【ネタバレあり】『先生を消す方程式。』深夜ならではのトンデモ展開 山田裕貴はもう一人の主役に
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もう何が起きても驚かない。『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系)、前週までで十分に免疫ができていたはずが、またもや予想の斜め上を行く超展開が待っていた。
ついに義経(田中圭)を葬り去った朝日(山田裕貴)と刀矢(高橋文哉)。主人公が死亡する異例の事態に本コラムでも今後の展開を予想したが(参考:【ネタバレあり】田中圭にまさかの結末? 『先生を消す方程式。』第5話以降の世界線を大予想)、結論から言うと義経は復活。だが、その様子は以前と明らかに異なっていた。
朝日は、義経のいなくなった3年D組を引き継ぐ。第5話では朝日の過去も明かされた。高校時代、内気な生徒だった朝日は同級生の平岡(庄野崎謙)たちにいじめられていた。そんな朝日を担任の静(松本まりか)は優しく励ますが、かえって平岡の怒りを買うことになり、静を殺すように脅されてしまう。
朝日は平岡に命じられるまま静を階段から突き落とす。落下の衝撃で静は首を負傷し、意識不明の重体となった。『先生を消す方程式。』第5話からのドラマ後半には、前半の答え合わせ的な描写も含まれる。第1話冒頭で、義経と静があわてて家を出て行こうとするシーン。この時点で元気だった静は、朝日に突き落とされる前の姿だ。次に登場した時、静は病院のベッドにいて朝日は高校の教師になっている。その間、静は人工呼吸器を付けて眠り続けていたことになる。
脱線するが、教師役の松本まりかが絶妙だ。『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)や、鈴木おさむが脚本を手掛けた『奪い愛、夏』(AbemaTV)の怪演で注目された松本。学園ものサスペンスの本作でも、癒し系の回想シーンのほか、教師役でそこはかとないSっ気を漂わせており、貴重なアクセントになっている。義経が静にプロポーズしようとしていたことや、10年以上付き合っていたと話していること、高校生の朝日が教員になるまで最低4、5年かかることを考慮すると、静の転落から義経が3年D組に赴任するまで5〜10年が経過していると考えられる。
第5話で全開になったのが、朝日の猟奇的なパーソナリティだ。義経を埋葬し「ハッピー・デスデイ」と歌い、「安心してください。埋めてますよ」と笑えない冗談を飛ばす。静の隣に添い寝し、意識不明の静に唇を重ねる。これまでにも、振り切った演技で話題を呼んできた山田。サイコ教師役で言えば、『ホームルーム』(MBS)で教え子の幸子(秋田汐梨)の家に忍び込んで全裸で添い寝しており、「添い寝教師」として怪演ここに極まった感がある。フライングドラマ『頼田朝日の方程式。』(ABEMAプレミアム)で10分を超える長台詞を披露している山田だが、田中圭の後を継ぐ形でフィーチャーされた本作は山田抜きでは成立せず、まさしく「もう1人の主役」だった。
前回「義経は弓(久保田紗友)とだけ仲直りをしていない」という指摘があった。弓への授業には続きがあって、母親の華(青山倫子)と面談。義経は、弓が無様になったのは華のせいだと話し、「無様な自分を認めて、弓さんに伝えるべきです」と諭す。義経が示した方程式は「(無様×認める)継続=格好いい」。義経は力(高橋侃)の父親にも会っており、課外授業は生徒だけでなく親に対しても行われていた。
朝日への復讐に執念を燃やす義経は、実のところ生徒に対してまっとうな教師だった。その義経はもういない。そう思わせておいて、全力でひっくり返すのが『先生を消す方程式。』。というわけで「闇の義経、襲来編」がスタート。義経が黒魔術で復活することは、命(秋谷郁甫)がいることからなんとなく想像できたが、まさか闇から召喚されるとは。はたして義経は方程式を繰り出せるのか? 深夜ならではのトンデモ展開はここからが本番だ。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
『先生を消す方程式。』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:00~23:30放送
出演:田中圭、山田裕貴、高橋文哉、久保田紗友、森田想、高橋侃、秋谷郁甫、奥山かずさ、榊原有那、川瀬莉子、田中亨、松本まりか
脚本:鈴木おさむ
音楽:HAL
監督:小松隆志ほか
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:秋山貴人(テレビ朝日)、遠田孝一(MMJ)、小路美智子(MMJ)
制作:テレビ朝日/MMJ
(c)テレビ朝日
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