宮沢氷魚、『エール』で第三の王子様系キャラに 歌唱シーンでは父譲りの美しい歌声を披露
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華(古川琴音)の恋が大きく動き出す。渉(伊藤あさひ)との失恋以来、自分が「重い女」なのではないかと悩み続けてきた華だが、霧島アキラ(宮沢氷魚)との出会いが華の運命を大きく変える。NHK連続テレビ小説『エール』第23週「恋のメロディ」では、華の新たな恋の様子と、アキラが裕一(窪田正孝)と対面するまでが描かれる。
華が看護師として勤める病院に入院してきたロカビリー歌手のアキラは、真面目で実直な華とは正反対のキザな男だった。しかし日を追うごとに、アキラが如何に優しく、他人を思いやれる暖かい心の持ち主であるかが描かれる。そしてアキラはついに「華さん、俺と付き合ってくれない?」と想いを伝えることに。これまでの冗談めかしたウインクを封印して、誠実かつ真っ直ぐに告白するのであった。「(お父さんに)会ってみたいなあ」「(お父さんに)娘さんをくださいって言う」などのプロポーズとも取れるロマンチックなセリフは、華の硬い心を溶かす。この決定的なシーンを境に、華のキリッと隙のない表情はふにゃりとした柔らかな笑顔に変わっていくのであった。
もはや有名音楽家となった古山裕一の愛娘と交際するという重要な役を演じたのは宮沢氷魚だ。すらりとした長身に、長い手足、繊細な優しさが感じられる淡い色の瞳は、女性を虜にするロカビリー歌手・アキラにまさにぴったり。『エール』にはこれまでに王子様系キャラとして久志(山崎育三郎)や御手洗ティーチャー(古川雄大)が登場してきたが、第三の男としてそこに混ざっても遜色のないオーラが感じられた。
宮沢はカリフォルニア出身のバイリンガル、父はロックバンドTHE BOOM(2014年に解散)のボーカル・宮沢和史、母はタレントの光岡ディオンと、役の華やかさに負けず劣らずの生い立ちを持つ。21歳の時に、身長184cmの長身を生かし『MEN’S NON-NO』(集英社)の専属モデルとしてデビュー。さらに俳優としての活動もスタートし『コウノドリ』(TBS系)ではレギュラー出演を果たす。また『僕の初恋をキミに捧ぐ』(テレビ朝日系)では派手で“オレ様”気質の生徒会長役を好演。そして『偽装不倫』(日本テレビ系)では、杏演じる年上女性との恋に落ちるミステリアスな青年という役どころを演じ、大いに話題を呼んだ。今、勢いのある若手俳優のひとりでもある。宮沢はフレッシュさだけでなく、どこか物憂げな色気を持ち合わせており、キザな役や女性を魅了する役を演じることが多い。この独特な雰囲気は宮沢の強みになるだろう。
『エール』でもそんな宮沢独自の魅力は健在だ。看護師たちに囲まれ、病院の患者からも愛され、誰からも大切にされるアキラは、「ハッピー・バースデー」の歌をプレゼントしたり、白い筋を丁寧にむいたみかんを渡すなど粋な計らいで多くの人に愛情を返していく。アキラのこうした姿は、宮沢の優しい声と美しい所作が相まってより暖かい人柄に映るのだ。
見事な歌唱シーンには、SNS上で「お父さんに声までそっくり」という声も散見された。そんな美しい声も、これから俳優として活動するにあたっては大きな武器になるだろう。さらにリハビリのシーンや病室のシーンでは、大きな手や広い肩幅、長い首と、そのスタイルの良さが際立つ。華がリハビリをする中で打ち解け合い、心を開いていく重要なシーンで、バランスの取れたビジュアルから放たれる魅力は、華が恋に落ちていく様子をより臨場感たっぷりに表現した。こうした身体の魅せ方は、モデルとして培ってきた経験が役立っていると思われる。
第23週のラストには、「嘘は苦手」と言いつつも、成り行き上ロカビリー歌手であることを隠し、裕一と隣同士のベッドで入院生活を送ることに。だが退院時に口から「ステージ」という言葉が飛び出し、嘘がバレそうになってしまう。音(二階堂ふみ)に“嘘つきのロカビリー”とまで言われてしまっていたアキラは、無事、裕一に華との交際報告を認めてもらえるのだろうか。アキラというキャラクターが怪我から復帰し、これからどう“暴れて”くれるのか楽しみだ。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)~11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、中村蒼、山崎育三郎、森七菜、岡部大、薬師丸ひろ子ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/