Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 櫻坂46、「Nobody’s fault」に詰め込まれたグループが目指す“絆”の在り方 MVや歌詞に感じられるメッセージ

櫻坂46、「Nobody’s fault」に詰め込まれたグループが目指す“絆”の在り方 MVや歌詞に感じられるメッセージ

音楽

ニュース

リアルサウンド

 先日放送された『そこ曲がったら、櫻坂?』(テレビ東京)は櫻坂46三つ巴バトル。1stシングルでセンターを務める森田ひかる、藤吉夏鈴、山﨑天の3人をリーダーとした3チームによる対決企画を行った。

 こうした企画の際、同番組の前身番組『欅って、書けない?』では、1期生と2期生、あるいは新2期生といった加入時期に応じたチーム編成で競わせることが多く、それに対して「先輩後輩の溝を感じてしまう」という視聴者からの意見が少なくなかった。それに対して今回は、1期生2期生関係なくチームが組まれていて、それによってリーダーとなった(普段はあまり前に出ない)藤吉や山﨑が新たな一面を見せたり、息の合った団体芸を見せた“土生劇団”が結成されるなど、今後の活動にもつながる収穫の多い放送になったように思う。特に、ゲームとは別にチームワークが確認できたら「仲良しポイント」が積み重なっていくという特別ルールも、現在の同グループを象徴していたのではないか。

 先日公開された「Nobody’s fault」のMVでも、メンバーたちの団結力を感じさせるシーンが核になっていた。たとえば、メンバーたちが肩を組みながらカメラを睨みつける場面が非常に印象強い。森田だけを捉えていたカメラが引いていくと、徐々に仲間が集まってくるかのような力強い映像演出。この泥臭く肉体的なカットには「これが私たちの武器だ!」と言わんばかりの底知れぬパワーを感じる。これこそ今作のコンセプトのひとつである“絆”なのだろう。キャプテン菅井友香はブログで今回のMVについてこう説明している。

「それぞれが諦めかけていた世界でどんな荒波にも出会った仲間と共に立ち向かっていく。そんな泥臭さも美しいと感じていただける映像になっているんじゃないかと思います。」(菅井 友香公式ブログ

櫻坂46が目指す“絆”の在り方

 今回のMVのストーリーを簡潔に説明してしまうなら、「悪い状況だったものが良い状況へと変わっていく物語」であろう。こうした作品を描く上でポイントとなるのが、何を“きっかけ”に状況が好転したのかである。なぜなら、何の根拠もなくただ「未来は明るくなりますよ」とだけ描くと、具体性のないただの空っぽの作品に見られてしまうからだ。どういう過程を経て状況が良くなるのか、何をしたらどう変わったのか。そうした具体的な描写に欠ける作品は意外と世の中に多い。

櫻坂46 『Nobody’s fault』

 その点、今作にはそれがいくつかしっかりと描かれている。わかりやすいところで、彼女たちにとって過去の象徴でもあるせり上がった海(「サイレントマジョリティー」の振り付けで引用したモーセの伝説)を叩き壊すのも大きなきっかけのひとつだが、もっと具体的なシーンを挙げるなら……

①1期生の菅井が2期生の藤吉に絵を渡す。

先輩が後輩を見守り、助けるシーンとして受け取れる。それまで心ここに在らずといった表情だった藤吉が、ここではじめてほんのりと笑みを浮かべる。

②一度は諦めた山﨑が仲間に協力する。

一緒にいる仲間(田村保乃)の努力を後押しするカット。投げやりな態度を見せていた山﨑が、ここで前向きな姿勢を見せる。

③森田が先駆けて走り出すと周りが付いていく。

積極的な姿勢を見せたことでメンバーたちも後に続いていく。終始強ばった表情を見せていた小林由依と渡邉理佐の2人が、ここで緊張が解けたように顔をほころばせる。

④丘を全員で駆け上がっていくラスト。

先陣を切った森田に仲間が全力で付いて来てくれたのを、森田自身が実感する場面。自然とこぼれたようなその笑顔は、この作品で最も生き生きとしている。

 どれも一瞬だが、確実にカメラはその表情の変化を捉えている。一見メンバーの暗い表情ばかりの作品に見られがちだが、描かれているのは助け合いの精神であり、①「助ける」、②「協力する」、③「積極的な姿勢を見せる」、④「仲間に続く」、といった行動の重要性をこのMVは伝えている。これが櫻坂46が目指す“絆”の在り方なのだろう。

 歌詞においても、〈どんなに深い森も一本の木が/集まってできているんだ〉〈光と影は何度も重なり合い 大きな森になるのさ〉のように、木の名前をグループ名に冠した彼女たちならではの表現で団結することの大切さを歌っている。このように、作品の端々にこれからの彼女たちに求められるものが詰め込まれているのだ。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)