加藤健一が久々にレイ・クーニーの“笑劇”に挑む
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1980年の設立以来、海外のウェルメイドな戯曲を上演し続けてきている加藤健一事務所。コメディが多かった90年代と比べると、近年はシリアスな作品が目立っていたが、本日9月26日(水)に開幕する『Out of Order~イカれてるぜ!~』は久々の王道コメディだ。
作者は、加藤健一事務所の財産演目といっていい『ラン・フォー・ユア・ワイフ』(1993年初演)、『パパ、I LOVE YOU!』(1994年初演)などで知られる英国コメディ界の巨匠、レイ・クーニーで、同事務所がレイ・クーニー作品に新たに取り組むのは、実に24年ぶりのこととなる。
テムズ川が一望できるロンドンの高級ホテルを舞台に、与党副大臣リチャードの愛人との密会工作を発端とする、ウソがウソを呼ぶ大騒動が描かれる。過去に上演したレイ・クーニー作品でもタッグを組んでいたリチャード役の加藤健一と翻訳の小田島恒志に加え、リチャードの私設秘書役に浅野雅博、ホテル支配人役に新井康弘、そして演出には堤泰之と、コメディの難しさを知る盤石の布陣が揃った。
公演チラシに並ぶのは、「こんなに笑っている自分が信じられない、というほど笑ったことがありますか?」「警告笑過」「気を付けて笑ってください」といった期待感を高める言葉の数々。加藤と堤は稽古初日、「チラシのうたい文句にハードルを上げられた気もする」と苦笑していたそうで、そう聞くとここでさらに上げるのもどうかと思えてくるが、これまでの実績を踏まえてあえて上げさせていただこう。レイ・クーニーと加藤健一事務所なら、上がり切ったハードルを必ず乗り越えてくれるに違いない。
9月17日(月)に閉幕する新国立劇場 中劇場公演の後、9月21日(金)・22日(土)に静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール、9月27日(木)から30日(日)まで大阪・新歌舞伎座で公演を行う。
9月26日(水)から10月10日(水)まで本多劇場にて上演。
文:町田麻子