松本幸四郎は親子三代で「菅原伝授手習鑑」、市川猿之助は“猿翁十種”の「悪太郎」を披露
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左から市川猿之助、松本幸四郎。
「壽 初春大歌舞伎」が、来年1月2日から27日まで東京・歌舞伎座で上演される。昨日11月29日に、本公演の出演者である松本幸四郎と市川猿之助の取材会が実施された。
歌舞伎座は、8月の興行再開から1部1演目の4部制で公演を行ってきたが、「壽 初春大歌舞伎」から1部2演目の3部制に切り替わる。幸四郎は、第3部「菅原伝授手習鑑」より「車引」に梅王丸役として、松王丸役の松本白鸚、桜丸役の市川染五郎らと共に出演。「芝居に出られること、さらにそれが父と染五郎と一緒だということはありがたく、幸せ」と語った幸四郎は、共演が決まったときの染五郎の反応を「あまり感情を表には出さないけれど、稽古もうれしそうな顔でやっています」と笑顔で明かした。また自身が勤める梅王丸役については「セリフ、ボリューム、大きさを、身1つで表現しなければならない。先代の(中村)又五郎のおじさまに、花道を引っ込むときには“くくり猿”のように、と教えてもらいました。ただ力を入れれば力強く見えるのではないというところが、歌舞伎のおおらかさ、色合いだと思います」とコメントした。
猿之助は、第1部の「悪太郎」に、悪太郎役で出演する。「悪太郎」は、澤瀉屋の家の芸“猿翁十種”の1つ。本作の選出理由を「この世の中だからこそ笑いたいじゃないですか。また、稽古があまりできない中でできる演目で、『悪太郎』はうち(澤瀉屋)しかできないので、珍しいものをお目にかけようと選んでみました」と語り、「曽祖父(初代市川猿翁)が出演していた映像を観ると、曽祖父に当てて書かれた作品だからか、(初代猿翁が)立っているだけでも面白くて。僕は三谷(幸喜)さんに見いだしてもらった自分のおかしさを、何も考えずに出すしかないです」と抱負を述べた。
「悪太郎」には、猿之助のほか、修行者智蓮坊役の中村福之助、太郎冠者役の中村鷹之資、伯父安木松之丞役の市川猿弥、「菅原伝授手習鑑」には白鸚、幸四郎、染五郎のほか、杉王丸役の大谷廣太郎、金棒引藤内役の松本錦吾、藤原時平役の坂東彌十郎が出演。また、第1部には「悪太郎」のほか、尾上松也らが登場する「壽浅草柱建」、第2部には中村鴈治郎らが、今月死去した坂田藤十郎をしのんで上演する「夕霧名残の正月」より「由縁の月」と、中村吉右衛門が大星由良之助、中村梅玉が寺岡平右衛門を勤める「仮名手本忠臣蔵」より「祇園一力茶屋の場」、第3部には「菅原伝授手習鑑」のほか、中村芝翫らによる「らくだ」がラインナップされた。チケットは、12月14日10:00に販売スタート。
「壽 初春大歌舞伎」
2021年1月2日(土)~27日(水)
東京都 歌舞伎座
第1部
一、「壽浅草柱建」
出演
曽我五郎時致:尾上松也
曽我十郎祐成:中村隼人
小林朝比奈:坂東巳之助
大磯の虎:中村米吉
化粧坂少将:中村莟玉
喜瀬川亀鶴:中村鶴松
茶道珍斎:中村種之助
小林妹舞鶴:坂東新悟
工藤左衛門祐経:中村歌昇
二、「猿翁十種の内 悪太郎」
作:岡村柿紅
出演
悪太郎:市川猿之助
修行者智蓮坊:中村福之助
太郎冠者:中村鷹之資
伯父安木松之丞:市川猿弥
第2部
一、「夕霧名残の正月」
脚本:今井豊茂
出演
藤屋伊左衛門:中村鴈治郎
扇屋夕霧:中村扇雀
太鼓持鶴七:中村亀鶴
同 亀吾:中村虎之介
同 竹三:中村玉太郎
同 梅八:中村歌之助
扇屋番頭藤兵衛:中村寿治郎
扇屋女房おふさ:上村吉弥
扇屋三郎兵衛:中村又五郎
二、「仮名手本忠臣蔵」
出演
大星由良之助:中村吉右衛門
遊女おかる:中村雀右衛門
鷺坂伴内:中村吉之丞
斧九太夫:嵐橘三郎
寺岡平右衛門:中村梅玉
第3部
一、「菅原伝授手習鑑」
出演
松王丸:松本白鸚
梅王丸:松本幸四郎
桜丸:市川染五郎
杉王丸:大谷廣太郎
金棒引藤内:松本錦吾
藤原時平:坂東彌十郎
二、「らくだ」
作:岡鬼太郎
出演
手斧目半次:中村芝翫
紙屑買久六:片岡愛之助
駱駝の馬太郎:中村松江
半次妹おやす:市川男寅
糊売婆おぎん:中村梅花
家主女房おいく:坂東彌十郎
家主佐兵衛:市川左團次