“おジャ魔女”新作で声優に挑戦。森川葵「どれみちゃんたちが大人になっても勇気をくれる」
映画
インタビュー
『魔女見習いをさがして』森川葵インタビュー 撮影:八木英里奈
1999年から、テレビ朝日系列にて放送されたアニメ『おジャ魔女どれみ』。シリーズを通して4年に渡って放送され、特に20〜30代の女性の心に深く残っている作品のひとつと言えるだろう。そのオリジナルスタッフが集結した完全新作『魔女見習いをさがして』が、11月13日(金)に公開される。
本作は、『おジャ魔女どれみ』が好きという共通点で意気投合した大学生、OL、フリーターのヒロイン3人が友情を深め、かつて信じていた魔法の力を借りながら、前に進んでいく物語。そんな本作で、松井玲奈演じるキャリアウーマンの吉月ミレ、百田夏菜子演じるフリーターの川谷レイカとともに、自分と向き合う旅をする女子大生の長瀬ソラを演じる森川葵に話を聞いた。
ーー森川さんは『おジャ魔女どれみ』をリアルタイムでご覧になっていましたか?
森川 はい、観ていました! だから今回、この作品に参加することができて、とても幸せでした。
ーー声優としてのお仕事は2回目かと思いますが、女優のお仕事との違いなど意識したことを教えてください。
森川 普段は全身を使ってお芝居するので、なるべく声に感情は乗せないようにしているんです。例えば、まばたきひとつ、口角が少し上がっただけでも感情は伝わるので。声優のお仕事はその真逆で、声だけを届けるので、いつも自分がやっている表現の仕方とは真逆なんです。
そういった表現を踏まえて、特に意識したのはキャラクターに合う声を出すことですね。ソラの性格やビジュアルにはどんな声が合うのかな?というのを考えたとき、素の自分の声だと少し低すぎるように思って、少し高めの声を意識しています。
ーーソラは、教師を目指していますが、自分に自信がなく、気持ちを言葉にするのが苦手なキャラクターです。共感するところはありましたか?
森川 伝えたい事が胸の中にきちんとあっても、それを伝えるのにはすごく勇気がいるんですよね。私は思ったことをすぐ口にしてしまうタイプなのですが、伝えた方がいいと思うことほどすごく時間がかかっちゃうんです。
だから、ソラが旅の道中で知り合った大学生の大宮竜一くんに気持ちを伝えるときに、自分の気持ちをはっきり言い出せないシーンなんかは、共感できるなと思いましたね。
ーーソラを客観的に見たことで、ご自身にも変化があったりしましたか?
森川 本作のプロデューサー・関弘美さんが手がけた『京騒戯画』というアニメがすごく好きなのですが、この作品を通して思いをきちんと伝えることは大切だとあらためて思ったので、関さんご本人に「大好きです!」と言うことができました。
ーー本作は、アニメ放送当時子供だった3人が主人公で、同世代の人たちに向けてのメッセージ性も強いですが、森川さんが大人になって良かったなと感じることはありますか?
森川 もちろん自分の責任のもとで、ですけど、自分が働いて稼いだお金でやりたいことをやれることですね(笑)。子供の頃、好きなアニメのグッズとかおもちゃが欲しかったけれど買ってもらえない、みたいなことってありますよね。でも、大人になったら自分の欲しいものは自分で買うことができる。私は多趣味なんですけど、今はいろいろなことを楽しんでいます。
ーー一歩を踏み出して大人になったら世界が広がるという、作中で彼女たちが成長する部分と重なりますね。3人はその出会いが大きなターニングポイントとなり、苦難を越えながらそれぞれの未来に希望を感じるように変わっていきますが、森川さんにとってターニングポイントになった出来事があれば教えてください。
森川 人生のターニングポイントはやっぱり、雑誌『セブンティーン』のモデルになれたことです。本当に1回きりと決めていたので“ミスセブンティーン2010”に落ちたら、他のオーディションを受けるつもりもなくて。今こうして大好きな『おジャ魔女どれみ』の作品に携わることができているのも、あのときオーディションを受けると決意したからなんです。
ーーちなみに本作の主人公はオリジナルキャラクターですが、もともとアニメも観ていた森川さんから見て、“おジャ魔女イズム”を感じたシーンはありましたか?
森川 冒頭に綿毛が飛んでくる描写があるんですが、『おジャ魔女どれみ』の第1話で、綿毛が飛んできて始まるんですよ。あと、3人で海岸を歩くシーンがあるんですけど、アニメでもきれいで素敵なシーンにはよく海岸が出てきたり! そういうところにおジャ魔女イズムを感じました。だから、当時観ていた人はきっと懐かしく思うんじゃないかな。
ーー最後に、この作品は特にどんな人に観てもらいたいですか?
森川 『おジャ魔女どれみ』シリーズを見ていた方達は、本当に心待ちにしていた新作だと思います。どれみちゃんたちも登場するので、その声や動きを、ぜひ劇場の大スクリーンで懐かしんでもらいたいです。
そして、かつてどれみちゃんたちはいろんな境遇の子供たちを励まし、時には助けて元気を届けていましたが、今回は当時観ていた大人へ向けたお話です。脚本を読んだときに、大人になってもどれみちゃんたちが勇気や元気をくれるんだって、すごくうれしくなったんです。だから、観た人の背中を押してくれたり、明日からまた頑張ろうと思えたりする作品になっていると思います。
『おジャ魔女どれみ』を観たことがない人もきっと共感していただけると思うので、ぜひいろんな世代の方に観ていただきたいです!
取材・文:大谷和美 撮影:八木英里奈
『魔女見習いをさがして』
11月13日(金)より公開
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