暗い箱を飛び出し、まだ見ぬ世界へ SUPER★DRAGON「DRA FES2020」で魅せた成長と新たな一歩
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SUPER★DRAGON「DRA FES2020」 撮影:笹森健一
9人組ミスクチャーユニット『SUPER★DRAGON』通称スパドラが11月15日に毎年恒例となっている「DRA FES2020」を開催、今年度はオンライン2部制で行われた。
第1部の舞台となったのは共学にも関わらず、治安の悪さから男子校状態となっているファンにはおなじみの「龍崎高校」の学園祭。学園祭前日の教室、学ラン姿で登場したメンバーが担任のベビドラ先生と軽いMCとメンバー紹介のVTRのあと、本編がスタート。
『MONSTER!』、『PendulumBeat!』で一気にテンションをあげていく。
学園祭というだけあってコーナーも充実。トークコーナー『5年間で1番○○だった話』では「1番きつかった仕事」、「1番反省したことは?」といったテーマで盛り上がった。壮吾は反省した出来事として「『SOUL FLAG』のツアーで名鉄ラップを披露したけど、歌詞がとんじゃって。リハでは一度も間違えなかったのに」と得意の車内アナウンスにまつわるエピソードを挙げた。
また「この5年間でかなり成長したメンバーなら、大人な一言で決めてもらいまSHOW!」のコーナーではお題に対して大人な一言で決めることに。「全然売れないチョコバナナをたくさん買ってくれた女子に言う大人なひと言」ではなかなかベビドラ先生からのOKが出ず、「このままだとライブが終っちゃう!」とメンバーが弱音を吐く場面も。
それぞれの良さが如何なく発揮された大喜利コーナーはファイヤードラゴンとサンダードラゴンに分かれて対決。フリップ回答ではガンガン挙手するファイヤードラゴン、サンダードラゴンは指名制の写真でひと言大喜利で会心の回答を繰り出していった。
もちろん、セットリストもアツい。今年で5周年を迎えるスパドラだが、「誰一人欠けることなく迎えられてよかった」とベビドラ先生。その5年の間に、スパドラとしての楽曲以外に発表されてきたユニットやソロ曲を歌い、ファンを喜ばせた。
洸希、彪馬、和哉が『Cross Counter』を披露し、曲終盤にはジャンがさりげなく合流。そのままジャン、毅、玲於による『ゲラゲラ』へ。更にテンションをあげていく。颯、壮吾、楽は『NICHIYOUBI』をほのぼのと歌い、「今日は楽しんでいきましょうね」と画面の向こう側にいるファンに向かって微笑みかけた。また、『夢で逢えたら』では毅と彪馬がしっとりと歌い上げ、洸希はソロ曲『AIKOTOBA』でコメント欄を歓喜させた。
もちろん、ファイヤードラゴンとサンダードラゴンの曲も披露。ファイヤードラゴンは『Gong』、『Get Lite』で盛り上げると、『MIKAZUKI』ではしっとりと歌い上げ、志村は想いを込めるように儚げな表情とダンスで魅了した。サンダードラゴンは『Take It To The Top』で甘いハーモニーを響かせたと思えば、『真冬の熱帯夜』では年上の女性に恋をする男性の気持ちを色っぽく、かつ切なげに歌った。学ラン姿が意外にも曲にマッチし、ファンをうっとりとさせた。『リマカブロ!』はスピード感あるメロディとライダーを意識したダンスで盛り上げ、最後にはファイヤードラゴンも合流し、なんとも賑やかなパフォーマンスとなった。
ラストは『+IKUZE+』を、タオルを回しながら熱唱、最後には画面の向こうのファンにも促しながら全員でハイジャンプ。最後まで笑顔で盛り上がって見せた。
しかし、完全燃焼するにはまだ早い。19時からスタートしたDRA FESの第2部ではまたスパドラの新たな一面を見せてくれた。『BOX WORLD』というタイトルそのままの世界観が投影されており、箱の中にいるメンバーが映し出される。
黒の衣裳に身を包んだ彼らが1曲目に披露したのは初披露となる新曲の『BLACK BOX』。いきなりの新曲に早速コメント欄は驚きと歓喜で色めき立つ。
続いて『hide-and-seek』ではステージから移動。ライブハウス内を踊り、走り、更には男子トイレも活用して歌う。ファンは演出に驚きつつも「トイレさえもステージにするのはスパドラだけでは」と誇らしげだ。
『Mr.GAME』では大掛かりなセットが組まれた別ステージを使用。オンラインライブならではのダイナミックな空間の使い方に思わず感嘆の息が漏れるほど。最初の3曲だけで、今夜のスパドラのオンラインライブは何か違うものを見せてくれるーーと自然と期待が高まる。
MCで自己紹介をしたあとは息着く間もなく『PANDRA』、『WARNING』を披露。激しいダンス、曲調。まるで箱の中から抜け出そうともがいているようにも感じられる。和哉の低音が美しく響く『Don't LetMe Down』から緩さの中にもしなやかなダンスを見せた『City Noise』、『Ringing,Love』で少し空気が緩んだかと思えば、『Set It Off』ではジャン、洸希、和哉ら3MCが金網の箱の中に閉じ込められる演出。怒りをテーマとしている『Set It Off』だが、閉塞感を打ち破ろうとしているような強いパワーが感じられる。更に自分との戦いをテーマとした『LaVida Loca』と続き、ライブを観ているはずなのに、まるで彼らが何かと戦っているような激しさに高揚感を覚える。
「自分らしさを追及し、奔走する事から抜け出せ。そう、絶体絶命は、絶好の機会。この世界をヌケダシテミセロ」など意味深なメッセージがVTRで流れたあと、青と白を基調とした衣装に着替えたスパドラが再登場。仲間の絆を歌う『Dragonfly』、そして『SUPER★DRAGON』と続く。まるで、箱から抜け出したあとは、自分たちが時代を変えていく、仲間となら変えられるはずだと訴えかけられているようだ。
「もっともっとテンションあげて熱く行こうぜ!」と玲於が煽り、『BADASS』で畳みかける。力ある限り、歌い踊るーー激しいダンスと熱唱。『Untouchable MAX』では「この生命が燃え尽きるまで」という歌詞があるが、まさに今の彼らの気持ちが込められているようにも聞こえる。
そして、1時間以上、歌い踊り続けたライブも終盤に差し掛かったころ。スパドラから2021年1月23日、24日に419日ぶりとなるリアルワンマンライブがLINE CUBE SHIBUYAでの開催決定が発表された。これにはコメント欄も狂喜乱舞。久しぶりのワンマンライブにメンバーも「早くやりたいね」と喜びを隠せない。「緊張しちゃいそう。ファンの皆さんも同じだと思うけど、緊張を乗り越えられるぐらいの素晴らしいものをお届けしたい」と彪馬がはにかめば、ジャンは「今の世の中の状況ってまさにボックスワールド的な感覚」と今回のテーマとなぞらえて語り、「家を箱ととらえるなら、僕らも含めてみんな中に籠っている状態。そんな中でまさに箱から抜け出して、Face to Faceで感情を共有し合えるってうのが久しぶりなのでちょっと眠れない気がします」とジャン節も交えながら真剣な面持ちで語った。
楽も「めちゃくちゃ進化したSUPER★DRAGONをその目で見てもらえるのを楽しみにしています。カメラじゃなくて、みんなでできることが本当に楽しみなので風邪ひかないようにね、体調に気をつけて。健康でいるんだよ」と笑顔でファンを気遣った。
しかし、彼らもこの1年、不安がなかったわけではない。洸希は「1年以上ファンのみなさんの前でライブできなかったというのは今までなかったので、これから先一生、ライブできなかったらどうしよう、というふうにずっと考えていた」と明かした上で「また一歩進めることができて本当に嬉しいですし、約1年会えなかった中でぼくたちが培ってきたことがあるので、それを1月に発揮できたらな、と思う」と意気込みを見せた。
思わず言葉を詰まらせたのは颯。「リアルライブができるってことですごく嬉しいですし、ここから成長した僕らをぶつけたいと思います」壮吾は堪えきれずに涙をこぼした。「この1年、みんなにとっても僕らにとっても本当に大変だったと思うんですけど、ついに先が一個見えたかな、と思う。絶対1月来てください」と改めて、リアルでライブができることに感情を爆発させた。
毅は「目をふさぎたくなるような現実や瞬間が、今年は例年以上にたくさんあったんじゃないかな」としながら、「止まってはいけないと思った」と活動がままならない中での苦悩を語った。「この箱を抜け出した先にきっと夜明けというか自分たちがまだ見たことがない世界、未開拓が待っていると思うので、僕らしっかり留まることなく進んでいきたいと思います。」
そんな彼らが最後にファンに届けたのは「僕らのまだ見ぬ世界への希望、夜明けの歌」と毅が言う『Burning in the nights』。熱い心が籠ったパフォーマンスに涙したファンも多いのではないだろうか。
歌い終えたメンバーはステージを降りて駆け出す。そしてそのまま、ライブ会場の外へーー。
暗い箱の中で仲間と共にあがき続けたSUPER★DRAGON。箱から飛び出した彼らが次に見せてくれるのはどのようなパフォーマンスなのか。期待して待ちたい。
撮影/笹森健一、取材・文/ふくだりょうこ
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