lyrical school、最新チャートにランクイン サステナブルなアイドルのあり方提示できるか
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参考:2018年7月2日付週間アルバムランキング(2018年6月18日~2018年6月24日・ORICON NEWS)
けやき坂46の初の単独名義でのフルアルバム『走り出す瞬間』が初登場1位を獲得。アイドルシーンでの新しい流れを作る存在、そして坂道シリーズの力関係を打ち崩す可能性を持った存在として、この先目が離せないグループである。
(関連:lyrical school、現体制ラストライブで見せたグループの歩みと始まりの予感)
また、2位にはSuchmos『THE ASHTRAY』、3位にはSHISHAMO『SHISHAMO 5』がランクイン。『THE ASHTRAY』にはNHKサッカーテーマソングの「VOLT-AGE」が収録、またSHISHAMOと川崎フロンターレの良好な関係は広く知られるものであり(7月末にはフロンターレのホームスタジアムである等々力陸上競技場でのライブも控えている)、日本代表の思わぬ活躍も含めて盛り上がりを見せている2018 FIFAワールドカップロシアの影響が音楽シーンにも波及しているかのようなチャートとなっている。
さて、今回取り上げるのは、初登場10位にランクインしたlyrical school(以下リリスク)の『WORLD’S END』。現メンバーがそろった体制としては初めての作品である。連日のリリースイベントの効果もあってか、グループ初のウィークリーチャートでのトップ10入りを果たした。
tengal6名義で活動を始めた頃から“アイドル×ラップ”というフォーマットで作り出される楽曲の魅力には定評があったが、『WORLD’S END』はそんな彼女たちの強みがさらに突き詰められた作品である。メロウなムードの「つれてってよ」、三連符フローも印象的な「消える惑星」、ソウルテイストのトラックが心地よい「オレンジ」、スチャダラパー「サマージャム’95」や、かせきさいだぁ「じゃ夏なんで」といった夏のヒップホップクラシックとも並び立つ出来栄えの「常夏リターン」(作詞をスチャダラパーのBoseとかせきさいだぁ、作編曲をスチャダラパーのSHINCOが手がけている)など、どこを切っても素晴らしい楽曲が並ぶこのアルバムは、“アイドルのアルバム”“ヒップホップのアルバム”として非常に完成度が高いだけでなく、それぞれのカルチャーに関与のない人にも自信を持ってお勧めできる1枚である。
今後リリスクに是非とも期待したいのは、この先もクオリティの高いパフォーマンスを続けて次作も今作と遜色のない作品を生み出すことである。こう書くとあまりにも当たり前のことのようにも思えるが、マーケットやファンダムの変容、メンバーの年齢的な成長に伴うコンディションの変化など、女性アイドルグループが継続的に活動を行なっていくことに対するハードルはいくつもある。自然体を貫くリリスクならではのサステナブルなアイドルのあり方を提示することができれば、それはグループのファンにとってのみならず、アイドルシーン全体にとっても大きな意味を持つことになると思う。(レジー)