「クズ男、最高」の声も 『サバイバル・ウェディング』風間俊介はジャニーズの新しい道を切り拓く
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朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)の月曜メインMCを、10月からジャニーズタレントの風間俊介が担当することが決定した。ジャニーズ事務所では、グループを組んでCDデビューすることを目標にしているジャニーズJr.が多く、実際CDデビューを果たすと一人前のタレントという扱いになることも多い。しかし、風間はCDデビューではなく俳優の道を歩く、ある意味“異端児的存在”のジャニーズタレントである。しかも演技力は確かなもので、最近じわじわと支持を集めてきている。
風間の名前がお茶の間に知れ渡ったのは、『3年B組金八先生』第5シリーズ(TBS系)だろう。風間が演じた兼末健次郎は、一見頭の良い優等生でクラスのリーダー的存在でもある。しかし実は、過保護の母や引きこもりの兄、無関心な父など家庭の問題を抱え、心を病んでしまっている少年。陰では同級生をいじめており、クラスメイトからは敬遠される存在であった。物語終盤では、母親を誤ってナイフで刺してしまい、警察に連行されるというショッキングなシーンもあった。兼末健次郎という深い役を、かつて無名の俳優であった風間は見事に演じ、多くの視聴者を引き込んだのである。
この『3年B組金八先生』第5シリーズをきっかけとし、それ以降も風間は様々な役を演じてきた。どちらかと言うと二面性を持つ猟奇的な役が評価されており、連続テレビ小説『純と愛』(NHK総合)でさらに知名度を広げる。その時々で豹変する狂気じみた風間の演技を見ると、心をグッと掴まれたかのように目が離せなくなる。見てはいけないのについ見たくなる、という感覚に近いのかもしれない。
そんな“危うい”演技が魅力だった風間だが、最近では好青年を演じることも多くなってきた。『下剋上受験』(TBS系)の好青年・楢崎哲也役、『陸王』(TBS系)の熱血銀行マン・坂本太郎役、大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)の福井藩医・橋本左内役……。これまでにない爽やかさを出してみたり、時に熱のこもった力強い演技を見せてくれたり、幅広い役をこなす俳優となってきているのである。
2018年10月期の連ドラ『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)で演じた主人公の元彼・石橋和也役でも、さらに演技スキルを伸ばしたと感じる。和也は一言で言うと清々しいほどの「クズ男」。主人公・さやかと婚約したにもかかわらず浮気をし、指摘されて逆ギレ。さやかがすでに寿退社してしまったにもかかわらず婚約破棄をする、という目も当てられない男だ。しかし第7話で、和也は「さやかの理想を演じなければいけないと必死だった」という心の内を話す。そして、さやかとスッパリ笑顔で別れたのである。第7話まできちんと「ムカつく男」を演じたことで、第7話の潔さと切なさが非常に際立っていた。メリハリをつけることで役に深みが増したように感じ、流石と言わざるを得なかった。実際SNSでは、「風間のクズ男、最高」という声が多々挙がっていたほどである。
こうして俳優としてのキャリアを順調に重ねている一方、昨今ではバラエティ番組にも度々出演し、活躍の場を広めている風間。『ZIP!』の出演で、演技力だけでなくトーク力やバラエティ力も広げていくのではないだろうか。彼が切り拓く、ジャニーズタレントの新しい道に注目していきたい。(高橋梓)