浜辺美波&田中圭、2020年は映画やドラマに引く手あまた “役者としての特性”が大きな理由?
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映画やドラマ、CMで見ない日がないくらい活躍し、勢いを見せている俳優がいる。2020年で言えば、まさに田中圭と浜辺美波がそのポジションにあたるだろう。田中は今年だけでも6本のドラマに出演しており、その他にも映画、CMと出ずっぱり。浜辺も同じくドラマ3本、映画2本と公開待機作1本、CMや雑誌等で毎日のように目にするようになった。まさに“引っ張りだこ”な2人の活躍には、目を見張るものがある。
これほどまでに根強い人気を得た2人の共通点は、どこにあるだろうか。それは“好感度の高さ”という一言には片づけられない、役者としての特性にあるように思う。彼らには良い意味で色がない。売れている多くの芸能人には、はっきりとした強みや強烈な個性があることがほとんどだ。ミステリアス、セクシー、強面、バイプレイヤーなどその人物を象徴する“キーワード”があり、俳優に限らずタレントや芸人もそのキャラクターを大切に育てて強みにしている。特に俳優・女優の分野では、出演作品を選んだり、当たり役を得ることでその個性を積み上げていくことが多い。しかし田中と浜辺からはこうした強い“色”が感じられない。どんな職業で、どんな性格で、どんな立場であっても自然と受け入れられる、つまりは「何者にもなれる」ことが田中と浜辺の魅力なのだろう。
だからこそ田中は、『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)、『不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事』(テレビ朝日系)、『キワドい2人-K2- 池袋署刑事課 神崎・黒木 』(TBS系)での刑事役に加え、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)での後輩思いの薬剤師、『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系)での笑顔を忘れない教師、と短期間の内に様々な職業、さらには性格も異なる役を演じてきた。こうして並べるとこの1年は刑事役が重なったようにも見えるが、田中に“刑事役”の固定イメージが付いているかというと、そんなことはないだろう。
浜辺は、映画『思い、思われ、ふり、ふられ』、『映像研には手を出すな!』での実年齢に近い女子高生役に始まり、ドラマ『アリバイ崩し承ります』(テレビ朝日系)での探偵業や『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)での復讐に燃える菓子職人から『タリオ 復讐代行の2人』(NHK総合)での復讐を裏稼業とする元弁護士まで、幅広い役を演じる。さらには12月公開予定の映画『約束のネバーランド』での外国の少女を思わせるビジュアルや、ドコモのCMでのモンスターのモンジュウロウという地球外生物にまで難なく扮し、どの役を演じても違和感がなく、悪目立ちもせずにナチュラルに馴染んでいく姿こそが、これほどまで多くの作品に起用される所以だろう。
加えて、クセのない演技力もまた彼らの魅力だ。実は芝居をする上においては、「何の個性もない」ということが一番難しい。人は歩き方から仕草、姿勢や表情に必ず癖があるものだ。猫背気味であったり、歩幅が広かったり、内股・外股である人もいる。このような癖がある以上、いわゆる「普通」という模範解答を全ての仕草で完璧にこなすことは実に難しいことなのだ。どんな役を演じても、見ていて相手に違和感を抱かせず、さらにキャラクターに没入させるような演技をできることが田中や浜辺の強みだろう。
また田中は、今年演じた役の中でどれが一番印象的だったかというと視聴者によって意見が割れるのではないだろうか。『キワドい2人-K2- 池袋署刑事課 神崎・黒木』の黒木か、『先生を消す方程式。』の義澤先生か、はたまた別の役を挙げるか。このように様々な意見が出るというのは、裏を返せばそれだけ安定した結果を出し続けているということでもある。ドラマにおいて、より深くキャラクターを描き、背景にフォーカスするには、こうした役者の力が必要なのだ。
浜辺も同様に、『思い、思われ、ふり、ふられ』の朱里のイメージを持つ者もいれば、『タリオ 復讐代行の2人』の真実のイメージを思い描く人もいる。どの役をやってもハズさない実力のある女優ということになる。
こうして2人はスターダムに駆け上がり、2020年にかなりの作品数で活躍する俳優・女優となった。もちろんこれから確固たる個性を確立する日がくるかもしれないし、このまま何者にもなれる強みで色を変えながら活躍し続けるかもしれない。しかし彼らの持つ魅力は、一長一短で消えていくものではないだろう。息の長い俳優として活躍することが予想される。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
ドラマ10『タリオ 復讐代行の2人』(全7回)
NHK総合、BS4Kにて、毎週金曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、岡田将生ほか
制作統括:川田尚広、高橋練、岡本幸江
演出:木村ひさし、山本透
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/ts/78YR8PJXJ5/
■放送情報
『先生を消す方程式。』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:00~23:30放送
出演:田中圭、山田裕貴、高橋文哉、久保田紗友、森田想、高橋侃、秋谷郁甫、奥山かずさ、榊原有那、川瀬莉子、田中亨、松本まりか
脚本:鈴木おさむ
音楽:HAL
監督:小松隆志ほか
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:秋山貴人(テレビ朝日)、遠田孝一(MMJ)、小路美智子(MMJ)
制作:テレビ朝日/MMJ
(c)テレビ朝日
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