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上野樹里が語る、『監察医 朝顔』のライブ感 「自分が最後のトッピングみたいなもの」

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 上野樹里主演、法医学×刑事という異色の父娘を描くドラマ『監察医 朝顔』(フジテレビ系)が、約1年の時を経て帰ってきた。しかも、第2シーズンは、“月9”では初となる2クール連続モノ。当初は2020年夏&秋を予定していたというが、コロナ禍の影響で2020年秋&冬に変更された。第1シーズンは初めて東日本大震災を正面から描いた作品としても話題となったが、放送時期の変更もあり、奇しくも震災から10年の節目となる来年まで放送されることとなる。今回、主演・上野樹里にインタビューを行い、再び朝顔を演じる思いや、今の時代にこの作品が放送される意味など、思いのままに語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「ドラマは想像力」

ーー『監察医 朝顔』第2シーズンがいよいよ始まりました。

上野樹里(以下、上野):今はコロナ禍で不安を抱えている方が多いので、皆さん、癒されたり、ホッとできたりする温かい作品を求めているんじゃないかと思います。私たち自身、第1シーズンがあっての今回で、コロナ禍で誰とも会えない状況が続いていたので、ようやくみんな久しぶりに会えたときは嬉しかったですね。『監察医 朝顔』の現場は、既婚者が多いので、みんな着替えたらすぐに家に帰るんですよ。さっぱりしていて、本当に「研究室で会う人たち」という雰囲気が現場にもあって。でも、家庭を大事にされている方が多いので、そういった“人の温かさ”みたいなものが作品にも詰まっていると思います。

――『監察医 朝顔』は、法医学がテーマでありながら、ホームドラマでもありますよね。リアルな「日常」はどんな感じに作り出されているんでしょうか?

上野:監督が引き出すのが上手で、いつもギャグばっかり言っては、面白い人がいたらイジリ倒して、1テイクしか撮らないみたいな人で(笑)。この現場では、上手かったとか、ヘタだったとかではなくて、全部OK。でも、「日常」って、そういうものじゃないですか。監督は鮮度を大事にされているんです。それでちゃんとした作品になっているから、素晴らしい監督で。『監察医 朝顔』というご縁があって、この道のエキスパートの方々と一緒に、こんな大事な時期に作品作りができるのは、すごくありがたいことですし、自分のやれることを精一杯やりたいと思います。

――久しぶりに共演された皆さんの印象はいかがでしたか?

上野:今、第9話くらいまで撮影が進んでいますが、時任(三郎)さんとは、まだまだこれからという感じで、「ここから気合出していこう」と言っているんです。いや、気合はもちろん出しているんですけど(笑)。ドラマって“ライブ感”がすごくあるんですよね。演じている自分自身も、この先のお話がどうなるかわからないし、脚本家さんにはイメージがあっても、実際にまだ本は書いていないので、オンエアがどんどん追い付いていく中で、みんなで撮っていくのはすごく面白いんですよね。

――“ライブ感”を特に強く感じるのが、『監察医 朝顔』ということですか?

上野:ドラマは、どの作品もそうですね。まだエネルギーでしかないものが、台本として活字になってきたときに「もっとこういうことが言いたいんじゃないだろうか」という意図を探りつつ、話し合いながら、みんなの力でさらに良くしていくこともあるし、現場でやりながら変わってくることもあって。いつも正直に、それぞれに自分の感じることをうやむやにせずに出し合い、みんなで作っているという感じはあります。

――台本を大きな流れのガイドラインとして、そこに演じ手の感情をのせていく作業なんでしょうか?

上野:それもありますし、スケジュールの都合上、ライブ感が出てくることもあるんです。ドラマではたいてい最後のほうになると、時間に追われて、台本がなくても撮っていかなきゃいけない状態になってくる。つくづくドラマは想像力だなと思いますね。そういう意味でも、『監察医 朝顔』の共演者の皆さんはほのぼのしていて、心が満たされているというか、チーム愛があることが心強いですね。板尾(創路)さんとか、年上の方が和ませてくれて、年下は一生懸命でやる気が満ちていて、みんな良い関係で、ストレスがなくて。そんな中だからこそ、私ものびのびといろんな表情を引き出していただけています。お父さんが時任さんじゃなければこういう朝顔になっていないし、桑原くんが風間(俊介)くんじゃなければやっぱりこういう朝顔になっていないと思うので。ただ小手先でこなすんじゃなくて、何気ない会話の中にある深みや時間の流れ、言葉の裏のいろんな感情を、朝顔として体感しながら、皆さんと毎週テレビを通してお会いできると良いなあと思っています。

「自分が最後のトッピングみたいなもの」

――料理のシーン、食べるシーンが多いことも特徴的ですね。そこがホームドラマとしてのリアリティでもありますが、食を描くことについて心がけていることは?

上野:食べて良いときは普通に食べるんですけど、今はコロナ禍の影響で前回より制約があるんです。でも、ちゃんと火を入れて自分で調理して、火がコトコトしてきてからカメラを回したり、セリフの間に器に注いで、桑原くんがササッとそれを持って行ってくれたり、お父さんが並べてくれたりという一連の流れは、大切にしています。そういう連携が生活感が滲み出るところだから。「ご飯を一緒に食べる」という行為は皆さんが日常でやっていることだと思うし、会話だけでなく画的にも、日常の1シーンとして大事にしていることですね。

――第1シーズンでも、連携プレーのスムーズさは、普通の家庭の普通の日々をのぞき見するような気分になるポイントでした。役割分担など事前に話し合われているんですか?

上野:やりながら勝手に動いて、「これ誰がやる?」「私がやる」とか、「お茶注ぐのは○○のほうがやっていそうじゃない?」「これを持ってくほうが、△△のキャラっぽくない?」「お茶はこの人が持ってくけど、注ぐのはこの人」とかもあります。自分がどこにいるかの位置や、セリフの内容的に手が空いている人など、自然に間を埋められるようになってきていて、一番しっくりくるかたちで本番を撮っているかたちです。そこはそんなに時間はかからなくて、第1シーズンからの関係性ができていこともあるかもしれないですね。

――ところで、『監察医 朝顔』は、『のだめカンタービレ』(以下、『のだめ』)以来13年ぶりの“月9”主演作でしたが、奇しくもコロナ禍で『のだめ』が再放送され、話題になりましたね。

上野:「観てまーす!」とか、そういう声はファンの皆様から届いていて。ありがたいですね。

――上野さんについてよく“憑依系”と言う人がいます。ご自身が役を演じる上で大事にされているのはどんなことですか?

上野:「憑依」って、乗り移るってことですよね? そんなことできたら、無敵じゃないですか(笑)。映像は、「よーい!」「カット!」っていう時間があって、その時間に全員の最高を出し切るもの。制作さんやいろんな人がその空間にいて、照明も音声もカメラも演者も、全員の士気が高まることで、どんな場所でも「その世界に存在する場所」にしてもらえているんです。自分一人でロケ現場に行っても、車が通っていたり、人が歩いていたりして、その世界にはなっていないけど、それを作って守ってくれる人がいて、表現する場所がちゃんとできているから、朝顔になれる。みんなの作っている空気をいただくというか。みんなの力で、その世界の最高の状態を作ってもらうわけだから、あとは出すだけです。自分が最後のトッピングみたいなもので。そのトッピングがグチャッと潰れていたら、そこまでに世界を作ってくれているみんなに悪いじゃないですか。

――「役者の仕事は受け身」と、過去のインタビューでおっしゃっていましたが、それぞれ専門の方々が力を持ち寄り、作り上げた世界を、全部受け止められるようにしているということでしょうか?

上野:そこまで考えているわけではないですけど、照明でも、カメラでも、無意識に感じ取っている世界があると思うんです。「こういう画になるだろうな」という感覚はあって、暗い照明だったら、なんとなく暗い気持ちになるし、明るい照明だったら、なんとなく楽しい気持ちになったりするし。作られた世界の中でどういう風に自分が動くかであって、決して一人でやっているわけじゃない。自分はどういう風にでも演出されるものですから。それに、大事なシーンでは、ピリッとすることはないけど、目に見えないもののつながりみたいなものを感じるんですよ。みんなのエネルギーが充満しているから、すごく良いお芝居ができることもある。自分一人で背負っちゃうんじゃなく、そこにいるみんなの力で作るということを意識すると、より良い作品を作れる気がするし、『監察医 朝顔』はそういう作品だなあと思います。

――朝顔は今の時代に癒しをくれるような作品だと思いますが、上野さんご自身にとって癒しや元気をもらえる存在は何でしょうか?

上野:ペットとか、着心地の良い服、天然素材のベッドリネンとか、太陽で干した洗濯物とか。美味しいご飯が食べられてあったかいお風呂に入れて、日差しにポカポカあたれて、リラックスして良い音楽が聴けてとか。特別なものがなくてすみませんって感じですが(笑)。そういう自分自身のリラクゼーションタイムや、家族やおうち、そういうものがあれば良いと思っています。

■放送情報
『監察医 朝顔』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00〜放送
(2020年秋・2021年冬2クール連続)
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES)、藤原季節、斉藤陽一郎、坂ノ上茜、田川隼嗣、宮本茉由、辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)、加藤柚凪、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、杉本哲太、板尾創路、山口智子、柄本明ほか
原作:『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、阿部雅和
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ

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