ビタミンカラーのヨーグルトケーキ、チョコスモアスコーン……Tasty Japanのバズりスイーツ作ってみた
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Tasty Japanが二冊のレシピブックを発売した。『Tasty Japan #バズりごはんBEST50』(小学館)と『Tasty Japan #バズりスイーツBEST50』(小学館)だ。
世界を「美味しそう」で席巻する、真上からの料理動画
俯瞰ショットで早回しする料理動画のパイオニア、Tastyは、今や世界で3億2,500万人以上が視聴するまでに成長した一大料理動画メディアだ。2016年に日本版として立ち上がったTasty Japanも、国内のInstagram、Twitter、FacebookなどのSNSやYouTubeで瞬く間にフォロワー数を1,700万人にまで増やし、今なお快進撃を続けている。
Tastyはノセ上手だ。彼らが作る料理動画は、気持ちいいほどテンポよく、サクサクと調理が進む様子を捉える。その尺はわずか一分ほどと短いものがほとんど。ああ美味しそう!と観ていると、馴染みのない外国料理でさえ「これなら作れるかも?」と、その気にさせられてしまう。画面いっぱいに映し出された完成品からはソースやクリームがとろ〜んととろけ、シズル感が溢れる。そんな動画のエンディングを観て、何度お腹を鳴らしたことか。
Tastyの動画は、いうなれば「目で見るASMR」だ。しかし、脳に快感をもたらしてオシマイ、ではない。ここからがTastyの本分だ。実際に動画を参考に作ってみたことが何度かあるが、どれもきちんと美味しく、目も舌も喜ばせてくれる。Tastyが提案するレシピに従って料理するにつけ、斬新さだけではなく、レシピの精度の高さにも唸らされる。
とはいえ、やっぱり料理中は本を開いているほうが落ち着く私。特にお菓子作りでは、指先がベトベトの生地にまみれて思うようにスマホを操作できない、ということもしばしば。ゆえに今回の書籍化は願ったり叶ったりの展開だった。さっそくスイーツ版『Tasty Japan #バズりスイーツBEST50(小学館)』を取り寄せて、三品作ってみた。
マシュマロとろ〜り、チョコスモアスコーン
スモアはもともと直火で焼いたマシュマロをチョコレートと一緒にビスケットなどで挟んだキャンプの定番スイーツだ。それをスコーンと合体させたのが「チョコスモアスコーン」。
明日にでも子豚に生まれ変われそうなヘビーなルックスとは裏腹に、ホットケーキミックスで仕立てた生地には砂糖が入らないため意外とあっさり。200℃という灼熱のオーブンの中で焼き餅のようにプクーっとふくらむマシュマロが目にも楽しい。
家にあった板チョコ一枚を砕いて牛乳25mlほどとレンチンし、泡立て器でよく混ぜて、間に合わせのソースを作ってとろりとかけたら、チョコもしたたる良いお菓子の完成。身近な材料で手早く美味しく作れるこのレシピは、まさにTastyの真骨頂といえる。
おつまみにも♪とろ〜りのびるチーズケーキ
無類のチーズケーキ好きとしては絶対に外せなかったのが、この「とろ〜りのびるチーズケーキ」。
何が伸びているかというと、棒状チーズなのだ。本来ならば引き裂かれる運命にある裂けるチーズたち、まさかオーブンで焼かれて伸ばされるなんて、予想だにしなかったろう。
ホットケーキミックスの土台は甘さ控えめで、棒状チーズのほんのりとした塩気が舌をくすぐる。生地にクリームチーズを練りこんであるせいか、チーズケーキとマフィンの間のような、しっとりとやさしい食感がたまらない。
ボウル1つで!ビタミンカラーのヨーグルトケーキ
最後は、再生回数220万回、No.1バズリスイーツの座に輝く「ビタミンカラーのヨーグルトケーキ」を紹介しよう。
ラップを敷いたボウルにキウイ、市販のカステラ切り落とし、ヨーグルトクリームをどんどん重ねていき、満タンになったらカステラで蓋をしてしばし冷やす。
ひっくり返してドン!と出すと、目の前にドームケーキがあらわれた。こんなに大量のキウイに見つめられたのは初めてで、テンションが上がる。そして待ちに待った入刀式へ。
中にはパインとオレンジも入り、目にも鮮やか。水切りヨーグルト入りのもっさりしたホイップクリームが、子どもの頃に給食で食べたフルーツサラダを彷彿とさせ、ノスタルジーをおぼえる。今回はカステラの詰めが甘かったせいか断面がガタついてしまったけれど、イベントでもないのに家族で一つのケーキを囲むのはなかなか楽しいものだ。丸くて大きいケーキは、人を笑顔にする。「不思議の国のアリス」よろしく、”なんでもない日おめでとう!”のケーキとして、これから何度となく作っていきたい。
お菓子作りのハードルをグッと下げるTastyのレシピ
動画さながらにコンパクトなA5判の本書には、他にもたくさんの”バズった”人気レシピが収録されている。どれも多くの視聴者の共感を呼んだだけあって、特別な材料は必要なく、お菓子作りのテクニックがない人でも手軽に作れるレシピばかりだ。レシピの実際の手順をネット上にある動画で追えるのも、Tastyならではのメリットだと思う。
書籍化に伴って新たに加わった写真も見応えがあり、ポップな装丁と相まってページをパラパラとめくるだけで、次はどれを作ろうかな?と料理心がくすぐられる。紙の上からもノセてくれるTasty、今回「クックブックシリーズ」と銘打ってのリリースだけに、すでに次作への期待が募ってやまない。
■大信トモコ
元Supersnazz、現在はTweezersとRock Juiceで活躍中の歌うベーシスト。趣味は映画と音楽鑑賞、料理本集め。Twitter。
■書籍情報
『Tasty Japan #バズりスイーツBEST50』
Tasty Japan 著
価格:本体1300円+税
出版社:小学館
公式サイト