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女性たちが城田優を翻弄「NINE」開幕に藤田俊太郎「今でしか届けられない作品に」

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ミュージカル「NINE」公開舞台稽古より。

ミュージカル「NINE」が、本日11月12日に東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕。これに先駆け昨日11日、公開舞台稽古が行われた。

アーサー・コピットが脚本、モーリー・イェストンが作詞・作曲を手がけた本作は、フェデリコ・フェリーニの映画「8 1/2」を原作としたミュージカル。1982年の初演時にはトニー賞10部門にノミネートされ、5部門で最優秀賞を獲得した。2009年には、ロブ・マーシャル監督によりダニエル・デイ=ルイス主演の映画「NINE」が公開されている。藤田俊太郎が演出を手がける今回の上演版では、主人公のグイド役を城田優が務める。

スランプに陥った映画監督・グイドは、新作の撮影が迫る中、何も思いつかずに苦悩していた。ある日、結婚生活に不満を抱いた妻・ルイザに離婚を切り出されたグイドは、関係修復とスランプ打開のため、妻を連れてベネチアに逃亡。しかし妻との溝は深まるばかりで映画の構想も浮かばない。グイドは、自分の愛人や映画プロデューサー、評論家といった女性たちに翻弄され……。

ステージには、舞台中央を囲むように湾曲した階段状の装置が置かれている。その背後にはパイプで組まれた美術がそびえ立ち、まるで書き割りの裏側をのぞくような印象を観る者に与えた。

オープニングでは、城田扮するグイドと熊谷俊輝扮するリトル・グイドが舞台全体を覆う半透明の幕越しに手を合わせる。幕がゆっくりと上がっていくと、咲妃みゆ扮するルイザをはじめとした、グイドを取り巻く女性たちが登場。彼女たちはグイドを囲んで輪になって歌い踊り、舞台に幻想的な光景を立ち上げた。

劇中では日本語のほか、英語やイタリア語を交えてストーリーが展開し、ステージ上のスクリーンには白黒映像と共に字幕が表示される。舞台装置やアンサンブルたちの衣装などがモノトーンやネイビーで統一されている一方、グイドに特に大きな影響を与える女性たちは、それぞれ鮮やかな色彩の衣装を身にまとっていた。

城田は、同時に多数の女性に愛を注ぎ、何もかも求めるがゆえにすべてを失うグイドの悲哀を切なく歌う。一方で、映画撮影の場面ではオペラ風の歌声とコミカルな演技を披露することで、迷走中のグイドが作る作品の俗っぽさを強調した。

ルイザ役の咲妃みゆは、「My Husband Makes Movies」でしっとりとした歌声を聞かせる。また夫グイドの女性関係に悩みながらも、映画制作のため自ら彼を愛人のもとに送り出す妻のしたたかさを強いまなざしで表現した。女優・クラウディア役のすみれは、ゴージャスなたたずまいでグイドの“ミューズ”として存在感を示しながら、グイドに偶像視されていることに苦しむクラウディアの心情を、美しいソプラノで歌い上げた。このほか、土井ケイト、屋比久知奈、エリアンナ、原田薫、春野寿美礼、前田美波里といった面々が扮する、グイドを取り巻く女性たちの姿にもぜひ注目を。

本作にはダンスカンパニー・DAZZLEの面々も出演。グイドが映画のアイデアを語る場面では、グイドが指揮者のように腕を振るのに合わせて、黒いシャツとスラックス姿のDAZZLEメンバーがしなやかに踊り、グイドのイメージを舞台上に具現化した。

開幕に際し、演出の藤田と出演者たちからのコメントが到着。藤田は「制作過程で、作品のテーマであるグイドが未来に向かっていく姿、また強く生きる女性の時代が始まるという予感をカンパニーそのものが体現しました。2020年末の今でしか届けられないミュージカルをつくることができました」と出来栄えに自信をのぞかせる。城田も「この2020年にふさわしい様々な国の言葉や字幕を使った、多言語のエンターテインメントな内容で、藤田俊太郎さんがお考えになった演出は非常に面白いので、是非楽しみにしていただきたいと思います」とメッセージを送った。

公演は11月29日までTBS赤坂ACTシアター、12月5日から13日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。11月22日17:00開演回、23日13:00開演回には、Streaming+でライブ配信を実施。また本作のDVDが来年4月16日に発売されることも決定した。

なお出演を予定していたDAZZLEの高田秀文は、急性咽頭炎のため当面の間休演する。

藤田俊太郎コメント

ミュージカル「NINE」の開幕を待って下さっている全てのお客様へ。

ここまでのリハーサルでは、全てのカンパニーメンバーが協力し合い、時に議論しながら、皆が誇り高い仕事をして新しい芝居をつくろうと突き進んできました。劇中、映画を撮れなくなった監督グイドは虚構と現実の間で格闘しながらも、色気と魅力を纏い、女性たちを愛し続けます。また登場人物の女性達はそれぞれ、自身の価値観を見出し生きようとします。制作過程で、作品のテーマであるグイドが未来に向かっていく姿、また強く生きる女性の時代が始まるという予感をカンパニーそのものが体現しました。2020年末の今でしか届けられないミュージカルをつくることができました。

この「NINE」のタイトルの意味は、私たちが母親の胎内にいた“9か月”という時間にも由来しています。観客の皆様には観劇を通して、まるで生まれたての赤ん坊が最初に見た光のようなあたたかな希望を持ち帰っていただければと思っています。

コロナ禍の中、感染防止策を取りながらのご来場には感謝しかありません。私たちは劇場で胸を張って皆様をお待ちしております。

そして劇場に来ることが叶わないお客様へ向けて舞台配信を予定しております。

当作品は映画監督が中心を担う芝居ですから、演劇、映画の枠組みを超える新しい体験をしていただけるような映像作品でのライヴ配信となります。詳細はHPに載っておりますので、配信での観劇も楽しんでいただけたらと思います。

2020版ミュージカル「NINE」、開幕です。

城田優コメント

とにかく安全第一で、キャスト&スタッフ一丸となって大千秋楽を迎えられるよう、いつも通り精いっぱいに舞台に臨んで参りたいと思います。

この2020年にふさわしい様々な国の言葉や字幕を使った、多言語のエンターテインメントな内容で、藤田俊太郎さんがお考えになった演出は非常に面白いので、是非楽しみにしていただきたいと思います。

また、個性あふれる女性の皆さんのエネルギッシュな歌やお芝居にもご期待下さい。

咲妃みゆコメント

私個人としましては約9か月ぶりのミュージカル出演となります。お稽古期間中は、いつの間にか当たり前だと思ってしまっていた様々な出来事に感謝する日々でした。千種楽まで無事に駆け抜けられることを願いつつ、お客様にエネルギーをお届けできるよう精いっぱい頑張ります。きっと、ご観劇なさりながら映画をもご覧になっているような感覚を味わっていただけるステージになっているのではと思います。是非劇場へ足をお運びくださいませ。

すみれコメント

この作品は、笑いあり、感動もありと色々な感情を受け取っていただける舞台だと思います。観に来て下さった皆様には、この素晴らしいストーリーから様々なメッセージをお届けしたいと思いますので、是非楽しんで下さい。

今回、私はクラウディアという大女優の役に挑みます。とてもきれいなお衣裳とヘアメイクで変身し、コンフィデンスを100%に大女優になりきって頑張ります!

前田美波里コメント

私たちがステージに立ち、この公演を最後までやり遂げられることへの幸せを祈って、必死に稽古をして参りました。このような時代になり、こんなに大変な時期ですが、沢山の方に公演をご覧いただけることを心から感謝しております。

今回演じるラ・フルールという役では、私が長年やってきましたレビューの要素をほんの少し、演出の藤田さんが取り入れてくださっていますので、是非それを観ていただければと思います。グイド役の城田さんが特に素晴らしく、とても素敵な作品に仕上がっていると実感しています。

ミュージカル「NINE」

2020年11月12日(木)~29日(日)
東京都 TBS赤坂ACTシアター

2020年12月5日(土)~13日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

脚本:アーサー・コピット
作詞・作曲:モーリー・イェストン
演出:藤田俊太郎
出演:城田優 / 咲妃みゆ、すみれ、土井ケイト、屋比久知奈、エリアンナ、原田薫、春野寿美礼 / 前田美波里 / DAZZLE(長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文、三宅一輝)、彩花まり、遠藤瑠美子、栗山絵美、Sarry、則松亜海、原田真絢、平井琴望、松田未莉亜 / 大前優樹、熊谷俊輝、福長里恩

※大前優樹、熊谷俊輝、福長里恩はトリプルキャスト。