東京国際映画祭コンペティションに阪本順治「半世界」と今泉力哉「愛がなんだ」選出
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「愛がなんだ」 (c)2019映画「愛がなんだ」製作委員会
第31回東京国際映画祭のコンペティション部門に、阪本順治の監督作「半世界」と今泉力哉の監督作「愛がなんだ」が出品されることが決定した。
10月25日から11月3日にかけて東京・六本木ヒルズなどで開催される同映画祭。今年度のコンペティション部門では、109の国と地域より集まった1829本の応募作品の中から、審査を通過した16本が上映される。
2019年2月に公開される「半世界」は阪本が自身のオリジナル脚本を映画化した作品。人生の折り返しを迎えた39歳の炭焼き職人・紘が旧友2人との再会をきっかけに、自身の仕事や家族と真剣に向き合っていくさまが描かれる。稲垣吾郎が紘を演じたほか、中学からの友人・瑛介に長谷川博己、同じく同級生の光彦に渋川清彦、紘の妻・初乃に池脇千鶴が扮した。
2019年春に公開される「愛がなんだ」は、角田光代の同名小説を今泉力哉が映画化したラブストーリー。好きになってくれない相手を一途に思い続ける28歳のOL・テルコと周囲の人々の交流が描かれる。一目惚れしたマモルに自分の時間すべてを捧げるテルコを岸井ゆきの、マモルを成田凌が演じる。
この発表にあたり、阪本は「製作過程において、映画作りは自分の居場所を見つける作業ではなく、自分の中に他者の居場所を見つける作業だということを、あらためて知ることができました。新しい地図を携えて、未知なる土地へと。そんな私たちの新たな道行きを、ぜひご堪能ください」とコメント。今泉も「テルコをはじめとした、〈誰かを思いきり好きな登場人物たち〉に嫉妬しながら、また、その好意が持つ温度に気をつけながら、この映画を作りました。みなさまにも楽しんでもらえれば幸いです」と話している。
阪本順治 コメント
「半世界」は、私が以前から書き溜めていた異なる2本のあらすじを融合させ、さらに換骨奪胎に臨んで作り上げた物語です。ある地方都市の同級生3人と、その家族や背景を淡々と紡いだものです。グローバリズムが叫ばれて久しいけれど、世界の一体化なんぞ、たかが経済のため。紛争も経済のひずみから。飯喰って働いて子孫を作って、こっちも世界じゃないのかよ。そんな想いが、この作品への動機となりました。そして、製作過程において、映画作りは自分の居場所を見つける作業ではなく、自分の中に他者の居場所を見つける作業だということを、あらためて知ることができました。新しい地図を携えて、未知なる土地へと。そんな私たちの新たな道行きを、ぜひご堪能ください。
今泉力哉 コメント
誰かを心から好きだ、という感情を持ちながらも、それを伝えずにいる、という人はたくさんいると思う。それはやはり伝えないからこそ保たれている関係性が壊れるのを恐れているからだ。「好き」という言葉から逃げながら、それでもマモちゃんのそばにいたいテルコ。それは角度によってはストーカーやサイコパスに見えるかもしれない。でもストーカーやサイコパスになる可能性がない恋愛なんて存在するのだろうか。それを愛と呼べるのだろうか。テルコをはじめとした、〈誰かを思いきり好きな登場人物たち〉に嫉妬しながら、また、その好意が持つ温度に気をつけながら、この映画を作りました。みなさまにも楽しんでもらえれば幸いです。