加藤ミリヤ、初カバー盤で出会える新たな表現 椎名林檎、King Gnuら名曲カバーに映し出された“歌う”ことを楽しむ姿
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加藤ミリヤがデビュー15周年イヤー企画第3弾として、自身初となるカバーアルバム『COVERS -WOMAN & MAN-』をリリースした。これまでの彼女は「原曲に敵うはずがない」といった理由からカバーに対して消極的だった。だが、新型コロナウイルスの影響による自粛期間に、InstagramのIGTVで弾き語り歌唱動画をアップする中で、いくつかカバー曲を披露。その純粋に歌を楽しむことが彼女の気持ちに変化をもたらしたのだという。かくして、加藤ミリヤは本作の中で、日本の音楽シーンを彩ってきた数々の名曲たちに1人のシンガーとして真正面から立ち向かうことになったわけだ。
2枚組となる本作。DISC1にはいわゆる“歌姫”と呼ばれる女性アーティストたちの楽曲がまとめられている。1曲目は椎名林檎の「本能」。ファンクやソウル、ヒップホップなどを呑み込んだ多国籍バンド・ALIによるジャジーでグルービィな演奏の上で、彼女はアダルトで艶っぽい歌声を響かせていく。随所に巻き舌を盛り込むなど、原曲を歌う椎名林檎へのリスペクトを感じさせつつも、確実にカバーだからこそ引き出された新たな加藤ミリヤの表情が堪能できる仕上がりだ。
同様に、安室奈美恵への多大なる敬愛を込めながら独自の解釈で歌われる「Don’t wanna cry」では、アレンジを務めた理貴によるビート&トラックメイキングの手腕が光る。どこかローリン・ヒルのナンバーのようなニュアンスを感じさせるアレンジメントは、ミリヤ自身のアイデアを元に構築されていったのだという。また、盟友である青山テルマ(feat.SoulJa)の「そばにいるね」では、アレンジャーにCarlos K.を起用。美しく壮大なストリングスをフィーチャーしたトラックの上に、せつなさの中に凛とした強さを感じさせる歌声を乗せている。Coccoの「強く儚い者たち」は一見、その人選と選曲に意外さを感じさせもするが、実は加藤ミリヤがデビュー前に受けたオーディションで歌った曲という、思い出深い1曲でもある。今回のカバーではトオミヨウによる心地よい浮遊感のあるサウンドと共に、癖をつけずまっすぐに澄んだ歌声を届けている。その瑞々しい表情は、聴き手に新鮮な感動を与えてくれるはずだ。
一方、DISC2には男性アーティストの楽曲カバーを収録。ソロシンガーのみならず、バンドの楽曲も多数選ばれているところが興味深い。各曲にハイセンスなアレンジャーをぶつけることで想像を超える化学反応を生み出している点はDISC1と同様であるが、女性ならではの視点で、より加藤ミリヤのオリジナリティを全面に出したボーカリゼーションが味わえるのがDISC2の特徴と言えるだろう。
King Gnuの「Teenager Forever」はその歌詞の内容的に、10代でデビューし、女子高生のカリスマとして圧倒的な支持を得た彼女がチョイスするにふさわしい1曲だ。King Gnuの常田大希の実兄であるバイオリニスト・常田俊太郎がアレンジを手掛けるというミラクルなコラボによって生まれたドラマチックなトラックと、その上で放たれる加藤ミリヤの光が見える圧巻の歌声は、原曲ファンをもきっと唸らせることになるはずだ。
清塚信也のピアノと慈愛に満ちた歌声だけで届けられるのは、清水翔太の「花束のかわりにメロディーを」のカバー。そこに込められた楽曲とアーティストへのリスペクトは、先月リリースされたトリビュートアルバム『INSPIRE』で加藤ミリヤ「愛は変わらず」を歌唱した清水翔太に向けられた、ひとつのアンサーなのかもしれない。東京事変の浮雲としても活躍する、ペトロールズの長岡亮介がアレンジとギター演奏を担当したのは銀杏BOYZの「BABY BABY」。隙間をたっぷり取ったギターの音色の合間を、優しい息遣いを感じさせる歌声が埋めていくスタイルは、加藤ミリヤのオリジナル曲ではなかなか味わえない心地よさだ。また、Dragon Ash「百合の咲く場所で」は、SHAKKAZOMBIEのTSUTCHIEによるアレンジで、ヒップホップ的アプローチを色濃くしてカバー。バース部分のラップで見せる低いトーンの歌声はかなり斬新だ。DISC2に収録される楽曲はすべて男性ボーカル曲を原曲キーでカバーされているため、この曲を筆頭に加藤ミリヤの低い声の魅力が味わえる仕上がりになっている。そんなところに注目して聴くのもオススメだ。
2枚組全15曲のカバー群を聴けば、これまで出会ったことのない新たな加藤ミリヤの表情、表現を鮮明に感じることができるはず。それは彼女自身にとっても大きな収穫になったはずだし、今後の活動の中でオリジナル曲にしっかりフィードバックされていくことにもなるだろう。デビューから15年を経た加藤ミリヤが“歌う”ことを楽しむ姿、そしてここから歩んでいくであろう未来。そこに思いを馳せながら、この濃厚なカバーアルバムをじっくりと楽しんでほしい。
■リリース情報
初のカバーアルバム
『COVERS -WOMAN & MAN-』
2020年11月25日(水)リリース
購入はこちら
<DISC1>
1.本能 / The original song by 椎名林檎 / Produced by ALI
2.Can You Keep A Secret? /The original song by 宇多田ヒカル / Arranged by SUNNY BOY
3.Don’t wanna cry / The original song by 安室奈美恵 / Arranged by 理貴
4.そばにいるね / The original song by 青山テルマ feat.SoulJa / Arranged by Carlos K.
5.STARS / The original song by 中島美嘉 / Arranged by Shingo.S
6.TAKE BACK / The original song by 倖田來未 / Arranged by Matt Cab
7.強く儚い者たち / The original song by Cocco / Arranged by トオミヨウ
<DISC2>
1.Teenager Forever / The original song by King Gnu / Produced by 常田俊太郎
2.花束のかわりにメロディーを / The original song by 清水翔太 / Arranged by 清塚信也
3.優しさ / The original song by 藤井 風 / Arranged by Nao Tanaka
4.me me she / The original song by RADWIMPS / Arranged by トオミヨウ
5.BABY BABY / The original song by 銀杏BOY / Arranged by 長岡亮介
6.いかれたBaby / The original song by Fishmans / Arranged by Reggae Disco Rockers (RDR)
7.百合の咲く場所で/ The original song by Dragon Ash / Arranged by TSUTCHIE (SHAKKAZOMBIE)
8.OH MY LITTLE GIRL / The original song by 尾崎豊 / Produced by Chaki zulu (Husky Studio/YENTOWN)
通常盤(2CD)3,500円(税込)
初回生産限定盤(2CD+DVD)5,000円(税込)
・LIVE DVD/加藤ミリヤ presents Special Acoustic Session -歌の会 2020-
通常盤(初仕様)&初回生産限定盤共に、
㈰オフィシャルファンクラブ/モバイルファンクラブ会員限定スペシャルコンテンツアクセスコード付きチラシ封入
㈪トリビュートアルバム『INSPIRE』W購入者特典応募ハガキ封入
<『COVERS -WOMAN & MAN-』封入特典&ショップ別購入者特典>
詳細はこちら
■ライブ情報
『加藤ミリヤ 15th Anniversary MILIYAH BUDOKAN 2020』
2020年11月29日(日)日本武道館
open 17:00 / start 18:00
問:H.I.P. 03-3475-9999(平日10時〜18時)
詳細はこちら
<チケット料金>
【全国共通】
指定席 ¥7,500(税込)ファミリー席¥7,000(税込)
<ゲスト出演者>
・清水翔太
・青山テルマ
・新羅慎二(若旦那)
・中島美嘉
・SIMON
・COMA-CHI
・TARO SOUL
■関連リンク
加藤ミリヤ オフィシャル
Instagram(@miliyahtokyo)