宇野実彩子(AAA)×山田裕貴が明かす、赤裸々な恋愛観 「別れた直後の女性の心はそんなに綺麗なものじゃない」
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11月4日、宇野実彩子(AAA)がソロ配信シングル「最低な君にさっきフラれました」をリリースする。同曲は失恋した直後の女性が抱く、リアルな本音を歌ったラブバラード。ふたりの男女が出逢い、そして別れを選択するまでの物語を女性目線で描いている。
また、今作のMVを手がけるのは日本アカデミー賞受賞経験を持つ藤井道人監督。宇野演じる主人公の彼氏役には俳優・山田裕貴を迎え、出逢いから別れを逆再生で遡るドラマ仕立ての映像に仕上がっている。10月中旬には都内某所で宇野と山田の合同取材が行われた。撮影の裏側や互いの印象、楽曲にちなみ自身の恋愛にまつわる体験談などを語った。(清水莉子)
「人生史上一番壮絶な喧嘩だった」(宇野)
――まずは今回の配信シングルについての紹介や、完成してみての手応えを教えてください。
宇野実彩子(以下、宇野):今回の楽曲では、振られた直後の傷ついた乙女心や別れたてほやほやの気持ちを、言葉を選ばず本音を吐き出すような形で表現しました。これまでになく切ない、心をえぐられるようなラブバラードができたなと思っています。
――そもそもラブバラードを歌おうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
宇野:ファンの方から届く声を拾っている中で、皆さんは特に私のラブソングやバラードを好きでいてくれているなという印象がありました。そういった中で2021年1月から始まるツアーに向けて楽曲制作を行なっているんですけど、会場で歌った時にみんなの心が切なくなるようなバラードを作りたいなと思ったんです。それに、やっぱり女性はたとえハッピーな時でもバラードで酔いしれたい時もあるじゃないですか。だからみんながいつでも酔いしれられる曲、かつ飾った言葉じゃないからこそ共感するバラードを作りたくて今回の歌詞を書き始めました。
――歌詞に出てくる生々しい描写がとても印象的でした。
宇野:女性が過去の恋愛について表現をする時って、思い出すに連れて綺麗な言葉になっていくと思うんですよね。だけど、別れた直後の女性の心はそんなに綺麗なものじゃなくて、ものすごく心が痛くて毒が混じっている。そういった人間味のある言葉や本音を歌詞にするのはとても難しかったです。
――今回MVは宇野さんの方から、WEBドラマ『会社は学校じゃねぇんだよ』(2018年、ABEMA)でご一緒した藤井道人監督にオファーしたことで実現したとのことですが、オファーの理由や監督に期待したことを教えてください。
宇野:ドラマでご一緒させていただいた時に、藤井監督はどこか儚くて、だけど同時に人間味のある温かさを感じるような映像を作る方だという印象がありました。今回の曲をMVで表現するにあたり、綺麗な部分だけではなく人間の表と裏を絶妙に表現したいと思っていたので、藤井監督が手がけて下さったらきっと一つのアートワークとしても素敵なものになりそうだなと。それに私は藤井監督と同い年で共感できるものが多いだろうなと思いましたし、私にとって一つの挑戦でもあるこの作品を0から一緒に作っていきたいという理由からお願いさせていただきました。
――山田さんはオファーを受けた時にどう感じられましたか?
山田裕貴(以下、山田):以前から宇野さんのことはAAAで知っていましたし、僕が出演するドラマの主題歌を歌ってくださったこともあったので、すごく嬉しかったです。また、僕自身MVに出るのも久々で、しかも男女のリアルなドラマだと聞いていたので、自分の恋愛なども思い返しながら撮影に参加できたらいいなと思いました。
――宇野さんから山田さんへの印象はいかがでしたか?
宇野:出演作を見させていただくと山田さんは色々な役をこなしていて、すごく柔軟な方だと思っていました。だから私にとっての“最高であり最低な彼氏”を演じてもらう方は山田さんだなと。実際にお会いしたらとても気さくな方で、私は割と人見知りなんですけど、すごく話しやすかったです! 撮影は2日間でしたけど、これで終わるのがもったいないなと思うくらい(笑)。撮影中も楽しくお話しさせていただいて、すごく素敵な時間でした。
――山田さんは実際に宇野さんとお会いして、印象はいかがでしたか?
山田:最初のカットが始まる前に宇野さんがすごく緊張されていて、思わず「え、どうしよう」って思いました(笑)。てっきりこういったドラマ仕立てのMVにはよく出演されていると思っていたので……。実はドラマ仕立てで、かつ台詞があるMVは珍しいみたいで、これは俳優としてリードしなければいけないぞ! と。でも撮影がスタートすると実際はそんな心配もなく、宇野さんが自然な空気感を作ってくださったおかげで、すごく演じやすかったです。
――今回の映像はふたりの出逢いから別れを逆再生で遡る形で進んでいきます。そのような形にしたのはどんな理由からでしょうか。
宇野:これは監督との話し合いで決めたんですが、幸せそうなふたりの絵を「実はこのふたり別れちゃうんだよな」ってわかった上で見るとすごく悲しくなるんです。逆再生にすることによって物語がより切なくなって、反対に幸せも引き立てることができると思いました。
――特におふたりが喧嘩をするシリアスな場面が印象的でしたが、その辺りの演技プランは監督から直接指示があったのか、それともおふたりで話し合いながらやっていったのか、どういった形で作っていきましたか?
宇野:あの喧嘩のシーンは本当に壮絶でした。監督から用意されたのは設定だけだったので、実際にどうやって関係性が壊れていくのかは私たちも演じてみないとわからないという状態で。あらかじめ喧嘩する時はああだよね、こうだよねと監督を含めて3人で相談しながら撮影に臨みました。でも別れるってことだけは決まっていたので、始まったら相手の空気を感じながら別れに乗っかっていかなくちゃいけない。リアルだからこそ心が苦しくて、でも終わらせなきゃというあの喧嘩のシーンは忘れられないですね。
――それでは、アドリブのシーンも多かったんですね。
山田:ほぼ全部ですね(笑)。15分間くらいカメラを回しっぱなしで。セッションみたいでした。急に熱がガーッと上がったり、リアルなトーンで喧嘩していたので、芝居だとはあまり思わなかったです。設定だけ背負って、あとはもう自然に相手から出てくる言葉をよく聞いて演技したという感じで。
宇野:4回くらい撮り直して、リアルな喧嘩をしましたね。あれは人生史上一番壮絶な喧嘩だったかもしれない(笑)。
「“価値観が合わない”って言われるのが、僕は苦手」(山田)
――他にも印象的なシーンはありますか?
山田:もちろん喧嘩のシーンも印象的だったんですけど、距離感が近いシーンは普通にドキドキしましたね。後ろからツンツンってちょっかい出してみたりとか(笑)。台本には書いてないけど仲の良い素敵なカップルに見えて欲しかったので、一緒に歯磨きをするシーンでは単に横並びだと普通だから、後ろにいる宇野さんが僕の頭に顎を乗せた状態で撮影したいんですけどいいですか? ってリクエストしました。
宇野:あれ楽しいからカップルにやって欲しいです!
山田:そのふたりの姿を鏡で見ているのがいいんですよね。
宇野:名前あればいいですよね。「壁ドン」みたいな。
山田:え~なんだろう。
宇野:「アゴのせ歯ブラシ」みたいな?
山田:そのまんま(笑)。
――〈「覚悟できてない」って今更よく言えたね〉〈「一緒に生きてほしい」嬉しかったな…馬鹿みたい私〉など、具体的な言葉が入ることによって物語がよりリアルになっていると思いました。どんなことを思い浮かべながら、歌詞を書きましたか?
宇野:自分の中の人物像というか、“最低な君”の最低なところと最高なところ、あとはなぜ主人公の私がこんなにも彼を愛してしまったか、愛していたのになぜ終わりに向かってしまったかを最初に書き出しました。やっぱりここまで最低って言い切れるのは、最高に愛したからだと思うんですよね。不安が積み重なって自分から手放してしまった恋でもあるから、そのリアルな気持ちを出すには相手から言われた言葉を具体的に想定して書かなきゃいけないなと。だけど苦しくて、何度も書くことをやめそうになりました。
――女性目線から見ると〈「覚悟できてない」って今更よく言えたね〉といったフレーズなど、共感できる歌詞が多かったのですが、山田さんは男性の立場から主人公の女性に反論したい箇所はありましたか?
山田:僕は特殊かもしれないですけど、経験上女性の方に対して「覚悟できてない」と思うことが多かったですね。リアルな話にはなるんですけど、そんな簡単にお付き合いって始まらないじゃないですか。こういう仕事をしていたら特にそれ相応の覚悟でいくわけですよ。もちろん互いの生活の中で気持ちが変化していくのは仕方ないけど、その都度話し合えばいいと思います。価値観なんかみんな違って当たり前ですよね。だから「価値観が合わない」って言われるのが、僕は苦手です。すごく赤裸々になっちゃいましたけど……(笑)。僕は相手に歩み寄ろうという覚悟はあるので、この曲に共感できるっていうことです。
宇野:覚悟できてる男子だ(笑)。
――他にも〈履歴も消したし フォローも外して〉という今時の恋愛観を反映している箇所もありましたが、宇野さんが10代~20代のライフスタイルや恋愛観について知るために実践していることがあれば教えてください。
宇野:ファンの方は年齢とか生活環境もバラバラなんですが、私はできる限り自分の曲を聴いてくれる方たちがどんな生活をしているかを知りたいなと思っています。だからライブに来てくださった方のことはよく見るようにしていますし、コミュニケーションを取れるようにしてきました。ただ今は直接会えない時期が続いているので、自粛期間中にはオフィシャルサロンを立ち上げたんです。そこでコアなファンの方と密に繋がるようにして、どんな服を着てるの? どういう曲が好きなの? って質問しながらまるでLINEをするようにやり取りをして。そうやってファンの方を身近に感じたり、YouTubeをはじめ若い子たちがハマっているものをキャッチすることによって、できるだけ共感できるような曲が作れるように努力はしていますね。
――今回の楽曲に登場するふたりは結局別れを選択してしまいましたが、このような結果にならないためにカップルへアドバイスするとしたら、どんなことを話しますか?
宇野:あの喧嘩の場面を撮影している時に、私は台詞で「なんで私の気持ちをわかってくれないの?」と言ってたんですよ。だから、なるべく気持ちを溜めないこと。たとえ忙しくても話を聞いてくれる姿勢を彼にも持ってほしいけど、彼女も不満が山積みになる前に少しずつ話して、すぐ解決できるレベルのことからふたりで話し合っていく。そういった作業を怠らないことですかね。
山田:僕もそう思います。だってお互いに好きなわけじゃないですか。話し合う時間が苦しくても、ふたりで問題を乗り越えるためには、逃げるんじゃなくてちゃんと話し合ったり、向き合ったりする必要があると思う。日々忙しいかもしれないけど、一旦落ち着いて「よっしゃ、話し合おうぜ」って時間を取る。そうやって互いに気持ちを言い合えたら、良い関係になれるんじゃないかな。
――歌詞だけではなく、宇野さんの歌声もとても繊細でした。歌入れにおける苦労点はありましたか?
宇野:これまでもたくさんレコーディングはしてきたんですが、実は今回の曲で初めてやり直したんです。繊細なバラードを作りたかったからこそ、自分が納得いくまでやりたくて。今は世界的に日々色々なことが起きて、音楽の聴き方やエンターテインメントの楽しみ方も変わっていく中で、自分の気持ちを後悔なく伝えるためにはどうしたらいいか。別れた直後の泣き疲れて声にもならないような気持ちを歌でどう表現するか。2回目のレコーディングはMVを撮り終わった後だったので、映像を見ながら一度蓋した気持ちをこじ開けるようにこの曲と向き合いました。
――今回完成したMVの映像を見て、純粋に作品として感じたことを教えてください。
山田:きっと人を好きになった経験がない人なんていないじゃないですか。だから今回の楽曲やPVは誰もが感じたことのある悲しみや苦しみに寄り添えるものだと思うんですよ。こんなことあったなって多くの人が共感できる。そんな作品に参加させてもらって嬉しいし、たくさんの方に届けばいいなと思います! 僕も家でYouTubeから絶対見ちゃいますもん(笑)。
宇野:新型コロナウイルスの影響で撮影にも色々と制限がかかっている中、本当にたくさんの方から力を借りて完成できた作品なので、改めて感謝したいと思いました。また、今回の楽曲は私にとっても大きな挑戦となるバラードだったので、すごく言葉を選んで自分と向き合いながらレコーディングにも挑んだんですよね。そんな楽曲を、素晴らしいストーリーで表現していただけて本当に感激です。この映像を観て、大切な人を思い出したり過去の失恋を乗り越えるきっかけになったらいいなと思います!
■リリース情報
デジタルシングル「最低な君にさっきフラれました」
2020年11月4日(水)発売
<衣装クレジット(山田裕貴)>
ニットブルゾン ¥63,000 TOMORROWLAND
シャツ ¥22,000 TOMORROWLAND PILGRIM
パンツ ¥28,000 TOMORROWLAND tricot
問い合わせ先:TOMORROWLAND(0120-983-522)
シューズ ¥67,000 ADIEU
ネックレス 131,000 ALL BLUES
問い合わせ先:EDSTRÖM OFFICE(03-6427-5901)
※そのほかスタイリスト私物