月5日(土)・6日(日)
会場:京都芸術劇場 春秋座
【兵庫公演】
2020年11月18日(水)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール