『エール』窪田正孝は唐沢寿明、二階堂ふみは薬師丸ひろ子に似てきた? 貫禄を放つ古山夫妻
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華(古川琴音)に運命の出会いが訪れた『エール』(NHK総合)第23週「恋のメロディ」。真面目で優しい性格が誤解され、“重い”と言われがちな華の良さをわかってくれたのは、ロカビリー歌手のアキラ(宮沢氷魚)だった。
アキラは華が勤務する病院の患者であり、さらには作曲家である父・裕一(窪田正孝)の同業者。子煩悩な裕一にアキラとの結婚を認めてもらうため、華は音(二階堂ふみ)と計画を練る。音は裕一にそれとなくロカビリーのレコードを聴かせるも、歌謡曲や西洋音楽に精通する裕一は微妙な反応。そんな家族を見兼ねて、神様がそっと手助けするように裕一が胃潰瘍でアキラの入院する病院に運ばれたのだった。
手術の後、裕一が目覚めるや否や「お父さん」と真面目な顔で見つめるアキラ。「え? 今お父さんって言った?」と困惑気味な裕一の言葉を音と裕一は必死でごまかす。空気が読めないアキラと状況が読めない裕一のやりとりが何ともコミカルだ。
ともかくアキラが退院するまで、音と華は結婚の話を後回しにすることに。嘘をついたら後が大変なのに、アキラは自分の職業をとび職と偽る。裕一と2人きりの夜は毎回、体調が悪いふり。こうして、ただのロカビリー歌手から“嘘つきのロカビリー歌手”に昇格(?)したアキラだが、華はすっかり彼にお熱。「(演技がうまいから)俳優でもいけるかもな~」「やりはじめたらひたむきなんだ~」とうれしそうな娘の笑顔を、温かく見守る音はすっかり母の顔だ。裕一に恋したかつての自分と華の姿を重ねているのだろうか。
今週は華とアキラの物語でありながら、理想的な夫婦に成長した裕一と音の絆を感じさせる回だった。2人がたくさんの困難を乗り越え愛を貫けたのは、東京で彼らを迎えた喫茶「バンブー」の梶取夫妻をはじめ、頼もしい存在が周りにいたから。そんな裕一と音が先週に引き続き、いつの間にか家族の成り立ちを“見守る側”に変わっている。なにより裕一はちょっと頼りないけど、いざという時には一家の大黒柱として奮闘する三郎(唐沢寿明)に、音は持ち前の明るさで、太陽のように家族を包み込む光子(薬師丸ひろ子)に、それぞれ似てきたのが感慨深い。
朝ドラ受けの『あさイチ』(NHK総合)のプレミアムトークでは、裕一役の窪田正孝が登場。息がぴったりな二階堂ふみとのメイキングシーンが惜しみなく公開された。互いの誕生を祝い合い、華役の赤ちゃんを仲良くあやす2人。窪田と二階堂はフィーリングが合うようで、アドリブで作り上げた場面も多いという。2人が原始人に扮し、音楽を奏でる第1話のオープニングもそのひとつ。撮影を通して窪田と絆を深めた二階堂は、「音として、ここにいる皆さんや裕一さんと過ごせて本当に幸せでした」と涙ながらに語った。
子世代の物語に加え、“朝ドラおじさん”日村勇紀の出演やナレーション担当・津田健次郎の一人吹き替えなど、『エール』は最終回に向けて疾走感を増している。音楽を通して出会い、音楽で人々を勇気づけるために奮闘した夫婦の物語がついに完結。『あさイチ』では、NHKホールから出演者が古関裕而メドレーを届ける最終回の場面も流れた。どうやら華とアキラの結婚や、裕一のオリンピックマーチ作曲が描かれるだけではなく、キャスト勢ぞろいの大団円で本作は幕を閉じそうだ。
■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/