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草なぎ剛とユースケ・サンタマリアが見せた、音楽に対する無邪気な姿 斉藤和義をも本気にさせた『なぎスケ!』新シーズンを見て

音楽

ニュース

リアルサウンド

 草なぎ剛とユースケ・サンタマリアが出演する『なぎスケ!』(Amazon Prime Video)のシーズン2が、11月19日より配信スタートした。この2人といえば1998年から2018年まで、約20年に渡って放送された人気深夜バラエティ「『ぷっ』すま」(テレビ朝日系)コンビ。

『なぎスケ!』シーズン2 #1 予告編

 「『ぷっ』すま」で見られた2人の“ゆるさ”は、何かと気を張って生きていかねばならない現代人にとっては憧れでもあった。仕事と遊びとが分離されていない、のびのびとした空間。その“ゆるさ”を許し合えるゲスト、そして視聴者との、柔らかなつながり……この2人のように年齢を重ねて生きていくことができたら、なんて考える大人も少なくなかっただろう。

 残念ながら地上波での放送は惜しまれながら最終回を迎えたが、「『ぷっ』すま」のスタッフが再集結し、Webというさらなる自由な空間を味方に、2019年12月にスタートしたのが『なぎスケ!』シーズン1だった。

 40代となった彼らのマイペースっぷりは、さらに加速。やりたくないことは「嫌だ」とハッキリ主張するし、自分たちの番組であるにも関わらずゲストにおんぶにだっこなシーンも少なくない。その結果、雅楽師・東儀秀樹のクラシックカーを雨の降る中で乗り回したり、俳優・西村和彦に調理を任せっきりにしたり……と、ゲストに遠慮なく胸を借りる。ある意味、他では見られない贅沢な時間が流れるのだ。

 シーズン2になってもそのスタンスは変わらず、気づけばゲストの斉藤和義が番組の新オープニングソングの制作にどっぷりと参加することになる。生配信レコーディングに参加するだけではなく、ついみずから「やりましょうか」と手を挙げた斉藤。オープニングソングのレコーディングを行うスタジオになぎスケの姿はなく、黙々と作業を続けていく。

 通常のバラエティ番組なら、きっとここにMCの2人(=なぎスケ)がやってきて、斉藤に何をしているのかインタビューしたり、作業の内容をレポートして見せ場を作ろうとするだろう。だが、そんなよく見る演出で“作り上げる”のではなく、自然体を“そのまま届けていく”のが『なぎスケ!』スタイル。

 それができるのは、大前提としてなぎスケもゲストも、それぞれが自立しているからかもしれない。なぎスケが見せる“ゆるさ”とは緩急だ。終始のんびりしているのではなく、まずプロフェッショナルとしてのプライドある仕事をしてきたことを私たちは知っている。

 国民的スター SMAPとしてJ-POPの歴史を築いてきた草なぎはもちろんのこと、ユースケ・サンタマリアもラテンロックバンド「BINGO BONGO」のボーカリストとして、アーティストでありながらMCパフォーマンスでも人気を博す新境地を開拓した。

 俳優業にバラエティにと活躍の場を広げていっても、彼らの根底にはミュージシャンとしての熱が消えることはない。草なぎがギターをコツコツと続けているのもそう。『なぎスケ!』シーズン1で岡田結実をゲストに迎えた『リモートクイズ』企画で明るみになった、ユースケ・サンタマリアのインディーズバンドに関する知識の広さもそう。

『なぎスケ!』エピソード28 予告編

 その情熱を支えているのは商業的な成功ではなく、シンプルに音楽が「好き」という純粋な気持ちに違いない。2人がオープニングソングを即興で作れることができるのも、そうした素養があるからこそ。次々に飛び出すアイデア、それを音で表現していくテンポの良さは、一見遊んでいるようにしか見えない。でも、そうして音を楽しむことこそ、音楽なのだと気づかされる。

 音楽に対する2人のスタンスに触れたことで、斉藤の本気にも火がついたのだろう。売れるものを作るとか、話題になるものを仕掛けるとか、そうした商業的な狙いばかりが先行してしまう時代に、「面白くなってきた」「それいいよ」とシンプルに楽しむ大人たちの姿はもはや貴重だ。

 「『なぎスケ!』バンド作ろうか」、斉藤との共演に味をしめた2人は、そう声を弾ませる。「じゃあこうしよう、剛、俺、マギー、藤木直人くん、あと斉藤さん」と豪華なバンドメンバーを妄想するユースケ・サンタマリアに、草なぎは自分のギターが「必要ないね!」と本末転倒なことを言い出す“ゆるさ”に、やはり『なぎスケ!』だと頬が緩む。

 シーズン2は「『ぷっ』すま」時代に出演したメンバーにも積極的に声が掛かりそうな予感もする。ゲーム実況、クイズ、バーベキュー、釣り、絵心対決、宝探しや脱出ゲーム、美容部、ユースケ・サンタマリアの新車公開……彼らが興味のある順番に好きなことをしてもらいたいと思いつつ、仕上がったシーズン2のオープニングソングを聴くと、彼らの音で遊ぶ姿ももっと見てみたいとワクワクしてしまう。