Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 吉高由里子、悪女ヒロイン路線はハマり役? 『危険なビーナス』における“小悪魔”的魅力

吉高由里子、悪女ヒロイン路線はハマり役? 『危険なビーナス』における“小悪魔”的魅力

映画

ニュース

リアルサウンド

  女優の吉高由里子が謎の美女を演じている、妻夫木聡主演の日曜劇場『危険なビーナス』(TBS系)。“危険なラブサスペンス”を謳う今作で、これまでとは少し異なる悪女(?)ヒロイン役を演じ、その謎に包まれた怖さが話題となっている。これまでのキャリアを振り返りながら、本作で見せる吉高の新たな顔を掘り下げてみたい。

  東野圭吾の同名小説が原作の『危険なビーナス』は、美人に弱い独身獣医の主人公・手島伯朗(妻夫木聡)が、異父弟・矢神明人(染谷将太)の失踪事件をきっかけに、「弟の妻」を名乗る矢神楓(吉高由里子)から失踪した明人を一緒に捜してほしいと頼まれる。矢神家直属の血を引く明人は、総額30億とも言われる遺産の相続権を持ち、遺産を狙う親族の誰かがさらったのではと楓は疑っている。ただ、楓はまだ正式に明人と籍を入れていないと言う。弟の失踪は矢神家の誰かの仕業なのか?  そして謎の美女は本当に弟の妻なのか?  疎遠となっていた矢神家に、楓とともに失踪の謎を追求していく。

 吉高といえば、天真爛漫の愛らしいキャラクターで、『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)や『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)など、仕事や恋愛に悩む等身大の現代女性を演じることが多い一方、闇を抱えたような役柄も実は得意。

 2017年の映画『ユリゴコロ』で初めて演じた殺人者役では、感情を出さず相手がセリフやリアクションをぶつけてくる受け身の演技を魅せていた。最近でも、今年放送された『知らなくていいコト』(日本テレビ系)でも殺人犯の娘という秘密を背負った週刊誌記者・ケイト役に。父親の真相を究明していく心の葛藤の中、カメラマン・尾高(柄本佑)と不倫に陥る話で、当初は尾高がケイトを支配するように心の隙間を埋めていくのだが、徐々にケイトの虜になり、自然と立場が逆転していく心の動きの表現力の高さを改めて感じさせた。愛嬌と親しみやすい雰囲気がある一方で、どこか謎も感じさせ、視聴者の心を揺さぶることが得意な吉高を、俗に“小悪魔的”とも言うが、『危険なビーナス』で吉高演じる楓はまさにそんなキャラクター。これまでは自分が翻弄される役柄が多かったが、今回は愛嬌あるキャラを巧みにミステリーとして活かし、最初から完全に吉高が主導権を握っているところが違いだろうか。いつその牙をむくか分からないところが不気味ささえ感じさせる。

 当初は1枚の写真だけで「私が弟の妻」と名乗り、信じる要素が全くない怪しい存在なのだが、ノーと言う間も与えずグイグイと懐に入り、無意識に相手を誘惑し虜にして、気がつくと彼女がいることに安心感も。真っ直ぐなキャラの妻夫木が見事に翻弄されていく姿が、初共演とは思えない相性の良さで、矢神家を一方的に悪と見せてしまう吉高ワールドを見せている。

 ただ前回、伯朗が支倉百合華(堀田真由)から「楓には絶対に話さないで」と母親の失踪を相談されたにも関わらず、突然百合華の自宅に現れたり、盗聴の疑いも出てくるなど、楓の怖さが徐々に見えはじめている。ただ失踪した弟役が染谷なだけにこのまま一筋縄でいくとは思えない。伯朗自身も母親のことで矢神家に恨みを持っていてもおかしくないので、わざと楓に翻弄される芝居をしている可能性も十分にある。謎解きとともに、演技の上でいつ妻夫木と吉高の主導権が逆転するのか、または翻弄されたまま終わるのか、その変化にも注目していきたい。

■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
製作:共同テレビ、TBS
(c)TBS