「誰しもが恋愛で胸を締めつけられている」ジャルジャル福徳、相方に渡せないデビュー小説語る
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ジャルジャル福徳
ジャルジャル福徳が本日11月14日、東京・HMV&BOOKS SHIBUYAから自著「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」(小学館)の発売記念イベントをオンラインで開催した。
同作は福徳が約4年の年月をかけて書き下ろした恋愛小説。憧れていた大学生活とはほど遠い、冴えない毎日を送っていた大学2年生の“僕”と“彼女”を描いている。吉本興業が発行していたお笑い情報誌「マンスリーよしもと」で連載していた流れで、周りのスタッフから「書いてみたら?」と提案されたのが執筆のきっかけ。個人的に書き始め、3カ月で書き上げたものを1人で直していく日々を送り、半年続け、1年続け、気づけば2年ほど経っていたという。「これ、やっていても意味ないな」という思いが3度目によぎった頃、ついに出版社から声がかかる。それからまた2年、プロの編集者と共に改稿し、ようやく発売に至った力作だ。
イベントではこの作品を読み込み、聞きたいことを多数メモしてきたというしずる村上がMCを務めた。村上が「こういう場で言うとおべんちゃらに聞こえちゃうかもしれないけど、マジで最高でした。淀みがなく、自然な会話と自然な描写で読みやすかった。かと言って容易な本ではなくて」と感想を伝えると、福徳は「芸人さんの感想を聞くのは初めて。本当に恥ずかしくて、知人にも家族にも(本を)渡してない」と大照れ。「(相方の)後藤には絶対渡したくない。『こんなふうに人を好きになんねや』とか思われるのが恥ずかしい。ただ、うっすら『買った』っていう情報だけは入ってきてて……」と苦虫を噛みつぶしたような顔を見せつつ、「もう37歳で、いろんなことを感じるやん。人生ってこんなにいろんなことを感じるねやって思うくらい。でもわざわざ言われへんやん。芸人やし、オチをやっぱり探しちゃう。でも小説はオチを探さなくていい。ありのままを(書ける)」とフィクションではあるが自分の感覚が多分に投影されていると説明する。
中学の頃にジブリ作品の「耳をすませば」にハマり、恋愛マンガ、恋愛小説を好んできた福徳にとって、デビュー作で恋愛を題材にしているのは当然のこと。イベント後の囲み取材では恋愛が自身の基盤だと明かし、「恋愛って誰しもが経験していること。ガミガミ怒っている人も、恋愛で胸を締めつけられたりしたことがあるんだと思うと笑けてくる。かわいく思えるんです」とユニークな着眼点で報道陣の笑いを誘う。また後藤と2人で作り上げるコントとは違って小説は1人で取り組むため「自己満足になってしまうかもっていうのはだいぶ恐れていました」と心配もあったそう。編集者のアドバイスで最初の12万字を6万字に削り、新たな展開を考え6万字加筆したこと、自分では大切なフレーズがありすぎて付けられなかったタイトルを編集者に決めてもらい、そのタイトルを軸にさらに書き直したことなどもイベント中に振り返り、“アマチュア作家”としてプロの意見を聞きながら謙虚に、そして真面目に執筆と向き合ったことを語った。
なおイベントの様子はYouTubeで期間限定公開中。
(c)福徳秀介/小学館