土屋太鳳「哀愁しんでれら」出演の決め手は田中圭と“迷子の主人公”
映画
ニュース
「哀愁しんでれら」トークイベントの様子。左から渡部亮平、土屋太鳳。
「哀愁しんでれら」のトークイベントが本日11月19日に東京・神田明神ホールで行われ、主演を務めた土屋太鳳、監督の渡部亮平が登壇した。
本作は一晩で怒涛の不幸に襲われた女性・小春を主人公にしたサスペンス。子連れの裕福な開業医からプロポーズされた小春は、不幸のどん底から幸せの絶頂へ。しかし幸せになりたいと願う彼女は、前代未聞の凶悪事件を起こす母親に変貌していく。土屋が小春を演じているほか、夫の大悟に田中圭、娘のヒカリにCOCOが扮した。
2012年に自主映画「かしこい狗は、吠えずに笑う」で注目を集めた渡部が、TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2016でグランプリに輝いた企画を自身のオリジナル脚本で映画化。9年ぶりの長編にして商業デビュー作となる。映画の着想の1つになったのは、「子供の運動会をやり直せ」と学校側に包丁を突きつけた保護者が逮捕されたというニュースだった。
渡部は「すごくバカバカしいけど、強烈な愛を感じた。本当に愛があったかどうかはわからないですが。そこに至るまでの両親にドラマがあるはず。普通の親では言えない、とても行きすぎた家族愛。そっち側の目線に立って描いてみるとどうなるのか?と思ったのがきっかけでした」と明かす。さらに「『そんな親には絶対にならない。信じられない!』と思ってニュースを見ている自分がいる。でも、自分は結婚もしてないし土俵に立ってない。もし自分が結婚して子供ができたとしたら、絶対にそちら側に立たないと言い切ることはできないんです。言い切れる人のほうが怖い。それをちょっとでもこの映画から感じてほしい」と作品の根底にある思いを語った。
オファーを3度断ったうえで、最終的に小春役を引き受けた土屋。それについて聞かれると「はい、断りました」と素直に告白しつつ、引き受けた2つの理由を明かす。田中が大悟を演じることが大きく、土屋は「映画の中で大悟がすごく重要な役。1つ目は、圭さんが演じる大悟を小春として見てみたいという直感的な理由でした」と語る。共演については「COCOちゃんにとって、とてもつらい物語。現場がストイックになったり、シビアなシーンの撮影だったりすると、子供だとつらくなってしまう。そういったときに圭さんがうまくCOCOちゃんの気分を上げていたり、見守っていたり。その姿勢に感動しました」と振り返った。
また出演を決めたもう1つの理由を「4度目に脚本を読んだとき、小春が迷子のように泣いているというか。彼女が『私の感情を誰かに伝えてほしい』と泣いているような感覚があって。これはやっぱり受けたほうがいいんだなと思いました」と語る。渡部は「ほかにオードリー・ヘプバーンぐらいしか思い浮かばない」と土屋を称賛し、「キャスティングを考えているときに、あるミュージックビデオで土屋さんの表現力の高さに驚いた。しかも、まだまだすごいものを秘めてそう。これをちゃんと出せると、パワーのある映画になると思った」とコメント。一方の土屋は渡部の印象を「すごく穏やかで飄々としている。論理的な方かと思いきやけっこう感覚的。スタッフさんの技量を尊重して、演者にも任せてくれる。でも、もちろん頭の中にはビジョンがある。それがすごく伝わってくる素晴らしい監督です」と話した。
この日、土屋と渡部は壇上で映画のメインビジュアルを発表。土屋は「前のティザービジュアルには黒目がなかった。母が黒目を描いたらめちゃくちゃ怖くなったと言っていて(笑)。今回は黒目が入っていてよかったなと思います」と、穏やかに感想を述べる。最後に、渡部が「『私は幸せになれるのか?』という誰もが抱える漠然とした恐怖や悩み。この映画はその思いが強くなりすぎて展開していく物語。実は誰にでも起こり得る話だと思ってます。ぜひ観てください」と語り、トークを締めくくった。
「哀愁しんでれら」は、2021年2月5日より全国ロードショー。
(c)2021「哀愁しんでれら」製作委員会