嵐5人の挑戦する姿を追いかけてーー最新アルバム『This is 嵐』リリースまでの軌跡を辿る
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11月3日、嵐が17枚目となるアルバム『This is 嵐』を発売した。同作はアルバムチャートで初日売上枚数42.2万枚を記録し、見事初登場1位に輝いている(※オリコン調べ)。
『This is 嵐』の内容は、大ヒットシングル「カイト」をはじめ、昨年から取り組んできたデジタルシングルも盛り込んだ全11曲を収録。初回限定盤(DVD/Blu-ray)、通常盤の3タイプでリリースされ、限定盤には「A・RA・SHI」をはじめとした過去のシングル曲をリプロダクションした“Rebornシリーズ”を収録したCDに加えて、MVやメイキングビデオを収録したDVD/Blu-rayが付属する。
ベストアルバムを除けば、前作のオリジナルアルバム『「untitled」』から約3年ぶりのリリースとなった本作。嵐にとって21回目のデビュー記念日に、グループにとって令和初のアルバムをリリースしたことも感慨深いが、シンプルかつ堂々たるそのアルバムタイトルも、日本のトップアイドルとして君臨する嵐ならではのものだ。本稿では、改めて『This is 嵐』リリースに至るまでの流れを振り返ってみたい。
2019年、嵐はデジタルの世界へ
2019年9月11日にシングル『BRAVE』をリリースした嵐。10月9日には、公式YouTubeチャンネルを開設し過去5作品のシングルMVを公開(「A・RA・SHI」「Happiness」「Love so sweet」「truth」「Monster」)、各サブスクリプションサービスでも同5曲の配信がスタートした。YouTubeのチャンネル登録者数は、開設からわずか約28時間で100万人を突破。衰えぬどころか勢いを増す嵐人気は、数字が物語っていた。
同年11月3日にはメンバーが顔を揃えて会見を行い、5つのSNS(Twitter、Facebook、Instagram、TikTok、Weibo)でアカウント開設を発表。同時に、初のデジタルシングル「Turning Up」をリリース。さらに12月20日には「A-RA-SHI: Reborn」を配信。ここから過去作品のリプロダクション“Rebornシリーズ”がスタートした。
さかのぼること2019年8月8日。松本潤がニューヨークでYouTube音楽部門総責任者Lyor Cohen氏と対面を果たした。Netflixにて全世界独占配信中の『ARASHI’s Diary -Voyage-』では、デジタル解禁前からの動向が収められている。松本は、アメリカをはじめとする世界各国で嵐の楽曲を聞いてもらえるよう、デビュー日である11月3日に配信したい意向を伝えた。この時点ではまだYouTubeは未開設。それを聞いたLyor氏は「開設と曲の発表が同時ではいけない」と早急に開設して登録者数を増やしておくようアドバイスした。これに端を発し、怒涛のデジタル展開が始まったのだ。
2020年は新年からアクセル全開
2020年を迎え、新年からアクセル全開の嵐。1月4日には、アニメ『ONE PIECE』とコラボした「A-RA-SHI : Reborn」のMVをYouTubeで展開(のちに『嵐ツボ』(フジテレビ系)で、原作者である尾田栄一郎氏との対面が実現したのだからすごい)。2月7日には、アルバム『ARASHI No.1~嵐は嵐を呼ぶ~』から『untitled』までの通常盤、全16作品256曲をデジタル解禁。サブスクを通じて、嵐の音楽が日本から世界へと届けられた。さらに、2月28日にはリプロダクションした3曲をまとめたデジタルEP『Reborn Vol.1』もリリースされている。
ここからしばらくの間、新型コロナウイルスの影響で活動自粛を余儀なくされたが、『Johnny’s World Happy LIVE with YOU』への出演をはじめ、『嵐のワクワク学校オンライン』と、配信を使った活動を続けた嵐。少しずつ自粛緩和の兆しがみえてきた7月には、「IN THE SUMMER」を配信リリース。同月29日にはシングルCD『カイト』を発売した。同シングルは順調に売り上げを伸ばし、9月1日には累計売上枚数が111.7万枚を記録したことが報じられ(オリコン調べ)、グループとして初のシングルミリオンを達成した。その後もリリースは相次ぎ、9月には「Whenever You Call」を、10月には「Party Starters」をデジタル配信。そしてついに、11月3日に『This is 嵐』の発売を迎えた。One Directionなどの楽曲を手がけてきたサム・ホランダーやブルーノ・マーズといった、世界に名を轟かすクリエイターたちを迎えての取り組みも印象的だ。
アルバムリリース日の11月3日には、新国立競技場での無観客ライブ『アラフェス 2020 at 国立競技場』を行ったが、ファンクラブ会員向けに昼の12時から『生配信だョ嵐会』を配信。その中のラジオ企画ではセルフライナーノーツと題して、『This is 嵐』について語る時間を設けるなど、新旧交えた嵐の音楽を堪能する1日となった。
2019年から今年にかけて怒涛のリリースを展開してきた嵐。とても休止するグループとは思えないほどの活動量で、視聴者側も油断できないほど、リリースの嵐、嵐、嵐。楽曲はもちろんだが、やはり嵐のライブの演出は格別だ。
「Turning Up」の一節に、〈世界中に放て Turning up with the J-pop!〉とある。世界を目指すにあたり、あくまでもJ-POPで勝負しようとする意志を感じた。英語詞も増えているが、それはコミュニケーションツールとしての手段であり、改めて音と共に何を伝えるかが大切なのだと気づかされた。そして、水や炎、照明を使った演出、花火や風船、巨大モニターでのグラフィックと、舞台演出や技術も世界に放たれているのだ。
『アラフェス 2020』のエンディングでは、松本の「また逢いましょう」を筆頭に、メンバーが口々に「また」という言葉を残してくれた。なんといっても5人が晴れやかな表情をみせていたのが印象に残っている。嵐の活動休止は、この先の長い活動を見据えた上での充電期間と思えてならない。
■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。