石橋静河、さらに広げる活躍の場 『東京ラブストーリー』『恋あた』で“2020年の女性像”を体現
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火曜ドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)で、主演・森七菜の恋と仕事のライバル役を演じている石橋静河。2020年版『東京ラブストーリー』(FOD)で赤名リカ役を演じるなど近年は数多くの作品やCMに出演し、映画界からさらに活躍の場を広げている。
ダンサーとして活動しながら芝居の道に進んだという石橋。そんなキャリアの転機となったのは、池松壮亮とW主演を務めた『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年)だろう。本作で、石橋は新人女優賞を数多く受賞。実力派若手女優の肩書きを欲しいままに。
テレビドラマでも、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(2018年)の、律(佐藤健)の嫁・より子役で話題に。律の恐妻として登場し、上昇志向がなく、いまだに幼なじみの鈴愛(永野芽郁)のことをずっと思っている律を叱咤したりするなど、現実的なより子の味方をする女性の視聴者も多く、わずかな登場シーンながら異例の存在感を示した。
ドラマにおいてはその自然すぎる演技からバイプレーヤー的立ち位置で重宝されることが多かった石橋。しかし今年、リメイク版の『東京ラブストーリー』ではヒロイン・赤名リカ役に抜擢された。1991年版『東京ラブストーリー』で鈴木保奈美が演じたリカはどこか破天荒で、 同い年のカンチ(織田裕二)を振り回すようキャラクターだったのに対し、石橋演じるリカは、後輩のカンチ(伊藤健太郎)をリードするお姉さん的な立場に。サバサバとした言動で鈴木が演じたリカとの違いを見せた。観るほどに視聴者をその作品世界に誘うようなナチュラルな魅力は石橋ならではといえ、彼女の本領が発揮された作品だろう。
『この恋あたためますか』では、舞台となるコンビニ「ココエブリィ」の商品部スイーツ課の北川里保役。社長・浅羽拓実(中村倫也)とは元交際相手という複雑な間柄だ。人生でやりたいことを見つけられず悩んでいた里保だが、拓実がスカウトしてきた井上樹木(森七菜)の活躍ぶりに影響され、自ら企画を出すように。樹木とはライバル関係だが、面倒見がよく、部の仲間として受け入れる大人の対応を見せる。常に“いい人”で、たとえ商品化が奪われても相手を讃え、冷静さを保つ里保だが、それが虚勢であると浅羽に指摘された前回。社長の前で泣き崩れ、弱みを見せるシーンは多くの共感を誘った。
二次元のようにデフォルメされたいわゆる王子様キャラを演じる中村と、かわいらしい演技が特徴で、華のある恋愛ドラマヒロインらしい森に対し、巧みな演技でじっくりと人間味を出していく石橋の演技という対比も興味深い。森や中村と1対1で対峙するほどに、石橋の自然の魅力がより際立って見えるのだ。
キャリアわずか5年で確かな演技を見せる石橋。『東京ラブストーリー』然り、『この恋あたためますか』然り、働く女性が増加してきた時代背景が反映された作品とも言え、2020年の女性たちの姿を代表して体現している女優の1人ではないだろうか。
■放送情報
『この恋あたためますか』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:森七菜、中村倫也、仲野太賀、石橋静河、飯塚悟志(東京03)、古川琴音、佐藤貴史、長村航希、中田クルミ、佐野ひなこ、利重剛、市川実日子、山本耕史
脚本:神森万里江、青塚美穂
プロデュース:中井芳彦
演出:岡本伸吾、坪井敏雄
主題歌:SEKAI NO OWARI「silent」(ユニバーサルミュージック)
製作著作:TBS
(c)TBS